EinsteinのA係数とB係数
勝義 山崎, Katsuyoshi Yamasaki
Published Oct 20, 2024• 0 citations
Abstract
物質による光の吸収や放出(発光)について学ぼうとすると,例外なくEinsteinのA係数とB係数に遭遇する。A係数は励起状態にある分子(原子も含む)の発光しやすさの定量的尺度であり,励起分子が数密度n*(単位:m^−3)で存在するとき,A係数とn*との積A・n*が単位時間,単位体積あたりに光を自然放出する分子の数(単位:m^−3⋅s^−1),つまり,単位時間,単位体積あたりに放出される光子の数を与える。一方,B係数は光の吸収しやすさの尺度であるが,数密度n(単位:m^−3)で存在する分子に光が照射されるとき,単位時間,単位体積あたりに光を吸収する分子の数がB・nで表されるかというと,そうではない。正しくは,B・ρ・nであり,分光放射エネルギー密度ρが必要となる。まず,ρの単位について考えると,エネルギー密度という名称であるからJ⋅m^−3 という単位をもつと考えてしまいがちであるが,これは誤りである。たとえば,ρの代表例であるPlanckの式ρ(ν)の単位はJ⋅m^−3⋅sであり,時間sが含まれる。そこで,エネルギーの密度という名称なのになぜ時間が入ってくるのか,「単位体積あたりのエネルギー×時間」とは何なのか,などなど疑問があふれ出てくることになる。また,Bについては,単位J⋅m^−3⋅sをもつρとの積でs^−1という単位を与えるから単位J^−1⋅m^3⋅s^−2をもつことは間違いないが,物理量の意味を想像できるような単位ではないので,途方に暮れてしまうことになる。本書は,ρの単位に関する疑問を解き,EinsteinのA係数とB係数の中身および係数同士の関係,さらに,光吸収断面積(吸光係数)とEinstein係数との関係を理解するために書かれたmonographである。
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場の理論における因果律の歴史は長く,色々な側面を持っている.特に,それは量子力学の非局所的な性質と深く関わっていて観測問題との関連でも興味深い.因果律の場の量子論的記述(微視的因果律)は,しばしばハイゼンベルグ描像で次の様に表現される1).[φ^<(H)>(x),φ^<(H)>(y)]=0 if (x-y)^2<0 x=(x^0,x),x^2≡x^μx_μ≡x_0^2-x^2 (1.1)ここで,φ(x)は場の演算子であり,それがボーズ場(フェルミオン場)ならば[,]は交換子(反交換子)である.つまり(1.1)は「互いに空間的な2点にある場の演算子は可換である」ということを表している.これは,自由な場のみでなく,局所的な相互作用が存在する場合にも成り立つ.また,このことは局所場の理論の最も本質的な要請のひとつにもなっている.量子力学では,可換な物理量は,互いに影響を及ぼさずに観測できるという原理が存在するので(1.1)は,空間的に離れた2点の観測は互いに影響を及ぼし合わないということを示している.つまり,いかなる場の擾乱(信号)も光速を超えて伝わらないということである.しかし,これは抽象的な演算子の関係であって,いかに信号が伝わるかなどということは判りにくい.そこで,別の描像-シュレーディンガー描像-で因果律がいかに表現されるか調べた.はじめに,初期状態の波動関数が時空の原点に局在したデルタ関数で表されるような一粒子の非相対論的・相対論的な量子拡散(quantum diffusion)について調べた.その結果,非相対論的には局在した次の瞬間には粒子は無限遠方まで場所に依らない確率で拡散してしまい,光速を超えて粒子が運動し得るということがわかる.しかし,非相対論では,光速を無限大と近似しているので当然の結果である.相対論的には,その状況はやや改善され,空間的である領域のうち十分遠方である位置に拡散する確率は殆どゼロになる.しかし,相対論にさえも光円錐の外側のコンプトン波長程度の領域には無視できない確率で粒子を見い出すことができることが,簡単な計算からわかる.したがって,この場合も因果律が破れているといえる.この原因については,現在検討中であるが,一つは初期にデルタ関数の波動関数を用意することが非局所的な操作であることに起因していると考えられる.この問題を避けるために,次に局所的な操作により場に擾乱を与え,それが時間とともに場の中をどのように伝わるかを調べた.先ず,自由な場において時空の原点に擾乱を与えるようなラグランジアンとして次のモデルを考えた.*_0=1/2(∂_μφ(x))(∂^μφ(x))-1/2m^2φ^2(x)+jδ^4(x)φ(x) (1.2)ここで,φ(x)はボーズ場(質量mのスカラーボゾン場)の変数である.時刻t<0で任意の初期状態を用意して(1.2)の系で時間発展させt>0での波動(汎)関数をΨ_F[φ]とする.そこで,終状態の空間的領域の密度行列ρ[φ_s,φ_s]を次の様に定義する.ρ[φ_s,φ_s]=∫[dφ_t]Ψ_F^*[φ]Ψ_F[φ]|_φ_t=φ_t [dφ_t]≡II 0|dφ(x) (1.3)φ_t: 時空の原点(擾乱が加わった点)に対して時間的な領域にある場の変数.φ_s: 時空の原点(擾乱が加わった点)に対して空間的な領域にある場の変数.このとき「ρ[φ_s,φ_s]は,Jに依らない」ということを示すことができる.このことは,場に擾乱が加わった点に対し,空間的な領域の状態はその影響を全く受けないということであり,完全に因果律を満していることがわかる.相互作用が存在しても,局所的であるならば同様のことを示すことができる.つまり,シュレーディンガー描像での因果律は「場の擾乱が加わった点に対して空間的な点における密度行列は場の擾乱の影響を受けない」と表現される.さらに,シュレーディンガー描像の因果律の表現からハイゼンベルグの因果律の表現を導くことができる.このことからシュレーディンガー描像の因果律の表現は,ハイゼンベルグ描像のそれと少なくとも等価,又はそれよりも広い概念を含んでいると考えられる.なお,本文中では自然単位系c=h=1を用いる.
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伝搬が極端に遅い光(スローライト)は,光信号の圧縮,バッファ,畳込み積分演算,ビームフォーミング,吸収・利得や非線形の増大など,様々な効果をもたらす.このような光は,材料や構造の極めて大きな分散を利用することで実現される.特にフォトニック結晶導波路は室温で容易にスローライトを発生させるので,種々のデバイス応用が期待されている.本稿ではスローライトの低速化と周波数帯域の関係など,本質的な課題を解説しながら,スローライトデバイスの可能性を議論する.
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量子力学に登場する波動関数(や固有関数)を物理的に正しい形にするためには,関数の大きさの2乗の空間全体での総和(積分値)が1に等しくなるように規格化を行う必要がある。系の存在確率(あるいは出現確率)の総和が1であるという原則を満たすための作業であるが,必ずしも1に規格化できない場合がある。たとえば,運動量pをもち,x方向に進行する平面波を表す固有関数(x)=Aexp(2πipx/h)を規格化しようとすると,波動関数の大きさの2乗の積分値が∞になってしまい規格化定数Aの大きさを決めることができない。本書は,1に規格化することができない連続固有値をもつ固有(波動)関数の規格化を理解し,位置と運動量の不確定性関係をFourier変換の関係として理解するために書かれたmonographである。
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