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© 2026 Aqora Quantum S.A.S.

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振幅構造による対象生成の一般理論

Hiroki Yamashita

Published Mar 13, 2026• 0 citations
Publisher

Abstract

本稿は、可能性・確率・評価・対象の関係を振幅構造に基づいて再構成する理論を提示する。従来の評価理論では評価対象は確率分布として与えられ、評価は結果の統計的分布に対して定義されてきた。しかし確率分布は振幅の位相関係を保持しないため、生成経路の干渉構造を完全には表現しない。本稿はこの点に着目し、可能性の基礎表現を確率分布ではなく振幅構造として定式化する。 応答空間 V に対して振幅 ψ : V → ℂ を導入し、振幅空間 H = L²(V) を可能性構造の基礎空間として与える。確率分布 μ(v)=|ψ(v)|² は振幅からボルン写像によって誘導される統計的表現にすぎず、振幅に含まれる位相関係や干渉構造を保持しない。したがって生成経路の差異や干渉構造を評価に反映させるためには、評価は確率分布ではなく振幅空間上で定義される必要がある。 本稿では評価を振幅空間上の写像 Eval : H → ℝ として定式化し、ヒルベルト空間の構造条件の下で評価が二次形式 Eval(ψ)=⟨ψ,Aψ⟩ として表現されることを示す。ここで A は振幅構造に対する評価軸を与える自己共役演算子である。評価演算子のスペクトル構造を分析すると、その固有状態は評価関数の停留点を与えることが示される。本稿ではこの振幅状態を評価安定状態と呼ぶ。 さらに評価安定状態は評価過程の下で再同定される構造を形成するため、この安定振幅構造を対象として解釈することができる。すなわち対象とは、振幅空間において評価が安定した振幅構造として生成される。 以上の結果から、生成構造は 生成経路 → 振幅 → 分布 → 評価 → 対象 という階層構造として記述される。確率分布は振幅構造から誘導される統計的表現であり、対象は振幅構造における評価安定状態として生成される。本理論において存在とは、可能性の干渉構造の中で評価が安定した振幅構造として理解される。

DOI
10.5281/zenodo.19005170

Related papers

可能性の振幅理論:生成経路・確率・評価

Hiroki Yamashita

本稿は応答可能性を振幅構造として定式化する理論枠組みを提示する。従来の評価理論では、評価対象は単一値あるいは確率分布として扱われ、評価は写像 Eval : M(V) → D として定式化されてきた。しかし確率分布は可能性の統計的強度を与えるが、位相関係や干渉構造を表現することはできない。本稿はこの点に着目し、確率分布をより基礎的な可能性構造から誘導される統計的表現として再解釈する。 そのため応答空間 V 上の複素値関数 ψ : V → ℂ を応答振幅として導入する。振幅 ψ からはボルン写像 μ(v) = |ψ(v)|² により応答分布 μ ∈ M(V) が誘導される。振幅空間はヒルベルト空間 H = L²(V) を形成し、振幅の線形合成には干渉項 2Re(ψ₁\overline{ψ₂}) が現れることにより、確率分布では表現できない可能性間の干渉構造が記述される。さらに生成経路集合 Σ 上の振幅 α : Σ → ℂ を導入し、応答振幅が生成経路振幅の線形合成として構成されることを示す。 この枠組みにおいて応答分布は振幅構造から誘導される統計的表現となり、従来の分布評価 Eval : M(V) → D はボルン写像 B : H → M(V) を通じて振幅空間上の写像 Eval ∘ B : H → D として位置づけられる。これにより本理論は 振幅 → 分布 → 評価 という階層構造を与え、確率分布に基づく従来の評価理論を拡張する。 本稿は、前作(2026)で提示した生成構造における評価段階に先立つ応答可能性の構造を振幅として定式化する。

•Mar 13, 2026•0 citations

時空の複素構造と射影としての世界観――離散時間・交互性・観測の二重構造――

Masaru Morimoto

本稿は、時間・観測・因果といった基礎概念を、複素構造と射影の観点から再構成する試みである。時間を連続量とみなす従来の前提を離れ、実部と虚部が高速に交互入れ替わる離散的な構造を仮定することで、連続性・微分可能性・時間の矢といった現象が観測の側に生じる射影効果として説明される。本研究は、マクスウェル方程式に見られる交互性を手がかりに、時空そのものが複素平面上の回転として存在し、観測とはその実部への射影であるというモデルを提示する。この射影構造は、実在(虚部)と観測(実部)の二重性、世界の多様な見え方、因果律の成立、時間の非対称性を統一的に説明する枠組みを与える。本稿は、理論の生成過程を付録として併録し、構造の成立と思想的背景を併せて示す。

•Jan 30, 2026•0 citations

L2(E*, μ)-WEYL REPRESENTATIONS

Xiaoshan Hu, Zhiyuan Huang, Xiangjun Wang

For the canonical commutation relations in infinite dimensions, we offer an explicit direct construction of Weyl representations Wϕ generated from the Fock representation by any ϕ ∈ L2(E*, μ, R) over the Q-space (E*, μ). Moreover, we obtain that, for any ϕ, ψ ∈ L2(E*, μ,R), Wϕ+ψ and Wϕ are unitarily equivalent, proving a conjecture posed by Robinson in Ref. 2. Our construction employs Wiener–Itô decomposition of the space L2(E*, μ, R) (respectively L2(E*, μ, C)).

Infinite Dimensional Analysis Quantum Probability and Related Topics•Dec 1, 2002•0 citations

最先端の研究開発 量子科学技術研究開発機構

Ryuji Igarashi

量研では,新しい学術領域「量子生命科学」の確立を目指した活動を,国内外の研究者と共に精力的に進めている。量子生命科学とは,最先端の量子技術と量子科学の知見を総合的に利用し,従来不可能であった極微の空間・時間スケールあるいは超高感度での生体内部の観測や生体分子の計測,生命機能のモデリングなどを実現することにより,量子論・量子力学を基盤とした視点から生命全般の根本原理を明らかにすることを目標とし,その原理の産業応用も視野に入れた分野である。本稿では,平成31年4月に量研内に発足した「量子生命科学領域」における研究のアプローチを紹介する。

•Jun 17, 2024•0 citations

有限時間間隔の場の理論 : 場の理論におけるシュレーディンガー描像の因果律について(基研長期研究計画「進化の力学への場の理論的アプローチ」報告,研究会報告)

Kazumasa Nomoto, R. Fukuda

場の理論における因果律の歴史は長く,色々な側面を持っている.特に,それは量子力学の非局所的な性質と深く関わっていて観測問題との関連でも興味深い.因果律の場の量子論的記述(微視的因果律)は,しばしばハイゼンベルグ描像で次の様に表現される1).[φ^<(H)>(x),φ^<(H)>(y)]=0 if (x-y)^2<0 x=(x^0,x),x^2≡x^μx_μ≡x_0^2-x^2 (1.1)ここで,φ(x)は場の演算子であり,それがボーズ場(フェルミオン場)ならば[,]は交換子(反交換子)である.つまり(1.1)は「互いに空間的な2点にある場の演算子は可換である」ということを表している.これは,自由な場のみでなく,局所的な相互作用が存在する場合にも成り立つ.また,このことは局所場の理論の最も本質的な要請のひとつにもなっている.量子力学では,可換な物理量は,互いに影響を及ぼさずに観測できるという原理が存在するので(1.1)は,空間的に離れた2点の観測は互いに影響を及ぼし合わないということを示している.つまり,いかなる場の擾乱(信号)も光速を超えて伝わらないということである.しかし,これは抽象的な演算子の関係であって,いかに信号が伝わるかなどということは判りにくい.そこで,別の描像-シュレーディンガー描像-で因果律がいかに表現されるか調べた.はじめに,初期状態の波動関数が時空の原点に局在したデルタ関数で表されるような一粒子の非相対論的・相対論的な量子拡散(quantum diffusion)について調べた.その結果,非相対論的には局在した次の瞬間には粒子は無限遠方まで場所に依らない確率で拡散してしまい,光速を超えて粒子が運動し得るということがわかる.しかし,非相対論では,光速を無限大と近似しているので当然の結果である.相対論的には,その状況はやや改善され,空間的である領域のうち十分遠方である位置に拡散する確率は殆どゼロになる.しかし,相対論にさえも光円錐の外側のコンプトン波長程度の領域には無視できない確率で粒子を見い出すことができることが,簡単な計算からわかる.したがって,この場合も因果律が破れているといえる.この原因については,現在検討中であるが,一つは初期にデルタ関数の波動関数を用意することが非局所的な操作であることに起因していると考えられる.この問題を避けるために,次に局所的な操作により場に擾乱を与え,それが時間とともに場の中をどのように伝わるかを調べた.先ず,自由な場において時空の原点に擾乱を与えるようなラグランジアンとして次のモデルを考えた.*_0=1/2(∂_μφ(x))(∂^μφ(x))-1/2m^2φ^2(x)+jδ^4(x)φ(x) (1.2)ここで,φ(x)はボーズ場(質量mのスカラーボゾン場)の変数である.時刻t<0で任意の初期状態を用意して(1.2)の系で時間発展させt>0での波動(汎)関数をΨ_F[φ]とする.そこで,終状態の空間的領域の密度行列ρ[φ_s,φ_s]を次の様に定義する.ρ[φ_s,φ_s]=∫[dφ_t]Ψ_F^*[φ]Ψ_F[φ]|_φ_t=φ_t [dφ_t]≡II 0|dφ(x) (1.3)φ_t: 時空の原点(擾乱が加わった点)に対して時間的な領域にある場の変数.φ_s: 時空の原点(擾乱が加わった点)に対して空間的な領域にある場の変数.このとき「ρ[φ_s,φ_s]は,Jに依らない」ということを示すことができる.このことは,場に擾乱が加わった点に対し,空間的な領域の状態はその影響を全く受けないということであり,完全に因果律を満していることがわかる.相互作用が存在しても,局所的であるならば同様のことを示すことができる.つまり,シュレーディンガー描像での因果律は「場の擾乱が加わった点に対して空間的な点における密度行列は場の擾乱の影響を受けない」と表現される.さらに,シュレーディンガー描像の因果律の表現からハイゼンベルグの因果律の表現を導くことができる.このことからシュレーディンガー描像の因果律の表現は,ハイゼンベルグ描像のそれと少なくとも等価,又はそれよりも広い概念を含んでいると考えられる.なお,本文中では自然単位系c=h=1を用いる.

•Aug 20, 1990•0 citations

経路積分的考察による量子力学のプロパゲイターに係わる研究

孝 一瀬, Takashi Ichinose

本研究では,量子力学のプロパゲイター,即ち,シュレーディンガーユニタリ群の積分核,グリーン関数,また虚数時間版のシュレーディンガー半群の熱核を念頭に置いている。この研究では,とりわけ,3つの相異なる磁場付き相対論的シュレーディンガー半群を考え,経路の空間上のレヴィ過程に基づく確率測度による(虚数時間)経路積分表示を確立し,その異なる特徴を明らかにした。また,他の話題,ソレノイド磁場量子散乱におけるアハラノフ・ボーム効果のレゾナンスへの関与や,ベクトル値関数に関する,右辺にディラック作用素が係わるセミノルムを持つ改良ソボレフ不等式についても論じた。

•Jun 9, 2015•0 citations
本稿は、可能性・確率・評価・対象の関係を振幅構造に基づいて再構成する理論を提示する。従来の評価理論では評価対象は確率分布として与えられ、評価は結果の統計的分布に対して定義されてきた。しかし確率分布は振幅の位相関係を保持しないため、生成経路の干渉構造を完全には表現しない。本稿はこの点に着目し、可能性の基礎表現を確率分布ではなく振幅構造として定式化する。 応答空間 V に対して振幅 ψ : V → ℂ を導入し、振幅空間 H = L²(V) を可能性構造の基礎空間として与える。確率分布 μ(v)=|ψ(v)|² は振幅からボルン写像によって誘導される統計的表現にすぎず、振幅に含まれる位相関係や干渉構造を保持しない。したがって生成経路の差異や干渉構造を評価に反映させるためには、評価は確率分布ではなく振幅空間上で定義される必要がある。 本稿では評価を振幅空間上の写像 Eval : H → ℝ として定式化し、ヒルベルト空間の構造条件の下で評価が二次形式 Eval(ψ)=⟨ψ,Aψ⟩ として表現されることを示す。ここで A は振幅構造に対する評価軸を与える自己共役演算子である。評価演算子のスペクトル構造を分析すると、その固有状態は評価関数の停留点を与えることが示される。本稿ではこの振幅状態を評価安定状態と呼ぶ。 さらに評価安定状態は評価過程の下で再同定される構造を形成するため、この安定振幅構造を対象として解釈することができる。すなわち対象とは、振幅空間において評価が安定した振幅構造として生成される。 以上の結果から、生成構造は 生成経路 → 振幅 → 分布 → 評価 → 対象 という階層構造として記述される。確率分布は振幅構造から誘導される統計的表現であり、対象は振幅構造における評価安定状態として生成される。本理論において存在とは、可能性の干渉構造の中で評価が安定した振幅構造として理解される。
本稿は応答可能性を振幅構造として定式化する理論枠組みを提示する。従来の評価理論では、評価対象は単一値あるいは確率分布として扱われ、評価は写像 Eval : M(V) → D として定式化されてきた。しかし確率分布は可能性の統計的強度を与えるが、位相関係や干渉構造を表現することはできない。本稿はこの点に着目し、確率分布をより基礎的な可能性構造から誘導される統計的表現として再解釈する。 そのため応答空間 V 上の複素値関数 ψ : V → ℂ を応答振幅として導入する。振幅 ψ からはボルン写像 μ(v) = |ψ(v)|² により応答分布 μ ∈ M(V) が誘導される。振幅空間はヒルベルト空間 H = L²(V) を形成し、振幅の線形合成には干渉項 2Re(ψ₁\overline{ψ₂}) が現れることにより、確率分布では表現できない可能性間の干渉構造が記述される。さらに生成経路集合 Σ 上の振幅 α : Σ → ℂ を導入し、応答振幅が生成経路振幅の線形合成として構成されることを示す。 この枠組みにおいて応答分布は振幅構造から誘導される統計的表現となり、従来の分布評価 Eval : M(V) → D はボルン写像 B : H → M(V) を通じて振幅空間上の写像 Eval ∘ B : H → D として位置づけられる。これにより本理論は 振幅 → 分布 → 評価 という階層構造を与え、確率分布に基づく従来の評価理論を拡張する。 本稿は、前作(2026)で提示した生成構造における評価段階に先立つ応答可能性の構造を振幅として定式化する。
本稿は、時間・観測・因果といった基礎概念を、複素構造と射影の観点から再構成する試みである。時間を連続量とみなす従来の前提を離れ、実部と虚部が高速に交互入れ替わる離散的な構造を仮定することで、連続性・微分可能性・時間の矢といった現象が観測の側に生じる射影効果として説明される。本研究は、マクスウェル方程式に見られる交互性を手がかりに、時空そのものが複素平面上の回転として存在し、観測とはその実部への射影であるというモデルを提示する。この射影構造は、実在(虚部)と観測(実部)の二重性、世界の多様な見え方、因果律の成立、時間の非対称性を統一的に説明する枠組みを与える。本稿は、理論の生成過程を付録として併録し、構造の成立と思想的背景を併せて示す。
量研では,新しい学術領域「量子生命科学」の確立を目指した活動を,国内外の研究者と共に精力的に進めている。量子生命科学とは,最先端の量子技術と量子科学の知見を総合的に利用し,従来不可能であった極微の空間・時間スケールあるいは超高感度での生体内部の観測や生体分子の計測,生命機能のモデリングなどを実現することにより,量子論・量子力学を基盤とした視点から生命全般の根本原理を明らかにすることを目標とし,その原理の産業応用も視野に入れた分野である。本稿では,平成31年4月に量研内に発足した「量子生命科学領域」における研究のアプローチを紹介する。
場の理論における因果律の歴史は長く,色々な側面を持っている.特に,それは量子力学の非局所的な性質と深く関わっていて観測問題との関連でも興味深い.因果律の場の量子論的記述(微視的因果律)は,しばしばハイゼンベルグ描像で次の様に表現される1).[φ^<(H)>(x),φ^<(H)>(y)]=0 if (x-y)^2<0 x=(x^0,x),x^2≡x^μx_μ≡x_0^2-x^2 (1.1)ここで,φ(x)は場の演算子であり,それがボーズ場(フェルミオン場)ならば[,]は交換子(反交換子)である.つまり(1.1)は「互いに空間的な2点にある場の演算子は可換である」ということを表している.これは,自由な場のみでなく,局所的な相互作用が存在する場合にも成り立つ.また,このことは局所場の理論の最も本質的な要請のひとつにもなっている.量子力学では,可換な物理量は,互いに影響を及ぼさずに観測できるという原理が存在するので(1.1)は,空間的に離れた2点の観測は互いに影響を及ぼし合わないということを示している.つまり,いかなる場の擾乱(信号)も光速を超えて伝わらないということである.しかし,これは抽象的な演算子の関係であって,いかに信号が伝わるかなどということは判りにくい.そこで,別の描像-シュレーディンガー描像-で因果律がいかに表現されるか調べた.はじめに,初期状態の波動関数が時空の原点に局在したデルタ関数で表されるような一粒子の非相対論的・相対論的な量子拡散(quantum diffusion)について調べた.その結果,非相対論的には局在した次の瞬間には粒子は無限遠方まで場所に依らない確率で拡散してしまい,光速を超えて粒子が運動し得るということがわかる.しかし,非相対論では,光速を無限大と近似しているので当然の結果である.相対論的には,その状況はやや改善され,空間的である領域のうち十分遠方である位置に拡散する確率は殆どゼロになる.しかし,相対論にさえも光円錐の外側のコンプトン波長程度の領域には無視できない確率で粒子を見い出すことができることが,簡単な計算からわかる.したがって,この場合も因果律が破れているといえる.この原因については,現在検討中であるが,一つは初期にデルタ関数の波動関数を用意することが非局所的な操作であることに起因していると考えられる.この問題を避けるために,次に局所的な操作により場に擾乱を与え,それが時間とともに場の中をどのように伝わるかを調べた.先ず,自由な場において時空の原点に擾乱を与えるようなラグランジアンとして次のモデルを考えた.*_0=1/2(∂_μφ(x))(∂^μφ(x))-1/2m^2φ^2(x)+jδ^4(x)φ(x) (1.2)ここで,φ(x)はボーズ場(質量mのスカラーボゾン場)の変数である.時刻t<0で任意の初期状態を用意して(1.2)の系で時間発展させt>0での波動(汎)関数をΨ_F[φ]とする.そこで,終状態の空間的領域の密度行列ρ[φ_s,φ_s]を次の様に定義する.ρ[φ_s,φ_s]=∫[dφ_t]Ψ_F^*[φ]Ψ_F[φ]|_φ_t=φ_t [dφ_t]≡II 0|dφ(x) (1.3)φ_t: 時空の原点(擾乱が加わった点)に対して時間的な領域にある場の変数.φ_s: 時空の原点(擾乱が加わった点)に対して空間的な領域にある場の変数.このとき「ρ[φ_s,φ_s]は,Jに依らない」ということを示すことができる.このことは,場に擾乱が加わった点に対し,空間的な領域の状態はその影響を全く受けないということであり,完全に因果律を満していることがわかる.相互作用が存在しても,局所的であるならば同様のことを示すことができる.つまり,シュレーディンガー描像での因果律は「場の擾乱が加わった点に対して空間的な点における密度行列は場の擾乱の影響を受けない」と表現される.さらに,シュレーディンガー描像の因果律の表現からハイゼンベルグの因果律の表現を導くことができる.このことからシュレーディンガー描像の因果律の表現は,ハイゼンベルグ描像のそれと少なくとも等価,又はそれよりも広い概念を含んでいると考えられる.なお,本文中では自然単位系c=h=1を用いる.
本研究では,量子力学のプロパゲイター,即ち,シュレーディンガーユニタリ群の積分核,グリーン関数,また虚数時間版のシュレーディンガー半群の熱核を念頭に置いている。この研究では,とりわけ,3つの相異なる磁場付き相対論的シュレーディンガー半群を考え,経路の空間上のレヴィ過程に基づく確率測度による(虚数時間)経路積分表示を確立し,その異なる特徴を明らかにした。また,他の話題,ソレノイド磁場量子散乱におけるアハラノフ・ボーム効果のレゾナンスへの関与や,ベクトル値関数に関する,右辺にディラック作用素が係わるセミノルムを持つ改良ソボレフ不等式についても論じた。