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多電子系の遍歴・局在・秩序化(第51回 物性若手夏の学校(2006年度))

Yoshio Kuramoto

Published Feb 20, 2007• 0 citations
OpenAlex

Abstract

単独の電子は,質量・電荷・スピンで特徴付けられ,その性質は定量的によくわかっている。しかし,このような電子が多数集まると,非常に豊かで思いがけない性質を示す。固体中に凝縮した電子が示す超伝導,強磁性,分数量子ホール効果などはその例である。単独の電子の固有状態は,自由空間では平面波であるが,多数の電子の固有状態は必ずしも平面波ではない。すなわち斥力相互作用が強いと,平面波状態は不安定になり,多数の電子は自発的に局在する。この状態は,電子の結晶とみなせる。それでは逆に,平面波状態(フェルミ液体状態)は電子間の相互作用があっても生き残れるか,と問うこともできる。実はこの答えは単純ではない。その際,系の次元性が本質的に重要になる。この講義では,量子多体系としての電子系が示す興味ある性質を理解するために,単純な例から出発して重要な基本概念を説明する。特に,近藤効果,朝永・ラッティンジャー流体,モット絶縁体,動的有効場などを直感的に理解できるようにしたい。また,できるだけ最近の実験結果を含む新しい例題を選んで,量子多体系に関する最先端研究の現状がわかるようにしたい。

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強相関電子系の物理(第55回物性若手夏の学校(2010年度),講義ノート)

Norio Kawakami

近年、凝縮系物理で注目を集めている強相関電子系について、いくつかの例を取り上げて入門的な講義を行う。まず、強相関電子系における豊富な物理について説明した後、量子揺らぎの最も大きい「1次元電子系」の話題から始める。1次元系の普遍的性質を記述する「朝永ラッティンジャー液体」を臨界現象という観点からながめてみると、多様性の中に潜む「美くしさ」が自然に浮きあがる。カーボンナノチューブや量子細線への応用も紹介する。次に、多体効果の典型例である局所的な電子相関「近藤効果」について概説する。近藤効果は古くから研究されているが、最近でも重い電子系や量子ドット系など、広い分野で精力的に研究が展開されている。いたるところに顔を出す、とびきり重要な概念である。近藤効果には電子相関のエッセンスが凝縮されており、実験の人もぜひマスターしたい必須アイテムである。最後に「モット転移」の話をする。特に、強相関現象の解明には欠かせない動的平均場理論を紹介する。電子相関効果を扱うことは一般に難しいが、「局所的な相関効果を正確に扱おう」というアプローチが動的平均場のエッセンスである。「平均場なのにダイナミクスが扱えるの?」という疑問にも答えたい。

•Jan 5, 2011•0 citations

多電子系の遍歴・局在・秩序化(第51回 物性若手夏の学校(2006年度))

義夫 倉本

物性研究•Feb 20, 2007•0 citations

特集2 : 研究解説 : 量子細線の電気抵抗の温度依存性 : 朝永・ラティンジャー液体の不純物散乱

秀敏 福山, 良演 白崎, 浩 河野

1次元電子系においては相互作用が本質的な役割を果し,フェルミ液体は安定ではなく朝永・ラティンジャー液体となることが理論的に明らかにされてから久しい.最近の微細構造作成技術の進歩はこの理論的知見を現実の系において検討し新しい可能性を探求することを可能にした1).本稿ではこの1次元電子系の多体効果の問題を電気抵抗の温度依存性という観点から調べる.

生産研究•Feb 1, 1993•0 citations

分化理論による量子現象の統一的解釈量子場から測定までを結ぶ基礎的解釈枠組み

昌続 新関

本稿は、量子場、波動性と粒子性、重ね合わせ、量子確率、測定、量子トンネル、量子もつれ、不確定性原理、スピン、粒子の生成と消滅、真空を、分化理論の観点から統一的に読み直すための基礎的解釈枠組みを提示する。本稿における分化とは、複数の可能性を含む状態から、相互作用を通して区別可能な状態または関係が成立し、その区別が物理的記録として保持されることを指す。量子を場の励起、重ね合わせを複数の分化可能性が保持された状態、測定を区別可能な記録が成立する過程として解釈する。ただし、本枠組みは量子力学の数学的形式を置き換えるものではなく、独立した予測を行う完成した物理理論でもない。ボルン則、スピン、質量、結合定数、色荷および世代構造の数理的導出が未解決であることを明示する。キーワード 分化理論、量子場、重ね合わせ、測定、量子もつれ、量子基礎論

•Sep 14, 2026•0 citations

量子ゆらぎが大きな系での量子ダイナミックスと緩和現象(第44回 物性若手夏の学校(1999年度),講義ノート)

Seiji Miyashita

最近、興味を持たれているナノスケール系での動的現象を紹介し、それらを解析する量子力学、統計力学的方法をいろいろ調べ、それぞれの特徴を議論する。また、量子ゆらぎが大きな系での外場への応答の新しい特徴を考察する。それぞれの解析における数値計算の具体的手法についても触れる。

•Nov 20, 1999•0 citations

孤立量子系の緩和の時間スケールについての理論的研究

Takashi Mori

時間反転対称性を持つミクロな力学法則からどのように熱平衡状態への緩和のような不可逆な現象が生じるかを説明することは理論物理学の大きな問題の一つである。近年、外界から孤立した量子系が熱平衡状態に緩和するための条件について理解が進んできたが、実際の物理系が熱平衡状態に緩和するまでにどの程度の時間がかかるかについては依然として難しい問題である。孤立量子系の熱平衡化の時間スケールの問題について理解を深めるため、孤立系に人工的に弱い散逸を加えた開放量子系の解析を行ない、その散逸ダイナミクスを記述するリンドブラディアンのスペクトルギャップの解析を行なった。理論的な予想によれば、スペクトルギャップは熱力学的極限において不連続性を示し、熱力学的極限の後に散逸を弱くする極限をとることによって、孤立量子系の熱平衡化に必要な緩和時間が定量的にわかるというものである。特に、着目系に粒子数一定などの保存量がある場合に、この予想が正しいことを確認した。さらに、このようなスペクトルギャップの不連続性を数学的にうまく利用することによって、開放量子系のダイナミクスを記述するリンドブラッド方程式の微視的導出が可能となることを明らかにし、プレプリントを公開した。 また、以上の理論的進展について、日本物理学会年次大会のシンポジウムで招待講演を行なった。 It is one of the most challenging problems in theoretical physics to elucidate how irreversible phenomena like the relaxation to thermal equilibrium arises from reversible microscopic law. In recent years, some progress has been made on our understanding of the condition under which a quantum system that is isolated from the surrounding environment relaxes towards thermal equilibrium. However, it is still a hard problem to evaluate how long time it takes for the system to thermalize. To get insights on the problem of timescale of thermalization in isolated quantum systems, we investigate an open quantum system, where artificial weak dissipation is introduced to the given isolated system. In particular, I focus on the spectral gap of the Lindbladian, which is the generator of the dissipative dynamics of such a system. According to the theoretical conjecture, the spectral gap shows discontinuity in the thermodynamic limit, and one can obtain the relaxation time by considering the double limit where the weak-dissipation limit is taken after the thermodynamic limit. I have confirmed that this conjecture is true when there are some conserved quantities like the number of particles. Moreover, I have shown that the discontinuity of the spectral gap allows us to microscopically derive the Lindblad equation, which is a fundamental equation describing the dynamics of open quantum systems, and this result is reported in the preprint. I also gave an invited talk on the above theoretical progress in the JPS annual meeting.

•Jan 1, 2024•0 citations
単独の電子は,質量・電荷・スピンで特徴付けられ,その性質は定量的によくわかっている。しかし,このような電子が多数集まると,非常に豊かで思いがけない性質を示す。固体中に凝縮した電子が示す超伝導,強磁性,分数量子ホール効果などはその例である。単独の電子の固有状態は,自由空間では平面波であるが,多数の電子の固有状態は必ずしも平面波ではない。すなわち斥力相互作用が強いと,平面波状態は不安定になり,多数の電子は自発的に局在する。この状態は,電子の結晶とみなせる。それでは逆に,平面波状態(フェルミ液体状態)は電子間の相互作用があっても生き残れるか,と問うこともできる。実はこの答えは単純ではない。その際,系の次元性が本質的に重要になる。この講義では,量子多体系としての電子系が示す興味ある性質を理解するために,単純な例から出発して重要な基本概念を説明する。特に,近藤効果,朝永・ラッティンジャー流体,モット絶縁体,動的有効場などを直感的に理解できるようにしたい。また,できるだけ最近の実験結果を含む新しい例題を選んで,量子多体系に関する最先端研究の現状がわかるようにしたい。
近年、凝縮系物理で注目を集めている強相関電子系について、いくつかの例を取り上げて入門的な講義を行う。まず、強相関電子系における豊富な物理について説明した後、量子揺らぎの最も大きい「1次元電子系」の話題から始める。1次元系の普遍的性質を記述する「朝永ラッティンジャー液体」を臨界現象という観点からながめてみると、多様性の中に潜む「美くしさ」が自然に浮きあがる。カーボンナノチューブや量子細線への応用も紹介する。次に、多体効果の典型例である局所的な電子相関「近藤効果」について概説する。近藤効果は古くから研究されているが、最近でも重い電子系や量子ドット系など、広い分野で精力的に研究が展開されている。いたるところに顔を出す、とびきり重要な概念である。近藤効果には電子相関のエッセンスが凝縮されており、実験の人もぜひマスターしたい必須アイテムである。最後に「モット転移」の話をする。特に、強相関現象の解明には欠かせない動的平均場理論を紹介する。電子相関効果を扱うことは一般に難しいが、「局所的な相関効果を正確に扱おう」というアプローチが動的平均場のエッセンスである。「平均場なのにダイナミクスが扱えるの?」という疑問にも答えたい。
1次元電子系においては相互作用が本質的な役割を果し,フェルミ液体は安定ではなく朝永・ラティンジャー液体となることが理論的に明らかにされてから久しい.最近の微細構造作成技術の進歩はこの理論的知見を現実の系において検討し新しい可能性を探求することを可能にした1).本稿ではこの1次元電子系の多体効果の問題を電気抵抗の温度依存性という観点から調べる.
本稿は、量子場、波動性と粒子性、重ね合わせ、量子確率、測定、量子トンネル、量子もつれ、不確定性原理、スピン、粒子の生成と消滅、真空を、分化理論の観点から統一的に読み直すための基礎的解釈枠組みを提示する。本稿における分化とは、複数の可能性を含む状態から、相互作用を通して区別可能な状態または関係が成立し、その区別が物理的記録として保持されることを指す。量子を場の励起、重ね合わせを複数の分化可能性が保持された状態、測定を区別可能な記録が成立する過程として解釈する。ただし、本枠組みは量子力学の数学的形式を置き換えるものではなく、独立した予測を行う完成した物理理論でもない。ボルン則、スピン、質量、結合定数、色荷および世代構造の数理的導出が未解決であることを明示する。キーワード 分化理論、量子場、重ね合わせ、測定、量子もつれ、量子基礎論
時間反転対称性を持つミクロな力学法則からどのように熱平衡状態への緩和のような不可逆な現象が生じるかを説明することは理論物理学の大きな問題の一つである。近年、外界から孤立した量子系が熱平衡状態に緩和するための条件について理解が進んできたが、実際の物理系が熱平衡状態に緩和するまでにどの程度の時間がかかるかについては依然として難しい問題である。孤立量子系の熱平衡化の時間スケールの問題について理解を深めるため、孤立系に人工的に弱い散逸を加えた開放量子系の解析を行ない、その散逸ダイナミクスを記述するリンドブラディアンのスペクトルギャップの解析を行なった。理論的な予想によれば、スペクトルギャップは熱力学的極限において不連続性を示し、熱力学的極限の後に散逸を弱くする極限をとることによって、孤立量子系の熱平衡化に必要な緩和時間が定量的にわかるというものである。特に、着目系に粒子数一定などの保存量がある場合に、この予想が正しいことを確認した。さらに、このようなスペクトルギャップの不連続性を数学的にうまく利用することによって、開放量子系のダイナミクスを記述するリンドブラッド方程式の微視的導出が可能となることを明らかにし、プレプリントを公開した。 また、以上の理論的進展について、日本物理学会年次大会のシンポジウムで招待講演を行なった。 It is one of the most challenging problems in theoretical physics to elucidate how irreversible phenomena like the relaxation to thermal equilibrium arises from reversible microscopic law. In recent years, some progress has been made on our understanding of the condition under which a quantum system that is isolated from the surrounding environment relaxes towards thermal equilibrium. However, it is still a hard problem to evaluate how long time it takes for the system to thermalize. To get insights on the problem of timescale of thermalization in isolated quantum systems, we investigate an open quantum system, where artificial weak dissipation is introduced to the given isolated system. In particular, I focus on the spectral gap of the Lindbladian, which is the generator of the dissipative dynamics of such a system. According to the theoretical conjecture, the spectral gap shows discontinuity in the thermodynamic limit, and one can obtain the relaxation time by considering the double limit where the weak-dissipation limit is taken after the thermodynamic limit. I have confirmed that this conjecture is true when there are some conserved quantities like the number of particles. Moreover, I have shown that the discontinuity of the spectral gap allows us to microscopically derive the Lindblad equation, which is a fundamental equation describing the dynamics of open quantum systems, and this result is reported in the preprint. I also gave an invited talk on the above theoretical progress in the JPS annual meeting.