量子コンピューターにおける量子誤り訂正と発熱
領一 山上
Abstract
コンピューターの高速化は遺伝子解析、気象、海洋、原子力、宇宙・航空の設計やシミュレーションなどのあらゆる分野で求められており、特定の計算を高速で行える量子コンピューターの開発が期待されている。量子コンピューターとは従来の古典ビットの代わりに0 と1の両方の状態を同時に保持できる量子ビットを用いたコンピューターであり、重ね合わせの原理を用いた並列処理による高速演算が期待されている。特に超伝導を用いた超伝導量子ビットについて研究が盛んであるが、実現にあたり、課題の一つが量子ビットは環境による影響で重ね合わせ状態が壊れてしまう点にある。量子状態は複製が不可能であり、量子コンピューターは重ね合わせ状態を保持したまま演算を行うため観測することが許されない。そのため、本来誤っているかどうかを判断するべき状態について、量子回路を用いてエンタングルした状態を生成し冗長性をもたせることで、量子誤り訂正を行う。本研究では環境の影響によってエラーが発生したときの量子誤り訂正について、高温領域と低温領域に分けて考察し、熱のやりとりと量子誤り訂正との関係を明らかにすることを目的としている。その結果、3量子ビットコードを用いた場合は、|0⟩、|1⟩ 状態にエネルギー差があるとき、熱の放出を伴う低温領域では量子状態が壊れてしまい、誤り訂正を行うことが出来ないが、高温領域では誤りを検出可能であることを示した。