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S=1/2 Heisenberg梯子模型の密度行列繰り込み群による研究

Takeshi Narushima

Published Feb 20, 1998• 0 citations
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Abstract

Haldaneが1983年に,反強磁性Heisenberg鎖の基底状態について整数スピンと半奇整数スピンとは定性的に異なり,半奇整数スピンでは励起にギャップがないが整数スピンではギャップ(Haldaneギャップ)が存在すると主張して以来,S=1反強磁性Heisenberg鎖は理論・実験両面で盛んに研究されてきた。交換相互作用J(>0)の2本のS=1/2反強磁性Heisenberg鎖を鎖間相互作用-λJでつないだS=1/2 Heisenberg梯子模型はS=1/2 (λ=0)とS=1(λ→∞)の反強磁性Heisenberg鎖のクロス・オーバーがみられるため,Haldane状態の理解に関連して興味が持たれている。特に無限小の鎖間相互作用でS=1のHaldaneギャップと本質的に同等なエネルギー・ギャップを持つ相(Haldane相)が実現されているかが調べられてきたが,プロジェクター・モンテカルロ法や厳密対角化を用いたこれまでの数値的な研究では系のサイズが小さすぎるため,無限系への外挿の際の誤差が大きく明確な結論が得られていない。一方,最近Whiteにより提案された密度行列繰り込み群の方法は大きな系の低励起状態を精度よく求められると期待されている。そこで,この方法によりギャップや相関長の臨界的性質を求めてみた。その結果,鎖間相互作用-λJが非常に小さい領域までHaldane相が続いており,鎖内に1軸性の異方性Δを入れ,これを等方点△=1より少し小さくしたときにも,強磁性的な鎖間相互作用が少しでも入ればHaldane相に転移するこどを示唆する結果を得た。転移はKosterlitz-Thouless的ではなく2次転移のようである。またλ=1のときのHaldane相と反強磁性相の間の相転移も調べ,転移点△_c≈1.15を得た。さらに,以上より推察される△-λの相図を提案した。

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S=1/2 Heisenberg梯子模型の密度行列繰り込み群による研究

毅 成島

物性研究 6 9 -5( 1 9 9 8 -2 ) S-1 / 2H e i s e n b e r g梯子模型の 密度行列繰 り込み群 に よる研 究* 筑波大学物理学研究科 成 島 毅I ( 1 9 9 7年 1 1月2 5日受理) Ab s t r a c t Ha ld a neが 1 9 8 3年に,反強磁性 He i s e n b e r g銀の基底状態 について整数ス ピンと半奇整 数ス ピンとは定性的に異な り,半奇整数ス ピンでは励起 にギャップがないが整数ス ピンで はギャップ ( Ha l d a n eギャップ) が存在すると主張 して以来,∫ ≡1反強磁性 He i s e n b e r g鎖 は理論 ・ 実験両面で盛んに研究 されてきた。 交換相互作用 J ( >0 ) の 2 本の β-1 / 2反強磁性 He i s e n b e r g鎖 を鎖間相互作用 一入 Jで つないだ S=1 / 2He i s e n b e r g梯子模型は S=1 / 2( 入= 0 )と S= ・ 1( A-∞)の反強磁性 He i S e n b e r g鎖のクロス ・オーバーがみ られるため,Ha ld a n e 状態の理解 に関連 して興味が 持たれている。特に無限小の鎖間相互作用で ∫=1の Ha l d a n eギャップ と本質的に同等な エネルギー ・ギャップを持つ相 ( Ha l d a n e 相) が実現 されているかが調べ られて きたが,プ ロジェクター ・ モ ンテカルロ法や厳密対角化 を用いたこれまでの数値的な研究では系のサ イズが小 さす ぎるため,無限系への外挿の際の琴差が大 きく明確 な結論が得 られていない。 一方,最近 Wl l i t eにより提案 された密度行列繰 り込み群の方法は大 きな系の低励起状態 を 精度 よく求め られると期待 されている。そこで,この方法によ りギャップや相関長の臨界 的性質 を求めてみた。 その結果,銀閣相互作用 一入 Jが非常 に小 さい領域 まで Ha l d a n e 相が続いてお り,鎖内 に 1 軸性の異方牲 △ を入れ,これを等方点 △=1より少 し小 さ くしたときにも,強磁性 的な銀閣相互作用が少 しで も入れば Ha l d a n e 相 に転移することを示唆する結果 を得た。転 移は Ko s t e r l i t z -Th o u l e s s 的ではな く2次転移の ようである。また 入=1の ときの Ha ld a n e 相 と反強磁性相の間の相転移 も調べ,転移点 △ C 符 1 . 1 5を得 た.さらに,以上 よ り推察 さ れる △一入の相図を提案 した。 ・ 1 9 9 4 年度 修士論文 I 1 9 9 5 年 4月 より花王株式会社 包材 ・ 加工技術研究所

物性研究•Feb 20, 1998•0 citations

可逆な多体系ボーム力学からの粘性の創発― 横運動量拡散、量子揺動散逸関係、および流体力学極限 ―

Kawaguchi Masanori

本研究は、可逆な多体系量子力学から、不可逆に見える粘性および横運動量拡散がどのように創発し得るかを、Bohm力学、Rubin型bathモデル、一般化Langevin方程式、および流体力学極限を用いて検討したものである。 まず、閉じた少数粒子Bohm系、粒子数を増加させた系、および相互作用強度を増加させた系について横運動量自己相関を数値的に解析した。その結果、粒子数の増加や相互作用の強化だけでは、Navier–Stokes型の横運動量拡散に必要な Γ⊥(k) ∝ k² の関係は現れず、振動や再帰が残ることを確認した。 次に、resolvedな横運動量モードを、多数の未解像自由度からなるRubin型調和bathへ局所的に結合した可逆Hamiltonianを導入した。局所隣接差のFourier変換から λk = 4 sin²(k/2) が得られ、長波長極限では λk = k² + O(k⁴) となる。このモデルにおいて、bathのモード密度を増加させると、横運動量相関は指数減衰へ近づき、 Γ⊥(k) = νk² + O(k⁴) が数値的に得られることを確認した。これにより、 ν = lim(k→0) Γ⊥(k)/k² として動粘性係数を定義し、せん断粘性 ηshear = ρν へ接続できる。 さらに、量子化した二次Rubin Hamiltonianを純粋Gaussian状態として厳密に時間発展させ、Bohm軌道ensembleから得られる平均運動量応答が標準量子力学のresolved momentum responseと一致することを確認した。同一のspectral densityからmemory kernelと揺らぎ相関を構成し、量子fluctuation–dissipation relationおよびその高温における古典極限を数値的に検証した。また、平衡運動量自己相関とimpulse responseの一致を通じてOnsager回帰も確認した。 有限bathでは再帰が生じるが、bathモード数の増加に伴いhydrodynamicな指数減衰が成立する時間窓が拡大し、再帰時間が連続スペクトル極限で無限遠へ押し出されることを示した。全体系は可逆かつユニタリである一方、resolved subsystemのみを見ると、横運動量の情報が多数の未解像自由度へ分散し、有限観測時間では回収不能となることで、有効な散逸と粘性が現れる。 本研究は、Bohm量子ポテンシャルそのものを粘性と同一視するものではない。また、すべての実在流体における粘性の普遍的起源を証明するものでもない。むしろ、可逆な微視的Hamiltonian、多数の未解像モード、memory loss、連続スペクトル極限、および長波長極限を通じて、Navier–Stokes型横運動量拡散と粘性係数がどのように創発し得るかを、明示的かつ再現可能なモデルによって示すことを目的とする。

•Oct 2, 2026•0 citations

EinsteinのA係数とB係数

勝義 山崎, Katsuyoshi Yamasaki

物質による光の吸収や放出(発光)について学ぼうとすると,例外なくEinsteinのA係数とB係数に遭遇する。A係数は励起状態にある分子(原子も含む)の発光しやすさの定量的尺度であり,励起分子が数密度n*(単位:m^−3)で存在するとき,A係数とn*との積A・n*が単位時間,単位体積あたりに光を自然放出する分子の数(単位:m^−3⋅s^−1),つまり,単位時間,単位体積あたりに放出される光子の数を与える。一方,B係数は光の吸収しやすさの尺度であるが,数密度n(単位:m^−3)で存在する分子に光が照射されるとき,単位時間,単位体積あたりに光を吸収する分子の数がB・nで表されるかというと,そうではない。正しくは,B・ρ・nであり,分光放射エネルギー密度ρが必要となる。まず,ρの単位について考えると,エネルギー密度という名称であるからJ⋅m^−3 という単位をもつと考えてしまいがちであるが,これは誤りである。たとえば,ρの代表例であるPlanckの式ρ(ν)の単位はJ⋅m^−3⋅sであり,時間sが含まれる。そこで,エネルギーの密度という名称なのになぜ時間が入ってくるのか,「単位体積あたりのエネルギー×時間」とは何なのか,などなど疑問があふれ出てくることになる。また,Bについては,単位J⋅m^−3⋅sをもつρとの積でs^−1という単位を与えるから単位J^−1⋅m^3⋅s^−2をもつことは間違いないが,物理量の意味を想像できるような単位ではないので,途方に暮れてしまうことになる。本書は,ρの単位に関する疑問を解き,EinsteinのA係数とB係数の中身および係数同士の関係,さらに,光吸収断面積(吸光係数)とEinstein係数との関係を理解するために書かれたmonographである。

•Oct 20, 2024•0 citations

交互次近接相互作用を有するスピン1/2強磁性‐反強磁性交互Heisenberg鎖のトポロジカル相

Hida Kazuo

Journal of the Physical Society of Japan•Jan 1, 2016•0 citations

振幅構造による対象生成の一般理論

Hiroki Yamashita

本稿は、可能性・確率・評価・対象の関係を振幅構造に基づいて再構成する理論を提示する。従来の評価理論では評価対象は確率分布として与えられ、評価は結果の統計的分布に対して定義されてきた。しかし確率分布は振幅の位相関係を保持しないため、生成経路の干渉構造を完全には表現しない。本稿はこの点に着目し、可能性の基礎表現を確率分布ではなく振幅構造として定式化する。 応答空間 V に対して振幅 ψ : V → ℂ を導入し、振幅空間 H = L²(V) を可能性構造の基礎空間として与える。確率分布 μ(v)=|ψ(v)|² は振幅からボルン写像によって誘導される統計的表現にすぎず、振幅に含まれる位相関係や干渉構造を保持しない。したがって生成経路の差異や干渉構造を評価に反映させるためには、評価は確率分布ではなく振幅空間上で定義される必要がある。 本稿では評価を振幅空間上の写像 Eval : H → ℝ として定式化し、ヒルベルト空間の構造条件の下で評価が二次形式 Eval(ψ)=⟨ψ,Aψ⟩ として表現されることを示す。ここで A は振幅構造に対する評価軸を与える自己共役演算子である。評価演算子のスペクトル構造を分析すると、その固有状態は評価関数の停留点を与えることが示される。本稿ではこの振幅状態を評価安定状態と呼ぶ。 さらに評価安定状態は評価過程の下で再同定される構造を形成するため、この安定振幅構造を対象として解釈することができる。すなわち対象とは、振幅空間において評価が安定した振幅構造として生成される。 以上の結果から、生成構造は 生成経路 → 振幅 → 分布 → 評価 → 対象 という階層構造として記述される。確率分布は振幅構造から誘導される統計的表現であり、対象は振幅構造における評価安定状態として生成される。本理論において存在とは、可能性の干渉構造の中で評価が安定した振幅構造として理解される。

•Mar 13, 2026•0 citations

外场存在时S=1 Heisenberg反铁磁链的能隙

李嘉亮

在自洽平均场的理论基础上,讨论了S=1 Heisenberg反铁磁链Haldane能隙对外场的信赖特性,给出了能隙随外变化的数值关系,并与电子自旋共振技术实验以及其它理论所得的结果进行了比较。

Journal of Changshu Institute of Technology•Jan 1, 1999•0 citations
Haldaneが1983年に,反強磁性Heisenberg鎖の基底状態について整数スピンと半奇整数スピンとは定性的に異なり,半奇整数スピンでは励起にギャップがないが整数スピンではギャップ(Haldaneギャップ)が存在すると主張して以来,S=1反強磁性Heisenberg鎖は理論・実験両面で盛んに研究されてきた。交換相互作用J(>0)の2本のS=1/2反強磁性Heisenberg鎖を鎖間相互作用-λJでつないだS=1/2 Heisenberg梯子模型はS=1/2 (λ=0)とS=1(λ→∞)の反強磁性Heisenberg鎖のクロス・オーバーがみられるため,Haldane状態の理解に関連して興味が持たれている。特に無限小の鎖間相互作用でS=1のHaldaneギャップと本質的に同等なエネルギー・ギャップを持つ相(Haldane相)が実現されているかが調べられてきたが,プロジェクター・モンテカルロ法や厳密対角化を用いたこれまでの数値的な研究では系のサイズが小さすぎるため,無限系への外挿の際の誤差が大きく明確な結論が得られていない。一方,最近Whiteにより提案された密度行列繰り込み群の方法は大きな系の低励起状態を精度よく求められると期待されている。そこで,この方法によりギャップや相関長の臨界的性質を求めてみた。その結果,鎖間相互作用-λJが非常に小さい領域までHaldane相が続いており,鎖内に1軸性の異方性Δを入れ,これを等方点△=1より少し小さくしたときにも,強磁性的な鎖間相互作用が少しでも入ればHaldane相に転移するこどを示唆する結果を得た。転移はKosterlitz-Thouless的ではなく2次転移のようである。またλ=1のときのHaldane相と反強磁性相の間の相転移も調べ,転移点△_c≈1.15を得た。さらに,以上より推察される△-λの相図を提案した。
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本研究は、可逆な多体系量子力学から、不可逆に見える粘性および横運動量拡散がどのように創発し得るかを、Bohm力学、Rubin型bathモデル、一般化Langevin方程式、および流体力学極限を用いて検討したものである。 まず、閉じた少数粒子Bohm系、粒子数を増加させた系、および相互作用強度を増加させた系について横運動量自己相関を数値的に解析した。その結果、粒子数の増加や相互作用の強化だけでは、Navier–Stokes型の横運動量拡散に必要な Γ⊥(k) ∝ k² の関係は現れず、振動や再帰が残ることを確認した。 次に、resolvedな横運動量モードを、多数の未解像自由度からなるRubin型調和bathへ局所的に結合した可逆Hamiltonianを導入した。局所隣接差のFourier変換から λk = 4 sin²(k/2) が得られ、長波長極限では λk = k² + O(k⁴) となる。このモデルにおいて、bathのモード密度を増加させると、横運動量相関は指数減衰へ近づき、 Γ⊥(k) = νk² + O(k⁴) が数値的に得られることを確認した。これにより、 ν = lim(k→0) Γ⊥(k)/k² として動粘性係数を定義し、せん断粘性 ηshear = ρν へ接続できる。 さらに、量子化した二次Rubin Hamiltonianを純粋Gaussian状態として厳密に時間発展させ、Bohm軌道ensembleから得られる平均運動量応答が標準量子力学のresolved momentum responseと一致することを確認した。同一のspectral densityからmemory kernelと揺らぎ相関を構成し、量子fluctuation–dissipation relationおよびその高温における古典極限を数値的に検証した。また、平衡運動量自己相関とimpulse responseの一致を通じてOnsager回帰も確認した。 有限bathでは再帰が生じるが、bathモード数の増加に伴いhydrodynamicな指数減衰が成立する時間窓が拡大し、再帰時間が連続スペクトル極限で無限遠へ押し出されることを示した。全体系は可逆かつユニタリである一方、resolved subsystemのみを見ると、横運動量の情報が多数の未解像自由度へ分散し、有限観測時間では回収不能となることで、有効な散逸と粘性が現れる。 本研究は、Bohm量子ポテンシャルそのものを粘性と同一視するものではない。また、すべての実在流体における粘性の普遍的起源を証明するものでもない。むしろ、可逆な微視的Hamiltonian、多数の未解像モード、memory loss、連続スペクトル極限、および長波長極限を通じて、Navier–Stokes型横運動量拡散と粘性係数がどのように創発し得るかを、明示的かつ再現可能なモデルによって示すことを目的とする。
物質による光の吸収や放出(発光)について学ぼうとすると,例外なくEinsteinのA係数とB係数に遭遇する。A係数は励起状態にある分子(原子も含む)の発光しやすさの定量的尺度であり,励起分子が数密度n*(単位:m^−3)で存在するとき,A係数とn*との積A・n*が単位時間,単位体積あたりに光を自然放出する分子の数(単位:m^−3⋅s^−1),つまり,単位時間,単位体積あたりに放出される光子の数を与える。一方,B係数は光の吸収しやすさの尺度であるが,数密度n(単位:m^−3)で存在する分子に光が照射されるとき,単位時間,単位体積あたりに光を吸収する分子の数がB・nで表されるかというと,そうではない。正しくは,B・ρ・nであり,分光放射エネルギー密度ρが必要となる。まず,ρの単位について考えると,エネルギー密度という名称であるからJ⋅m^−3 という単位をもつと考えてしまいがちであるが,これは誤りである。たとえば,ρの代表例であるPlanckの式ρ(ν)の単位はJ⋅m^−3⋅sであり,時間sが含まれる。そこで,エネルギーの密度という名称なのになぜ時間が入ってくるのか,「単位体積あたりのエネルギー×時間」とは何なのか,などなど疑問があふれ出てくることになる。また,Bについては,単位J⋅m^−3⋅sをもつρとの積でs^−1という単位を与えるから単位J^−1⋅m^3⋅s^−2をもつことは間違いないが,物理量の意味を想像できるような単位ではないので,途方に暮れてしまうことになる。本書は,ρの単位に関する疑問を解き,EinsteinのA係数とB係数の中身および係数同士の関係,さらに,光吸収断面積(吸光係数)とEinstein係数との関係を理解するために書かれたmonographである。
本稿は、可能性・確率・評価・対象の関係を振幅構造に基づいて再構成する理論を提示する。従来の評価理論では評価対象は確率分布として与えられ、評価は結果の統計的分布に対して定義されてきた。しかし確率分布は振幅の位相関係を保持しないため、生成経路の干渉構造を完全には表現しない。本稿はこの点に着目し、可能性の基礎表現を確率分布ではなく振幅構造として定式化する。 応答空間 V に対して振幅 ψ : V → ℂ を導入し、振幅空間 H = L²(V) を可能性構造の基礎空間として与える。確率分布 μ(v)=|ψ(v)|² は振幅からボルン写像によって誘導される統計的表現にすぎず、振幅に含まれる位相関係や干渉構造を保持しない。したがって生成経路の差異や干渉構造を評価に反映させるためには、評価は確率分布ではなく振幅空間上で定義される必要がある。 本稿では評価を振幅空間上の写像 Eval : H → ℝ として定式化し、ヒルベルト空間の構造条件の下で評価が二次形式 Eval(ψ)=⟨ψ,Aψ⟩ として表現されることを示す。ここで A は振幅構造に対する評価軸を与える自己共役演算子である。評価演算子のスペクトル構造を分析すると、その固有状態は評価関数の停留点を与えることが示される。本稿ではこの振幅状態を評価安定状態と呼ぶ。 さらに評価安定状態は評価過程の下で再同定される構造を形成するため、この安定振幅構造を対象として解釈することができる。すなわち対象とは、振幅空間において評価が安定した振幅構造として生成される。 以上の結果から、生成構造は 生成経路 → 振幅 → 分布 → 評価 → 対象 という階層構造として記述される。確率分布は振幅構造から誘導される統計的表現であり、対象は振幅構造における評価安定状態として生成される。本理論において存在とは、可能性の干渉構造の中で評価が安定した振幅構造として理解される。