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有限時間間隔の場の理論 : 場の理論におけるシュレーディンガー描像の因果律について(基研長期研究計画「進化の力学への場の理論的アプローチ」報告,研究会報告)

Kazumasa Nomoto, R. Fukuda

Published Aug 20, 1990• 0 citations
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Abstract

場の理論における因果律の歴史は長く,色々な側面を持っている.特に,それは量子力学の非局所的な性質と深く関わっていて観測問題との関連でも興味深い.因果律の場の量子論的記述(微視的因果律)は,しばしばハイゼンベルグ描像で次の様に表現される1).[φ^<(H)>(x),φ^<(H)>(y)]=0 if (x-y)^2<0 x=(x^0,x),x^2≡x^μx_μ≡x_0^2-x^2 (1.1)ここで,φ(x)は場の演算子であり,それがボーズ場(フェルミオン場)ならば[,]は交換子(反交換子)である.つまり(1.1)は「互いに空間的な2点にある場の演算子は可換である」ということを表している.これは,自由な場のみでなく,局所的な相互作用が存在する場合にも成り立つ.また,このことは局所場の理論の最も本質的な要請のひとつにもなっている.量子力学では,可換な物理量は,互いに影響を及ぼさずに観測できるという原理が存在するので(1.1)は,空間的に離れた2点の観測は互いに影響を及ぼし合わないということを示している.つまり,いかなる場の擾乱(信号)も光速を超えて伝わらないということである.しかし,これは抽象的な演算子の関係であって,いかに信号が伝わるかなどということは判りにくい.そこで,別の描像-シュレーディンガー描像-で因果律がいかに表現されるか調べた.はじめに,初期状態の波動関数が時空の原点に局在したデルタ関数で表されるような一粒子の非相対論的・相対論的な量子拡散(quantum diffusion)について調べた.その結果,非相対論的には局在した次の瞬間には粒子は無限遠方まで場所に依らない確率で拡散してしまい,光速を超えて粒子が運動し得るということがわかる.しかし,非相対論では,光速を無限大と近似しているので当然の結果である.相対論的には,その状況はやや改善され,空間的である領域のうち十分遠方である位置に拡散する確率は殆どゼロになる.しかし,相対論にさえも光円錐の外側のコンプトン波長程度の領域には無視できない確率で粒子を見い出すことができることが,簡単な計算からわかる.したがって,この場合も因果律が破れているといえる.この原因については,現在検討中であるが,一つは初期にデルタ関数の波動関数を用意することが非局所的な操作であることに起因していると考えられる.この問題を避けるために,次に局所的な操作により場に擾乱を与え,それが時間とともに場の中をどのように伝わるかを調べた.先ず,自由な場において時空の原点に擾乱を与えるようなラグランジアンとして次のモデルを考えた.*_0=1/2(∂_μφ(x))(∂^μφ(x))-1/2m^2φ^2(x)+jδ^4(x)φ(x) (1.2)ここで,φ(x)はボーズ場(質量mのスカラーボゾン場)の変数である.時刻t<0で任意の初期状態を用意して(1.2)の系で時間発展させt>0での波動(汎)関数をΨ_F[φ]とする.そこで,終状態の空間的領域の密度行列ρ[φ_s,φ_s]を次の様に定義する.ρ[φ_s,φ_s]=∫[dφ_t]Ψ_F^*[φ]Ψ_F[φ]|_φ_t=φ_t [dφ_t]≡II 0|dφ(x) (1.3)φ_t: 時空の原点(擾乱が加わった点)に対して時間的な領域にある場の変数.φ_s: 時空の原点(擾乱が加わった点)に対して空間的な領域にある場の変数.このとき「ρ[φ_s,φ_s]は,Jに依らない」ということを示すことができる.このことは,場に擾乱が加わった点に対し,空間的な領域の状態はその影響を全く受けないということであり,完全に因果律を満していることがわかる.相互作用が存在しても,局所的であるならば同様のことを示すことができる.つまり,シュレーディンガー描像での因果律は「場の擾乱が加わった点に対して空間的な点における密度行列は場の擾乱の影響を受けない」と表現される.さらに,シュレーディンガー描像の因果律の表現からハイゼンベルグの因果律の表現を導くことができる.このことからシュレーディンガー描像の因果律の表現は,ハイゼンベルグ描像のそれと少なくとも等価,又はそれよりも広い概念を含んでいると考えられる.なお,本文中では自然単位系c=h=1を用いる.

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競合量子スピン系における新しい秩序相「カイラル相」の存在を種々のスピン系で確認したので、その結果を報告する。対象とした系は、反強磁性的第2近接までの相互作用を持つS=1/2、1、3/2、2 XXZ量子スピン鎖で、その秩序状態を数値的厳密対角化および密度行列繰り込み群によって調べた。その結果、「カイラル相」、即ち、カイラリティk_i=S^x_iS^y-S^y_iS^xが長距離秩序となり、パリティを破る相が第2近接相互作用の大きいXY領域で出現すること、そのカイラル相には、ギャップのある相(ギャップドカイラル相)とない相(ギャップレスカイラル相)が存在すること、ハイゼンベルグ領域ではカイラル相は出現しないこと、等が明らかになった。

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競合量子スピン系における新しい秩序相「カイラル相」の存在を確認したので、その結果を報告する。対象とした系は、反強磁性的第2近接までの相互作用を持つS=1/2および1量子スピン鎖(XY、ハイゼンベルグ模型)で、その秩序状態を数値的厳密対角化および密度行列繰り込み群によって調べた。その結果、「カイラル相」、即ち、カイラリテイk_i=S^x_iS^y_-S^y_iS^x_が長距離秩序となり、パリティを破る相がS=1XY領域で出現すること、そのカイラル相には、ギャップのある相(ギャップドカイラル相)とない相(ギャップレスカイラル相)が存在すること、S=1ハイゼンベルグ領域およびS=1/2ではカイラル相は出現しないこと、等が明らかになった。

•Sep 20, 1999•0 citations

古典力学的手法による原子・分子の探求(修士論文(1993年度))

知幸 山本

この研究で扱うような原子・分子の古典モデルの歴史は1920年代にまで遡る。その発端は、Bohrの水素原子のモデルでは成立した量子古典対応がヘリウムでは成立しないことだった。量子論の前夜の事件であるが、それは今なお未解決の部分を多く含む問題なのである。量子と古典の間の深い溝は、その両者が異質なものであるということである。しかし、同じ自然に対する複数の記述方法である以上、それらの適用範囲が広がるにつれ交錯する分野が現われるのは必然である。その領域においては、何らかの橋渡しが出来ていなければならない。だがそれはそれぞれに関する深い知識がなければ構築できない類のものである。量子カオスという研究分野はおもにその橋渡しを追求するが、この研究はむしろ古典系側の基盤を探るものである。古典系に話を限っても、ヘリウム原子ですら三体問題であり、カオス的な性質を持つハミルトン系(保存力学系)である。運動を決定する積分が足りないために、系の運動を統一的に記述することは未だなされていない。ハミルトン系の相空間の構造は非常に複雑であるので、高い解像度で観察する必要がある。つまり、これらの系における困難とは、広大な初期条件空間をくまなく探索しなければならないということなのである。そうしてはじめて量子系との対応を議論できるようになる。そのような作業の結果としてこの研究で見出されたことは、1)カオス的な軌道は全て原子から無限遠へ飛び出す(イオン化を起こす)、2)相空間には非自明なトーラスが埋め込まれている、3)カオスとトーラスの織りなす非常に複雑な構造が見出されたことである。また、それらを応用して原子や分子の古典力学的な表現を探求している。原子や分子のモデルを、クーロン力によって相互作用する独立した粒子のシステムとして扱う場合、ほとんど単純化をせずに相空間を広汎に調べた研究というものはあまり例がない。そして、その結果として幾つか重要と思われる知見が得られている。単純化したモデルにおいて量子古典対応を研究した例は非常に多いが、それでだけでは量子古典対応などの問題の未解決な点をあらわにすることは出来ないのではないかと考えられる。なお、この論文内での約束事は次の通りである。1)軌道の初期条件で、とくに記していない変数はその配置で決まっているか、そうでなければ0である。2)先に刊行されている論文[1]との用語の統一を図るため、トーラスの名称などはとくに英語で記した。3)物性研究版では、本文と図の一部が省略されている。

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競合量子スピン系における新しい秩序相「カイラル相」の存在を種々のスピン系で確認したので、その結果を報告する。対象とした系は、反強磁性的第2近接までの相互作用を持つS=1/2、1、3/2、2 XXZ量子スピン鎖で、その秩序状態を数値的厳密対角化および密度行列繰り込み群によって調べた。その結果、「カイラル相」、即ち、カイラリティk_i=S^x_iS^y-S^y_iS^xが長距離秩序となり、パリティを破る相が第2近接相互作用の大きいXY領域で出現すること、そのカイラル相には、ギャップのある相(ギャップドカイラル相)とない相(ギャップレスカイラル相)が存在すること、ハイゼンベルグ領域ではカイラル相は出現しないこと、等が明らかになった。
競合量子スピン系における新しい秩序相「カイラル相」の存在を確認したので、その結果を報告する。対象とした系は、反強磁性的第2近接までの相互作用を持つS=1/2および1量子スピン鎖(XY、ハイゼンベルグ模型)で、その秩序状態を数値的厳密対角化および密度行列繰り込み群によって調べた。その結果、「カイラル相」、即ち、カイラリテイk_i=S^x_iS^y_-S^y_iS^x_が長距離秩序となり、パリティを破る相がS=1XY領域で出現すること、そのカイラル相には、ギャップのある相(ギャップドカイラル相)とない相(ギャップレスカイラル相)が存在すること、S=1ハイゼンベルグ領域およびS=1/2ではカイラル相は出現しないこと、等が明らかになった。
この研究で扱うような原子・分子の古典モデルの歴史は1920年代にまで遡る。その発端は、Bohrの水素原子のモデルでは成立した量子古典対応がヘリウムでは成立しないことだった。量子論の前夜の事件であるが、それは今なお未解決の部分を多く含む問題なのである。量子と古典の間の深い溝は、その両者が異質なものであるということである。しかし、同じ自然に対する複数の記述方法である以上、それらの適用範囲が広がるにつれ交錯する分野が現われるのは必然である。その領域においては、何らかの橋渡しが出来ていなければならない。だがそれはそれぞれに関する深い知識がなければ構築できない類のものである。量子カオスという研究分野はおもにその橋渡しを追求するが、この研究はむしろ古典系側の基盤を探るものである。古典系に話を限っても、ヘリウム原子ですら三体問題であり、カオス的な性質を持つハミルトン系(保存力学系)である。運動を決定する積分が足りないために、系の運動を統一的に記述することは未だなされていない。ハミルトン系の相空間の構造は非常に複雑であるので、高い解像度で観察する必要がある。つまり、これらの系における困難とは、広大な初期条件空間をくまなく探索しなければならないということなのである。そうしてはじめて量子系との対応を議論できるようになる。そのような作業の結果としてこの研究で見出されたことは、1)カオス的な軌道は全て原子から無限遠へ飛び出す(イオン化を起こす)、2)相空間には非自明なトーラスが埋め込まれている、3)カオスとトーラスの織りなす非常に複雑な構造が見出されたことである。また、それらを応用して原子や分子の古典力学的な表現を探求している。原子や分子のモデルを、クーロン力によって相互作用する独立した粒子のシステムとして扱う場合、ほとんど単純化をせずに相空間を広汎に調べた研究というものはあまり例がない。そして、その結果として幾つか重要と思われる知見が得られている。単純化したモデルにおいて量子古典対応を研究した例は非常に多いが、それでだけでは量子古典対応などの問題の未解決な点をあらわにすることは出来ないのではないかと考えられる。なお、この論文内での約束事は次の通りである。1)軌道の初期条件で、とくに記していない変数はその配置で決まっているか、そうでなければ0である。2)先に刊行されている論文[1]との用語の統一を図るため、トーラスの名称などはとくに英語で記した。3)物性研究版では、本文と図の一部が省略されている。