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環境ノイズに強い高感度固体量子センサー

雄太 増山, Masuyama Yuta

Published Dec 8, 2021• 0 citations
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Abstract

ダイヤモンド量子センサーの感度は、NVセンターの数が増えるほど向上する。そのため、高いセンサー感度を実現するためには、多数のNVセンターが必要となる。我々は、強く効果的なマイクロ波照射法や光励起法の開発により、多数のNVセンターを含む大きな体積のセンサーの制御や読み出しの効率を大幅に改善し、高感度なダイヤモンド量子センサーを開発することに成功した 。

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分子イオン注入によって形成した NV センター対の量子もつれ状態生成

木村 晃介, 小野田 忍, Wataru Kada +6 more

ダイヤモンド中のNVセンターは、高感度・高分解能な量子センサへの応用が期待されている。双極子結合したNVセンター対に量子もつれ状態を生成させてセンシングに応用できれば、さらなる高感度測定が実現できる。我々は、NVセンター対を効率的に形成する分子イオン注入法の開発を行ってきた。本発表では、分子イオン注入によって形成したNVセンター対に量子もつれ状態を生成し、その忠実度がどの程度あるか議論する。

•Sep 21, 2023•0 citations

ダイヤモンドSnV中心を用いた電気機械結合によるマイクロ波–光インターフェイス

関口雄平, ナースィル アブドゥル, 黒川穂高 +16 more

近年、超伝導量子ビットに代表される光に直接結合しない量子デバイスを光量子系と接続するため、ダイヤモンド中の色中心をマイクロ波光子と光学光子の量子インターフェイスとして用いる試みが注目されている。マイクロ波光子は熱雑音の影響を強く受けるため、極低温下での動作を前提に、低いポンプ光強度での動作が重要となる。我々は、色中心をオプトメカニカル結晶中に配置する手法を提案し、理論計算により低ポンプ動作に向けて有望であることを示した。一方で、ダイヤモンドは圧電性を持たないため、機械モード励起に圧電材料を用いると、プロセスの複雑化や損失増加を招く可能性がある。そこで本研究では、圧電材料を用いずに静電力で機械モードの励起を試みた。実験では、SiN 光導波上のダイヤモンドナノフォトニック構造中の単一SnV中心を用いて、約 1.8 GHz の機械共鳴に対応する光学遷移のサイドバンドを観測した。さらに、2 経路同時のサイドバンド遷移によりマイクロ波と光の位相に依存した干渉が確認され、両者が機械モードを介して結合していることが示唆された。本成果は、ダイヤモンド色中心を用いた低雑音量子トランスデューサ実現に向けた基盤的ステップである。

•Mar 18, 2026•0 citations

電子線照射生成 NV センターによる ダイヤモンド光学フォノン場強度の増幅

Takuto Ichikawa, 蔭浦 泰資, 忍 小野田 +1 more

ダイヤモンド中の窒素空孔(NV)センターは、大きな(約 5.5 eV)バンドギャップ 内の深い位置に安定したスピン準位を有しており、準位の読出しによる量子センサ や量子ビットへの応用が期待されている材料である。量子センサに関しては、原理 的には、準位が電場、磁場、温度場、歪場によってシフトすることに基づいており、 外場との相互作用の形式について基礎物理を理解することは重要である。歪場との 相互作用については、従来は機械的共振器などを使用して実施されており、量子系 操作の自由度拡張による量子センシングや量子情報科学への貢献が期待されている。 一方で、我々は、高強度光電場による非線形光学効果を介したコヒーレントな光学 フォノン場(周波数~40 THz)により生じる過渡的な歪場(緩和時定数~7 ps)に注目し、 これまでに NV センターを起源とする非線形分極の寄与によるダイヤモンド中の光 学フォノン場の増強について報告している。[1]本研究では、その増強効果の詳細の 解明を目指して、電子線照射により生成された NV センターを含むダイヤモンドに ついて光学フォノンを計測した結果について報告する。

•Nov 12, 2025•0 citations

超高位置精度の単一色中心形成に向けたレーザー冷却イオン源の開発

穂坂 綱一, 飯澤 正登実, 柏木 啓次 +13 more

ダイヤモンドなどの規則的な結晶格子中で、あるべき原子がない点欠陥(空孔: Vacancy; V)や、不純物原子での置換は、本来なら透明な結晶を着色させる要因になることから色中心とも呼ばれる。特にダイヤモンド中で、空孔(V)と窒素原子(N)が結合した複合欠陥であるNV中心は、単一欠陥での繰り返し計測が可能であり、常温、大気圧下で動作可能な、量子ビットや量子中継器、量子センサー素子として近年、注目を集めている。 NV中心生成法の一つにイオン注入がある。ダイヤモンド基板に数keV以上の窒素原子イオンを注入し熱処理を行うと、高エネルギーイオン注入で生成する多くの点欠陥(V)と、注入した窒素原子(N)が結合し、ビームサイズの領域内にNV中心が確率的に生成される。量子ビットや量子中継器等の量子性を利用した応用では、想定外の相互作用はコヒーレンスを劣化させるため、目的の領域内に単一の色中心のみが存在していることが望ましい。ビームサイズはマスク等で限定し、単純にイオン数を減らす確率的なイオン注入では、2イオンの同時注入が無いほどイオンを減らすと、大半が0イオンとなる。我々は、高い位置精度で単一色中心を決定論的に生成する方法として、イオントラップを利用したレーザー冷却イオン源を開発している。この方法では、単一イオンのみをイオントラップから射出し、100%注入する。また、mKレベルまでレーザー冷却したイオンを適切なレンズで収束させ、数nmの位置精度で注入する。 量子中継器の実現に向け、100nmオーダーの作り込んだダイヤモンド構造体に100nmの深さでの単一NV中心を配置するための、レーザ―冷却イオン源を開発している。レーザ―冷却によりトラップ中で静止させ形成するクーロン結晶から単一イオンを引き出し、+50kVの静電場により加速し、ダイヤモンド基板に注入する。1価のN+イオンの注入では50keVで、2価のN2+イオンでは100keVで注入される。 開発中のレーザー冷却イオン源の概要を図1(a)に示す。様々なイオンを冷却・注入するため、冷却が容易なCa+イオンを冷媒としてレーザー冷却する。外部イオン源で生成したN2+イオンをイオントラップに導入し、レーザー冷却Ca+イオンと共存させることで、直接はレーザー冷却されないN2+イオンもイオン間の相互作用により1mK程度まで冷却される(共同冷却)。+50kVに昇圧したトラップから射出されたN2+イオンは、静電レンズにより、加速・収束されながら、接地されたダイヤモンド基板に数十nmの位置精度で注入され、100nmの深さで停止する。イオン注入で生成した点欠陥(V)と、単一窒素原子(N)をレーザー加熱で熱処理し、形成した単一NV中心を共焦点顕微鏡で、その場観察する。NV中心が観察されない場合には、観測されるまで、点欠陥(V)を追加する。 最近、立ち上げ中のレーザー冷却イオン源実機で、Ca+のレーザ―冷却によるクーロン結晶の形成に成功した。

•Mar 28, 2024•0 citations

日本神経回路学会誌特集「今すぐ使える量子計算!?」

間島 慶

深層学習は神経科学研究・神経データ解析の至るところで使われ、今では欠かせないツールとなった。果たして量子コンピュータもいずれそうなるのだろうか?その答えを今結論することは難しい。GoogleやIBMのロードマップにおいても、誤り耐性万能量子コンピュータ(いわゆる人類の目標としている量子コンピュータ)の登場は2030年以降とされている。神経科学研究・神経データ解析に量子コンピュータを用い、その有用性を享受できるとしても、まだしばらく待たなくてはならない。それでは、昨今の量子コンピュータ開発の盛り上がりは基礎研究で閉じたものであり、今すぐ使えるものはなにもないのであろうか。 現在の量子コンピュータ研究の状況は第一次、第二次AIブームと似た状況にあると言われている。そのため、AI分野発展の歴史・経緯を教訓とし、この盛り上がりを一過性ものとして終わらせないために、いわゆる「冬の時代」を迎えないために、今あるリソースを転用し、活用していく試みがとられている。今回の特集では、その試みを「今すぐ使える量子計算」と題し、解説を行った。 上述の試みは大きく以下の3つに大別することができる。 1) 組合せ最適化問題に特化した専用機(量子イジングマシン、擬似量子イジングマシン)を用いるアプローチ 2) 量子コンピュータ・量子アルゴリズムを研究する過程で生まれた効率的な計算方法を用いるアプローチ 3) 小規模の量子コンピュータであっても、古典コンピュータと組み合わせて活用していく量子–古典ハイブリッドアプローチ 本特集の田中、後藤の記事が1) に、間島、林の記事が2) に、御手洗の記事が 3)にそれぞれ対応する。 量子コンピュータに関する書籍・記事は多くが誤り耐性万能量子コンピュータについてのものであり、本特集のようなテーマについてはこれまでにまとまったもの・体系的なものはなかった。そのため、他に類のない、ユニークな特集になったことだけは間違いない。本特集が量子コンピュータと、神経科学研究・神経データ解析という異分野同士を結ぶ初めての接点となれれば幸いである。

•Jan 1, 2023•0 citations

NVセンタ:量子計算・量子計測で読みとく量子生命科学のフロンティア

石綿 整

NVセンタを用いた量子計測は温度・pH・ラジカルなど様々な生体パラメータを計測可能な次世代量子センサとして注目されている.高い感度や新しいアプリケーションが常に脚光を浴びる中,量子センサを利用するメリットがどこにあるのか簡潔かつ本質的にに解説した論文は少ない.本稿では量子センサの最も根底にある量子状態から,量子計算と量子計測がどこで一致するのかを主軸に,近年の量子生命科学における最先端計測を解説する.

•Apr 1, 2025•0 citations
ダイヤモンド量子センサーの感度は、NVセンターの数が増えるほど向上する。そのため、高いセンサー感度を実現するためには、多数のNVセンターが必要となる。我々は、強く効果的なマイクロ波照射法や光励起法の開発により、多数のNVセンターを含む大きな体積のセンサーの制御や読み出しの効率を大幅に改善し、高感度なダイヤモンド量子センサーを開発することに成功した 。
ダイヤモンド中のNVセンターは、高感度・高分解能な量子センサへの応用が期待されている。双極子結合したNVセンター対に量子もつれ状態を生成させてセンシングに応用できれば、さらなる高感度測定が実現できる。我々は、NVセンター対を効率的に形成する分子イオン注入法の開発を行ってきた。本発表では、分子イオン注入によって形成したNVセンター対に量子もつれ状態を生成し、その忠実度がどの程度あるか議論する。
近年、超伝導量子ビットに代表される光に直接結合しない量子デバイスを光量子系と接続するため、ダイヤモンド中の色中心をマイクロ波光子と光学光子の量子インターフェイスとして用いる試みが注目されている。マイクロ波光子は熱雑音の影響を強く受けるため、極低温下での動作を前提に、低いポンプ光強度での動作が重要となる。我々は、色中心をオプトメカニカル結晶中に配置する手法を提案し、理論計算により低ポンプ動作に向けて有望であることを示した。一方で、ダイヤモンドは圧電性を持たないため、機械モード励起に圧電材料を用いると、プロセスの複雑化や損失増加を招く可能性がある。そこで本研究では、圧電材料を用いずに静電力で機械モードの励起を試みた。実験では、SiN 光導波上のダイヤモンドナノフォトニック構造中の単一SnV中心を用いて、約 1.8 GHz の機械共鳴に対応する光学遷移のサイドバンドを観測した。さらに、2 経路同時のサイドバンド遷移によりマイクロ波と光の位相に依存した干渉が確認され、両者が機械モードを介して結合していることが示唆された。本成果は、ダイヤモンド色中心を用いた低雑音量子トランスデューサ実現に向けた基盤的ステップである。
ダイヤモンド中の窒素空孔(NV)センターは、大きな(約 5.5 eV)バンドギャップ 内の深い位置に安定したスピン準位を有しており、準位の読出しによる量子センサ や量子ビットへの応用が期待されている材料である。量子センサに関しては、原理 的には、準位が電場、磁場、温度場、歪場によってシフトすることに基づいており、 外場との相互作用の形式について基礎物理を理解することは重要である。歪場との 相互作用については、従来は機械的共振器などを使用して実施されており、量子系 操作の自由度拡張による量子センシングや量子情報科学への貢献が期待されている。 一方で、我々は、高強度光電場による非線形光学効果を介したコヒーレントな光学 フォノン場(周波数~40 THz)により生じる過渡的な歪場(緩和時定数~7 ps)に注目し、 これまでに NV センターを起源とする非線形分極の寄与によるダイヤモンド中の光 学フォノン場の増強について報告している。[1]本研究では、その増強効果の詳細の 解明を目指して、電子線照射により生成された NV センターを含むダイヤモンドに ついて光学フォノンを計測した結果について報告する。
ダイヤモンドなどの規則的な結晶格子中で、あるべき原子がない点欠陥(空孔: Vacancy; V)や、不純物原子での置換は、本来なら透明な結晶を着色させる要因になることから色中心とも呼ばれる。特にダイヤモンド中で、空孔(V)と窒素原子(N)が結合した複合欠陥であるNV中心は、単一欠陥での繰り返し計測が可能であり、常温、大気圧下で動作可能な、量子ビットや量子中継器、量子センサー素子として近年、注目を集めている。 NV中心生成法の一つにイオン注入がある。ダイヤモンド基板に数keV以上の窒素原子イオンを注入し熱処理を行うと、高エネルギーイオン注入で生成する多くの点欠陥(V)と、注入した窒素原子(N)が結合し、ビームサイズの領域内にNV中心が確率的に生成される。量子ビットや量子中継器等の量子性を利用した応用では、想定外の相互作用はコヒーレンスを劣化させるため、目的の領域内に単一の色中心のみが存在していることが望ましい。ビームサイズはマスク等で限定し、単純にイオン数を減らす確率的なイオン注入では、2イオンの同時注入が無いほどイオンを減らすと、大半が0イオンとなる。我々は、高い位置精度で単一色中心を決定論的に生成する方法として、イオントラップを利用したレーザー冷却イオン源を開発している。この方法では、単一イオンのみをイオントラップから射出し、100%注入する。また、mKレベルまでレーザー冷却したイオンを適切なレンズで収束させ、数nmの位置精度で注入する。 量子中継器の実現に向け、100nmオーダーの作り込んだダイヤモンド構造体に100nmの深さでの単一NV中心を配置するための、レーザ―冷却イオン源を開発している。レーザ―冷却によりトラップ中で静止させ形成するクーロン結晶から単一イオンを引き出し、+50kVの静電場により加速し、ダイヤモンド基板に注入する。1価のN+イオンの注入では50keVで、2価のN2+イオンでは100keVで注入される。 開発中のレーザー冷却イオン源の概要を図1(a)に示す。様々なイオンを冷却・注入するため、冷却が容易なCa+イオンを冷媒としてレーザー冷却する。外部イオン源で生成したN2+イオンをイオントラップに導入し、レーザー冷却Ca+イオンと共存させることで、直接はレーザー冷却されないN2+イオンもイオン間の相互作用により1mK程度まで冷却される(共同冷却)。+50kVに昇圧したトラップから射出されたN2+イオンは、静電レンズにより、加速・収束されながら、接地されたダイヤモンド基板に数十nmの位置精度で注入され、100nmの深さで停止する。イオン注入で生成した点欠陥(V)と、単一窒素原子(N)をレーザー加熱で熱処理し、形成した単一NV中心を共焦点顕微鏡で、その場観察する。NV中心が観察されない場合には、観測されるまで、点欠陥(V)を追加する。 最近、立ち上げ中のレーザー冷却イオン源実機で、Ca+のレーザ―冷却によるクーロン結晶の形成に成功した。
深層学習は神経科学研究・神経データ解析の至るところで使われ、今では欠かせないツールとなった。果たして量子コンピュータもいずれそうなるのだろうか?その答えを今結論することは難しい。GoogleやIBMのロードマップにおいても、誤り耐性万能量子コンピュータ(いわゆる人類の目標としている量子コンピュータ)の登場は2030年以降とされている。神経科学研究・神経データ解析に量子コンピュータを用い、その有用性を享受できるとしても、まだしばらく待たなくてはならない。それでは、昨今の量子コンピュータ開発の盛り上がりは基礎研究で閉じたものであり、今すぐ使えるものはなにもないのであろうか。 現在の量子コンピュータ研究の状況は第一次、第二次AIブームと似た状況にあると言われている。そのため、AI分野発展の歴史・経緯を教訓とし、この盛り上がりを一過性ものとして終わらせないために、いわゆる「冬の時代」を迎えないために、今あるリソースを転用し、活用していく試みがとられている。今回の特集では、その試みを「今すぐ使える量子計算」と題し、解説を行った。 上述の試みは大きく以下の3つに大別することができる。 1) 組合せ最適化問題に特化した専用機(量子イジングマシン、擬似量子イジングマシン)を用いるアプローチ 2) 量子コンピュータ・量子アルゴリズムを研究する過程で生まれた効率的な計算方法を用いるアプローチ 3) 小規模の量子コンピュータであっても、古典コンピュータと組み合わせて活用していく量子–古典ハイブリッドアプローチ 本特集の田中、後藤の記事が1) に、間島、林の記事が2) に、御手洗の記事が 3)にそれぞれ対応する。 量子コンピュータに関する書籍・記事は多くが誤り耐性万能量子コンピュータについてのものであり、本特集のようなテーマについてはこれまでにまとまったもの・体系的なものはなかった。そのため、他に類のない、ユニークな特集になったことだけは間違いない。本特集が量子コンピュータと、神経科学研究・神経データ解析という異分野同士を結ぶ初めての接点となれれば幸いである。
NVセンタを用いた量子計測は温度・pH・ラジカルなど様々な生体パラメータを計測可能な次世代量子センサとして注目されている.高い感度や新しいアプリケーションが常に脚光を浴びる中,量子センサを利用するメリットがどこにあるのか簡潔かつ本質的にに解説した論文は少ない.本稿では量子センサの最も根底にある量子状態から,量子計算と量子計測がどこで一致するのかを主軸に,近年の量子生命科学における最先端計測を解説する.