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物性研究

統計力学の可解模型と数理物理学の最近の発展 : DNAなど高分子の結び目、量子XXZ鎖の異常な準位縮退とループ代数(基研研究会 確率モデルの統計力学,研究会報告)

哲生 出口

Published May 20, 2004• 0 citations
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Abstract

e r l e y -L i e b代数が重要であることを説明す る。DNAの結び 目は高分子物理の トピック であ り、一方、後者 は量子力学の基礎 の話題 であ り、全 く分野は異なっている。前提 となる知識 も相 当に異なる.しか し数理物理の視点では、両方 とも T e mp e r l e y -L i e b代数 ( 以下、TL代数 またはTLJ代数 と略称)の応用 と深 く関係す る研究なのである。 最近十数年の間に、環状のDNAな ど環状高分子か ら結び 目をつ くることが可能 とな り、実験 と理論の両方か ら研究 されている [ 1 -6 1 。特 に、環状高分子の統計力学 における結び 目の効果が活 発 に研究 されている [ 7 -1 3 ] 。環状高分子鎖の全ての空間配置の中には様 々な結び 目が含 まれてお り、一定の結び 目の配置のみを取 り出す ことは全 く自明ではない。結び 目一定の条件は排除体積効 果 と同様な効果 を導 くであろ う、 とd e sCl o i z e a l Ⅸ ( 1 9 8 1 )は予想 した 【 1 4 ] .これは最近のシ ミュ レーションで部分的には裏付 け られた とも言 えるが、現在 も研究が続 く興味深い問題 である。 結び 目高分子の統計力学的研究において、新 しい トポ ロジー不変量が非常に重要な役割を果た している 【 7 , 8 1 。実は J o n e s多項式のある部分を うま く使 うことによっては じめて本格的な結び 目 高分子の統計力学的研 究が可能 になった.一方、最近の新しい トポ ロジー不変量は J o n e s多項式 の発見に大きく刺激 された結果は じめて導かれたものである。そ して J o n e s多項式 を理解す る上 で、統計力学模型の TL代数 の知識 は非常に便利 で重要である 【 1 5 -2 1 ] 。 最近、量子 XXZ鎖 とい う可解量子ス ピン系を代表す る模型 において、異常な準位縮退の存在 が明 らかにされた 【 2 2 ] 。 XXZ異方性変数がある離散的特殊値の とき、XXZ鎖の対称性は非常 に拡大 してループ代数 とい う無限次元の対称性 となる [ 2 2 , 2 3 ] 。そ して縮退度が格子サイズの指数 関数で増大す る異常な準位縮退が出現す る 【 2 4 ] 。He i l ma n n -L i e bの視点では、これ は準位非交差 則に対す る驚異的I t f 反例である 【 2 5 -2 8 ] .TL代数はこの縮退現象 を説明す る上で非常に役立つ。 TL代数

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Tetsuo Deguchi

•May 20, 2004•0 citations

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哲生 出口

物性研究•May 1, 2004•0 citations

古典量子チャネルに対する光変調方式の情報伝送効率について(第7回『非平衡系の統計物理』シンポジウム,研究会報告)

Nadeer Aljaroudi, 慶一 菊池, 昇 渡邉 +1 more

A I J a r o u d i Na d e e r , 菊池慶一,渡達 昇,大矢雅則 東京理科大学理工学部情報科学科 〒2 7 8 -8 5 1 0千葉県野 田市 山崎2 6 4 1 e -ma i 一 : w a t a n a b e @i s .n o d a .s u t .a c .J P 1.序章 oh y a によって定式化 された相互エ ン トロピーは入力状態の情報が どれだけ出力系 に正 しく伝 え られたか を表 わす量 であ り、量子通信過程 において非常 に有用 な量 であ る.Oh y a 相互エ ン トロピー を用いる と量子通信路容量が定め られる.通信路容量 は チ ャネルが入力の情報量 を最大で どれだけ正確 に出力系 に伝達す ることがで きるか計 るための尺度であ り、チ ャネルの設計 に関 して重要 な基準 となっている.本論文では以上の ことをふ まえて、 2章 において,文献[ 1 , 9 ] に従 ?て量子チ ャネル, 量子チ ャネルの数学的構成法,そ して減衰過程 に相応す る光チ ャネルの数理モデルの 構成法 について述べ, 3 章 において,文献[ 1 , 3 , 5 , 9 ] に従 って量子系のエ ン トロピー, 量子相互エ ン トロピー,そ して量子通信路容量 について述べ, 4章 において,本研究 で用いた光変調方式, C-Qチ ャネルの通信路容量 について説明 し, 5章 において,C-Q チ ャネル通信路容量の数値計算 を行 い,最後 に 6章では

物性研究•Jan 20, 2000•0 citations

一次元量子スピン系におけるフラストレーション誘起相転移(新奇な秩序を持つ系での相転移,研究会報告)

昌久 古賀, 則雄 川上

一次元量子 スピン系におけるフラス トレーション誘起相転移 大阪大学大学院工学研究科 古賀 昌久, 川上則雄 最近、低次元量子系において フラス トレー ションに関す る研究が盛んになされている。典型的 な物質 と して知 られてい る銅酸化物 s r c u 2 ( B OB ) 2 [ 1 】 おいては、幾何学的な直交 ダイマー構造 に 起因するフラス トレーシ ョンによ り、分散のない励起や磁化プラ トーな どの興味深い現象が見出 されてお り、その磁気的性質を記述す る S h a s t r y -S u t h e r l a n d模型 【 2 , 3 ] が注 目されている。 さら に最近、T N-2 .4 K において反強磁性相転移を起 こす直交ダイマー系 N d 2 B a Z n 05 ( J-9 / 2 ) [ 4 ] が合成 され、フラス トレー ト 系 における 量子スピン( S≧1 / 2 ) の効果が注 目されているo しか し なが ら、任意ス ピンを もつ直交ダイマー系の量子相転移に関 しては、理論的な取 り扱いが難 しく な ってお り、今なお問題が残 されたままとな っている。 図 1 : 直交ダイマー模型:太線、実線、破線はそれぞれ交換相互作用の大きさの違いを表 している。 われわれは以前、任意ス ピンβを持つ直交 ダイマー鎖を取 り扱い、交換相互作用の大

物性研究•Feb 20, 2003•0 citations

量子力学の解釈についての覚え書き(量子力学の基礎について,研究会報告)

豊 豊沢

系のノ 、ミル トニア ンを次 のよ うに とる。 < < < H -a.+H' ∧ 〟 H . -c p " ,A , -∑V( 金一, W) " 6 1 ( n ) , T Z = 1 V( x-n a ) ニー V o O ( n a-a ) 0 ( a-( n-1 )a ) この系の相互作用表示での時間発展作用素 は : 1 ) 6 ( i ) 完 e x Pl -( i / i )p -1 2 : T ] , p --V ./ C,会 T -n g 1 9 1 ' n ' / N ( 5 ) の位相のp 7 依存性 と( 1 ) 式 での Zについての積分か ら波束の収縮 が導かれ る. もう少 しくわ しい内容 は次 の文献 1 ) にある。 ( 4 ) ( 5 ) 参考文献 1 ) S .Ma c h i d aa n d M. Na mi k i , Ma c r o s c o p i cNa t u r eo fDe t e c t i n gAp p a r a t u sa n d Re d u c t i o n o fWa v ePa c k e t , P r o c .I n t .S y mp .O n t h eFo u n d a t i o n so fQu a n t u m Me c h a n i c s ( 丁 a p. P h y s .S o c . ) ,1 9 8 4年 3月刊行予定。 量子力学 の解釈 についての覚 え書 き 東大 ・ 物性研 豊 沢 豊 量子系の観測では,観測装置の中で起 る非可逆過程 とそれ に伴 な う量子系の 「 可干渉性 の喪 失」がそ の決定的段階である, とい うH.S .Gr e e n以来の考 え方は次第 に多 くの人々の支持 を 得っっ あ り,実際 これ はv o n Ne u ma n n の逆説的な主張 -観測 され る系 ( S ) と観測装置 ( A) との境界 は任意 に ( a b s t r a c t e st t I c h " にまでも ) 移 し得 るとす るもの -よ りはるかに妥 当で 常識的 にも受 け入れやす い考 え方である。私 もこの線上で,観測に伴な うエ ン トロピー変化, 観測の客観性 と再現性 などについて何度か話 したことはあるが, ここではさらに基本的 な所 ま で掘 りさげて考 えてみたい。 A内の非可逆過程によ りSの可干渉性 が失 なわれ ても,合成系 ( S+A) の波動 関数 はや は り一次結合 のままで あ り,「 観測に よる波束 の収縮 は合成系の S c h r 6 d i n g e r 方程式 か らも出て ー2 6 8 -量子力学の解釈についての覚え書き こない」とい う欲 求不満 は少 しも取 り除かれ ていないのである。波動 関数 を実在 と信 じる限 り 行 きつ く境地 は 「 多世界理論」で あ り, これ とv o n Ne u ma n nの考 え と何れが よ り逆説的 でな いかは,にわかに判断 しがたい。 私 は,「 系の状態 を記述す る最 も基本的 な量 は波動 関数 で な く統計 演算子 ( 密度行列 )βである」と考 えたい。以下それ を具体的に説明 してみ よ う。 ( 1 )波動関数 は純粋状態 ( β 2 -〟 )とい う極 めて特殊 な状況 でだけ定義で きる, また βの行列 表現 の基底 として役立っ,補助的 な概念に過 ぎない。 ( 2 ) 量子統計力学における統計性には,古典統計力学 とも共通 の統計性 (原理的には可知 だが 巨大 自由度 のため実際的には不可知 な要素 )と量子力学特有 の統計性 ( 原理的 な不可知 ) とが, 二重構造 として含 まれてい る, とするのが通説 のよ うだが,両者 は本来一体の もので ある。実 際 この二つ の統計性 を分離 できるよ うな思考実験 は存 在 しない。 ( 3 )Sに起 る変化 を我 々が外 ( A ) か ら観測 しよ うとす る とき,Sは合成系 ( S+A) の部分系に 過 ぎな くなる。合成系が た とえ純粋状態 ( p s 2 .Ap s.A)で あって も部分系 ( p s… T r A( p s .A) ) は一般 に混合状態 ( p 呈≠ p s) であ り,従 って統計演算子 で記述す る しかない。 あ る瞬 間 に p s が純粋状態で あって も, SとAの相互作用 がある限 りそれ は早晩混合状態に陥 る。全宇宙 が純 粋状態か否 かを判断 し得 るのは,その外 にあってそれ と相互作用 しない神 のみで あ り, 内にあ って相互作用の

素粒子論研究•Feb 20, 1984•0 citations

空間構造をもつ一次元量子スピン系の基底状態(基礎物理学研究所短期研究会「量子効果が顕著な役割を果たす磁性現象の新展開」,研究会報告)

孝 利根川

1 】 二個 の S-1 / 2ス ピンと二個 の S-1ス ピンが交互 に並 んだ量子ス ピン鎖の基底状態 【 共同 研究者: 引原俊哉 ( 神戸大 自然科学) , 鏑木誠 ( 神戸大 国際文化) , 西野友年 ( 神戸大理) , 宮下精 二 ( 東大工) , H. -∫ .Mi k e s k a( I T P , U山Ⅴ .Ha n n o v e r ) ] 1 9 8 3年 におけ るハ ルデ ン仮説1 ) の提唱及 びそれ に関連 したその後 の多 くの数値 的, 解析 的, 実験的研究 を契機 として, 近年, 低次元量子 ス ピン系 の量子非磁性基底状態 におけ る相転移 の 問題が盛 んに研究 されている.このような量子非磁性基底状態 における相転移 を理解す る上で, Aae c k -Ke n n e d y -L i e b -T a s a k i 2 ) によって導入 された V a l e n c e -Bo n d -S o l i d( VBS )措像, 即 ち, 量 子非磁性状態 にある各相が シンダ レットペア ( ス ピン一重項)の敷 き詰め方' の違い3 ) によって 理解で きる とい う考 え方 は, 非常 に重要である.この措像 に対す る, 格子が作 り出す ミクロな空 間的構造の果たす役割は大 きく, 実際, 各種のフラス トレー ト系, ボ ンド交代系, 梯子格子系, デ イ ブ リー ト系等 で起 こる興味 ある相転移が数多 く議論 されている.例 えば, 一般 の大 きさ S をも つ量子 ス ピンか らなるボ ンド交代鎖 において, ボ ンド交代パ ラメータ 6の値 ( f 6 r ≦1 )を変化 さ せ るとき, 2

物性研究•Sep 20, 1999•0 citations
e r l e y -L i e b代数が重要であることを説明す る。DNAの結び 目は高分子物理の トピック であ り、一方、後者 は量子力学の基礎 の話題 であ り、全 く分野は異なっている。前提 となる知識 も相 当に異なる.しか し数理物理の視点では、両方 とも T e mp e r l e y -L i e b代数 ( 以下、TL代数 またはTLJ代数 と略称)の応用 と深 く関係す る研究なのである。 最近十数年の間に、環状のDNAな ど環状高分子か ら結び 目をつ くることが可能 とな り、実験 と理論の両方か ら研究 されている [ 1 -6 1 。特 に、環状高分子の統計力学 における結び 目の効果が活 発 に研究 されている [ 7 -1 3 ] 。環状高分子鎖の全ての空間配置の中には様 々な結び 目が含 まれてお り、一定の結び 目の配置のみを取 り出す ことは全 く自明ではない。結び 目一定の条件は排除体積効 果 と同様な効果 を導 くであろ う、 とd e sCl o i z e a l Ⅸ ( 1 9 8 1 )は予想 した 【 1 4 ] .これは最近のシ ミュ レーションで部分的には裏付 け られた とも言 えるが、現在 も研究が続 く興味深い問題 である。 結び 目高分子の統計力学的研究において、新 しい トポ ロジー不変量が非常に重要な役割を果た している 【 7 , 8 1 。実は J o n e s多項式のある部分を うま く使 うことによっては じめて本格的な結び 目 高分子の統計力学的研 究が可能 になった.一方、最近の新しい トポ ロジー不変量は J o n e s多項式 の発見に大きく刺激 された結果は じめて導かれたものである。そ して J o n e s多項式 を理解す る上 で、統計力学模型の TL代数 の知識 は非常に便利 で重要である 【 1 5 -2 1 ] 。 最近、量子 XXZ鎖 とい う可解量子ス ピン系を代表す る模型 において、異常な準位縮退の存在 が明 らかにされた 【 2 2 ] 。 XXZ異方性変数がある離散的特殊値の とき、XXZ鎖の対称性は非常 に拡大 してループ代数 とい う無限次元の対称性 となる [ 2 2 , 2 3 ] 。そ して縮退度が格子サイズの指数 関数で増大す る異常な準位縮退が出現す る 【 2 4 ] 。He i l ma n n -L i e bの視点では、これ は準位非交差 則に対す る驚異的I t f 反例である 【 2 5 -2 8 ] .TL代数はこの縮退現象 を説明す る上で非常に役立つ。 TL代数
A I J a r o u d i Na d e e r , 菊池慶一,渡達 昇,大矢雅則 東京理科大学理工学部情報科学科 〒2 7 8 -8 5 1 0千葉県野 田市 山崎2 6 4 1 e -ma i 一 : w a t a n a b e @i s .n o d a .s u t .a c .J P 1.序章 oh y a によって定式化 された相互エ ン トロピーは入力状態の情報が どれだけ出力系 に正 しく伝 え られたか を表 わす量 であ り、量子通信過程 において非常 に有用 な量 であ る.Oh y a 相互エ ン トロピー を用いる と量子通信路容量が定め られる.通信路容量 は チ ャネルが入力の情報量 を最大で どれだけ正確 に出力系 に伝達す ることがで きるか計 るための尺度であ り、チ ャネルの設計 に関 して重要 な基準 となっている.本論文では以上の ことをふ まえて、 2章 において,文献[ 1 , 9 ] に従 ?て量子チ ャネル, 量子チ ャネルの数学的構成法,そ して減衰過程 に相応す る光チ ャネルの数理モデルの 構成法 について述べ, 3 章 において,文献[ 1 , 3 , 5 , 9 ] に従 って量子系のエ ン トロピー, 量子相互エ ン トロピー,そ して量子通信路容量 について述べ, 4章 において,本研究 で用いた光変調方式, C-Qチ ャネルの通信路容量 について説明 し, 5章 において,C-Q チ ャネル通信路容量の数値計算 を行 い,最後 に 6章では
一次元量子 スピン系におけるフラス トレーション誘起相転移 大阪大学大学院工学研究科 古賀 昌久, 川上則雄 最近、低次元量子系において フラス トレー ションに関す る研究が盛んになされている。典型的 な物質 と して知 られてい る銅酸化物 s r c u 2 ( B OB ) 2 [ 1 】 おいては、幾何学的な直交 ダイマー構造 に 起因するフラス トレーシ ョンによ り、分散のない励起や磁化プラ トーな どの興味深い現象が見出 されてお り、その磁気的性質を記述す る S h a s t r y -S u t h e r l a n d模型 【 2 , 3 ] が注 目されている。 さら に最近、T N-2 .4 K において反強磁性相転移を起 こす直交ダイマー系 N d 2 B a Z n 05 ( J-9 / 2 ) [ 4 ] が合成 され、フラス トレー ト 系 における 量子スピン( S≧1 / 2 ) の効果が注 目されているo しか し なが ら、任意ス ピンを もつ直交ダイマー系の量子相転移に関 しては、理論的な取 り扱いが難 しく な ってお り、今なお問題が残 されたままとな っている。 図 1 : 直交ダイマー模型:太線、実線、破線はそれぞれ交換相互作用の大きさの違いを表 している。 われわれは以前、任意ス ピンβを持つ直交 ダイマー鎖を取 り扱い、交換相互作用の大
系のノ 、ミル トニア ンを次 のよ うに とる。 < < < H -a.+H' ∧ 〟 H . -c p " ,A , -∑V( 金一, W) " 6 1 ( n ) , T Z = 1 V( x-n a ) ニー V o O ( n a-a ) 0 ( a-( n-1 )a ) この系の相互作用表示での時間発展作用素 は : 1 ) 6 ( i ) 完 e x Pl -( i / i )p -1 2 : T ] , p --V ./ C,会 T -n g 1 9 1 ' n ' / N ( 5 ) の位相のp 7 依存性 と( 1 ) 式 での Zについての積分か ら波束の収縮 が導かれ る. もう少 しくわ しい内容 は次 の文献 1 ) にある。 ( 4 ) ( 5 ) 参考文献 1 ) S .Ma c h i d aa n d M. Na mi k i , Ma c r o s c o p i cNa t u r eo fDe t e c t i n gAp p a r a t u sa n d Re d u c t i o n o fWa v ePa c k e t , P r o c .I n t .S y mp .O n t h eFo u n d a t i o n so fQu a n t u m Me c h a n i c s ( 丁 a p. P h y s .S o c . ) ,1 9 8 4年 3月刊行予定。 量子力学 の解釈 についての覚 え書 き 東大 ・ 物性研 豊 沢 豊 量子系の観測では,観測装置の中で起 る非可逆過程 とそれ に伴 な う量子系の 「 可干渉性 の喪 失」がそ の決定的段階である, とい うH.S .Gr e e n以来の考 え方は次第 に多 くの人々の支持 を 得っっ あ り,実際 これ はv o n Ne u ma n n の逆説的な主張 -観測 され る系 ( S ) と観測装置 ( A) との境界 は任意 に ( a b s t r a c t e st t I c h " にまでも ) 移 し得 るとす るもの -よ りはるかに妥 当で 常識的 にも受 け入れやす い考 え方である。私 もこの線上で,観測に伴な うエ ン トロピー変化, 観測の客観性 と再現性 などについて何度か話 したことはあるが, ここではさらに基本的 な所 ま で掘 りさげて考 えてみたい。 A内の非可逆過程によ りSの可干渉性 が失 なわれ ても,合成系 ( S+A) の波動 関数 はや は り一次結合 のままで あ り,「 観測に よる波束 の収縮 は合成系の S c h r 6 d i n g e r 方程式 か らも出て ー2 6 8 -量子力学の解釈についての覚え書き こない」とい う欲 求不満 は少 しも取 り除かれ ていないのである。波動 関数 を実在 と信 じる限 り 行 きつ く境地 は 「 多世界理論」で あ り, これ とv o n Ne u ma n nの考 え と何れが よ り逆説的 でな いかは,にわかに判断 しがたい。 私 は,「 系の状態 を記述す る最 も基本的 な量 は波動 関数 で な く統計 演算子 ( 密度行列 )βである」と考 えたい。以下それ を具体的に説明 してみ よ う。 ( 1 )波動関数 は純粋状態 ( β 2 -〟 )とい う極 めて特殊 な状況 でだけ定義で きる, また βの行列 表現 の基底 として役立っ,補助的 な概念に過 ぎない。 ( 2 ) 量子統計力学における統計性には,古典統計力学 とも共通 の統計性 (原理的には可知 だが 巨大 自由度 のため実際的には不可知 な要素 )と量子力学特有 の統計性 ( 原理的 な不可知 ) とが, 二重構造 として含 まれてい る, とするのが通説 のよ うだが,両者 は本来一体の もので ある。実 際 この二つ の統計性 を分離 できるよ うな思考実験 は存 在 しない。 ( 3 )Sに起 る変化 を我 々が外 ( A ) か ら観測 しよ うとす る とき,Sは合成系 ( S+A) の部分系に 過 ぎな くなる。合成系が た とえ純粋状態 ( p s 2 .Ap s.A)で あって も部分系 ( p s… T r A( p s .A) ) は一般 に混合状態 ( p 呈≠ p s) であ り,従 って統計演算子 で記述す る しかない。 あ る瞬 間 に p s が純粋状態で あって も, SとAの相互作用 がある限 りそれ は早晩混合状態に陥 る。全宇宙 が純 粋状態か否 かを判断 し得 るのは,その外 にあってそれ と相互作用 しない神 のみで あ り, 内にあ って相互作用の
1 】 二個 の S-1 / 2ス ピンと二個 の S-1ス ピンが交互 に並 んだ量子ス ピン鎖の基底状態 【 共同 研究者: 引原俊哉 ( 神戸大 自然科学) , 鏑木誠 ( 神戸大 国際文化) , 西野友年 ( 神戸大理) , 宮下精 二 ( 東大工) , H. -∫ .Mi k e s k a( I T P , U山Ⅴ .Ha n n o v e r ) ] 1 9 8 3年 におけ るハ ルデ ン仮説1 ) の提唱及 びそれ に関連 したその後 の多 くの数値 的, 解析 的, 実験的研究 を契機 として, 近年, 低次元量子 ス ピン系 の量子非磁性基底状態 におけ る相転移 の 問題が盛 んに研究 されている.このような量子非磁性基底状態 における相転移 を理解す る上で, Aae c k -Ke n n e d y -L i e b -T a s a k i 2 ) によって導入 された V a l e n c e -Bo n d -S o l i d( VBS )措像, 即 ち, 量 子非磁性状態 にある各相が シンダ レットペア ( ス ピン一重項)の敷 き詰め方' の違い3 ) によって 理解で きる とい う考 え方 は, 非常 に重要である.この措像 に対す る, 格子が作 り出す ミクロな空 間的構造の果たす役割は大 きく, 実際, 各種のフラス トレー ト系, ボ ンド交代系, 梯子格子系, デ イ ブ リー ト系等 で起 こる興味 ある相転移が数多 く議論 されている.例 えば, 一般 の大 きさ S をも つ量子 ス ピンか らなるボ ンド交代鎖 において, ボ ンド交代パ ラメータ 6の値 ( f 6 r ≦1 )を変化 さ せ るとき, 2