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ダイアグラム展開に基づく連続時間量子モンテカルロ法

Hiroaki Kusunose, Junya Otsuki

Published Jul 5, 2010• 0 citations
OpenAlex

Abstract

近年,多体摂動論に基づく連続時間量子モンテカルロ法のアルゴリズムが提出され,強相関電子系の動的平均場近似における有力な不純物(クラスター)ソルバーとして広く用いられるようになってきた.本稿では,不純物Anderson模型を主な題材として,相互作用および混成(運動エネルギー)項に関する展開アルゴリズムを解説する.また,実際にプログラムを作成する際の注意点や計算効率について述べる.電子-格子相互作用系への適用など,最近の発展についても簡単に紹介する.

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線形リスト探索に対する量子質問計算量の下界

裕太郎 酒井

近年,量子コンピュータに関する研究が盛んに進められている.量子コンピュータとは,量子を用いて状態を操作する,現行のコンピュータとは異なる動作方式のコンピュータである.量子とは電子や光子のようなミクロな世界の粒子である.量子は量子力学と呼ばれる物理法則に従うことが知られている.量子コンピュータは量子力学の持つ不思議な性質を利用することで,特定の問題に対し漸近的な改善が期待される量子アルゴリズムを構成することができる. ある問題を解くために最適なアルゴリズムの計算量を, N を入力サイズとしてT(N) としたとき,あるアルゴリズムはT(N) の上界を与える手続きである.一方でT(N) の下界を知ることもまた重要である.計算量の下界を示すことができればアルゴリズムの改良の限界を示すことが可能である.また,定量的な観点から問題の難しさを捉える指標にもなる.計算量下界の証明は量子コンピュータの計算能力の可能性と限界を理論的に知ることに繋がる重要な問題である[H˘S05]. 量子アルゴリズムに対する計算量下界の証明は様々な問題に対して行われている[MBT18, CJR21].例えば前述の非構造探索に対してはΩ(√N) の下界が知られており,Grover のアルゴリズムが漸近的に最適であることが分かっている[Amb02, BBC+01, Zha19].一方で,二分探索は量子計算を利用したとしても漸近的な改善が見られない例である.古典計算においてN 要素の整列された列に対する二分探索はO(logN) の時間計算量で動作する.これに対して量子計算を利用する二分探索はΩ(logN) 回のクエリが必要であることが分かっている[HNS02].このように,問題によって量子計算を利用したとしても漸近的な改善が見られない場合もある. 線形リストは基本的なデータ構造として広く用いられており,古典計算において探索にかかる時間計算量はN を要素数としてΘ(N) である.ここで,量子計算を用いた場合に計算量の上界を示す方法としては古典計算の模倣やアドレス空間全体をGrover のアルゴリズムで探索するなどが考えられるが,下界についての結果は知られていない. 本研究はアドレス空間のサイズをN,リスト長をℓ として,リスト探索を高い確率で成功させる任意の量子アルゴリズムは,量子クエリを少なくともmin(ℓ − 1,Ω(√N))回は必要であることをある仮定のもとで示した.また,末尾要素探索を高い確率で成功させる任意の量子アルゴリズムについても同様にmin(ℓ − 2,Ω(√N))回のクエリが少なくとも必要であることをある仮定のもとで示した.

•Mar 1, 2023•0 citations

情報処理の量子力学的制約((6)数学的及び数理科学的考察,京大基研短期研究会「量子カオス : 理論と実験の現状」,研究会報告)

Masanao Ozawa

量子コンピュータが実現すると今日の計算機よりも指数関数的に早い計算が可能であると考えられていて,その実現にどのような物理的困難があるのかを明らかにすることは興味ある問題である.量子誤り訂正符号理論における近年の成果により,十分に高い精度の基本論理素子が実現可能なら,デコーヒーレンスによる困難をまぬがれることが示されたが,基本論理素子の実現に関する一般論はまだ得られていない.本稿では,基本論理素子の実現に関する物理的制約を保存則や不確定性関係から一般的に導く新しい理論的方法について解説する.

•Apr 20, 2003•0 citations

スピン3重項p波超流動研究の新たな展開 : アンドレーエフ束縛状態とその多面性(<シリーズ>超伝導・超流動研究の接点)

Takeshi Mizushima

近年,スピン3重項超伝導・超流動体におけるAndreev束縛状態に注目が集まっている.量子渦や表面で出現するAndreev束縛状態はMajorana性や奇周波数対振幅,さらにはバルクに内在するトポロジカル不変量等と密接に関わっており,非常に多彩な側面を持っていることが近年の研究により明らかにされつつある.本稿ではBogoliubov-de Gennes方程式の解析解を基にして,スピン3重項超伝導・超流動体におけるAndreev束縛状態の出現やその多面性について解説する.この系のフェルミ場の演算子の性質はMajorana場と類似性を持つ.Majorana零エネルギーモードの特異性に起因して,その零モードが付随した量子渦は非可換エニオン統計に従う.

•Nov 5, 2011•0 citations

最先端の研究開発 量子科学技術研究開発機構

Ryuji Igarashi

量研では,新しい学術領域「量子生命科学」の確立を目指した活動を,国内外の研究者と共に精力的に進めている。量子生命科学とは,最先端の量子技術と量子科学の知見を総合的に利用し,従来不可能であった極微の空間・時間スケールあるいは超高感度での生体内部の観測や生体分子の計測,生命機能のモデリングなどを実現することにより,量子論・量子力学を基盤とした視点から生命全般の根本原理を明らかにすることを目標とし,その原理の産業応用も視野に入れた分野である。本稿では,平成31年4月に量研内に発足した「量子生命科学領域」における研究のアプローチを紹介する。

•Jun 17, 2024•0 citations

ボース・アインシュタイン凝縮における非線形物理(基研研究会「新しい物質場としてのボース・アインシュタイン凝縮系」,研究会報告)

Takeya Tsurumi

近年、原子・分子系の制御技術(レーザー光による冷却、蒸発冷却、磁気トラップ等)の著しい進歩によって、アルカリ原子系によるボース・アインシュタイン(以下、BEと略記)凝縮が実現している[1]-[4]。アルカリ原子をBE凝縮させることの利点として、1)原子間の相互作用は十分に弱い、2)原子間の相互作用をスピン状態、原子・同位体の種類、外場の印加等によって調節できる、3)トラップの周波数等も容易に変えることができる、等があげられる。BE凝縮は純粋にBE統計の帰結として導かれるものであるが、現実の凝縮体には原子間の相互作用が存在する。この相互作用は系に非線形性を与えるため、凝縮体の研究では非線形物理学の観点からのアプローチが不可欠であると考えられる。そこで、本講演では非線形物理学の手法を用いて、BE凝縮体の安定性やダイナミクス等を議論する。

•Jul 20, 1999•0 citations

Combinatorial Optimization by Quantum Neural Networks and Its Applications

Mikio Hasegawa

近年,イジングハミルトニアンのエネルギー最小化を利用した最適化問題の解法が検討されている(S. Utsunomiya et al., Optics Express 19, 2011).また,そのような手法を大規模に実装する技術の研究も進んでいる(T. Inagaki et al., Science, 234, 2016).本稿では,このようなハードウェアで実現する量子ニューラルネットワークを用いた組合せ最適化アルゴリズムを検討する.対象とする組合せ最適化問題の目的関数は,イジングスピンの相互結合に実装することとなる.相互作用によるエネルギー最小化を用いた最適化問題の解法は,Hopfield-Tank Neural Network を用いた従来研究において様々な組合せ最適化問題に適用されてきた.本稿では,Hopfield-Tank Neural Network を用いた巡回セールスマン問題の解法を,量子ニューラルネットワークで動作させる方法を説明する.シミュレーション結果を示しながら,提案手法の有効性を示す.

IEICE ESS FUNDAMENTALS REVIEW•Jan 1, 2017•0 citations
近年,多体摂動論に基づく連続時間量子モンテカルロ法のアルゴリズムが提出され,強相関電子系の動的平均場近似における有力な不純物(クラスター)ソルバーとして広く用いられるようになってきた.本稿では,不純物Anderson模型を主な題材として,相互作用および混成(運動エネルギー)項に関する展開アルゴリズムを解説する.また,実際にプログラムを作成する際の注意点や計算効率について述べる.電子-格子相互作用系への適用など,最近の発展についても簡単に紹介する.
近年,量子コンピュータに関する研究が盛んに進められている.量子コンピュータとは,量子を用いて状態を操作する,現行のコンピュータとは異なる動作方式のコンピュータである.量子とは電子や光子のようなミクロな世界の粒子である.量子は量子力学と呼ばれる物理法則に従うことが知られている.量子コンピュータは量子力学の持つ不思議な性質を利用することで,特定の問題に対し漸近的な改善が期待される量子アルゴリズムを構成することができる. ある問題を解くために最適なアルゴリズムの計算量を, N を入力サイズとしてT(N) としたとき,あるアルゴリズムはT(N) の上界を与える手続きである.一方でT(N) の下界を知ることもまた重要である.計算量の下界を示すことができればアルゴリズムの改良の限界を示すことが可能である.また,定量的な観点から問題の難しさを捉える指標にもなる.計算量下界の証明は量子コンピュータの計算能力の可能性と限界を理論的に知ることに繋がる重要な問題である[H˘S05]. 量子アルゴリズムに対する計算量下界の証明は様々な問題に対して行われている[MBT18, CJR21].例えば前述の非構造探索に対してはΩ(√N) の下界が知られており,Grover のアルゴリズムが漸近的に最適であることが分かっている[Amb02, BBC+01, Zha19].一方で,二分探索は量子計算を利用したとしても漸近的な改善が見られない例である.古典計算においてN 要素の整列された列に対する二分探索はO(logN) の時間計算量で動作する.これに対して量子計算を利用する二分探索はΩ(logN) 回のクエリが必要であることが分かっている[HNS02].このように,問題によって量子計算を利用したとしても漸近的な改善が見られない場合もある. 線形リストは基本的なデータ構造として広く用いられており,古典計算において探索にかかる時間計算量はN を要素数としてΘ(N) である.ここで,量子計算を用いた場合に計算量の上界を示す方法としては古典計算の模倣やアドレス空間全体をGrover のアルゴリズムで探索するなどが考えられるが,下界についての結果は知られていない. 本研究はアドレス空間のサイズをN,リスト長をℓ として,リスト探索を高い確率で成功させる任意の量子アルゴリズムは,量子クエリを少なくともmin(ℓ − 1,Ω(√N))回は必要であることをある仮定のもとで示した.また,末尾要素探索を高い確率で成功させる任意の量子アルゴリズムについても同様にmin(ℓ − 2,Ω(√N))回のクエリが少なくとも必要であることをある仮定のもとで示した.
量子コンピュータが実現すると今日の計算機よりも指数関数的に早い計算が可能であると考えられていて,その実現にどのような物理的困難があるのかを明らかにすることは興味ある問題である.量子誤り訂正符号理論における近年の成果により,十分に高い精度の基本論理素子が実現可能なら,デコーヒーレンスによる困難をまぬがれることが示されたが,基本論理素子の実現に関する一般論はまだ得られていない.本稿では,基本論理素子の実現に関する物理的制約を保存則や不確定性関係から一般的に導く新しい理論的方法について解説する.
近年,スピン3重項超伝導・超流動体におけるAndreev束縛状態に注目が集まっている.量子渦や表面で出現するAndreev束縛状態はMajorana性や奇周波数対振幅,さらにはバルクに内在するトポロジカル不変量等と密接に関わっており,非常に多彩な側面を持っていることが近年の研究により明らかにされつつある.本稿ではBogoliubov-de Gennes方程式の解析解を基にして,スピン3重項超伝導・超流動体におけるAndreev束縛状態の出現やその多面性について解説する.この系のフェルミ場の演算子の性質はMajorana場と類似性を持つ.Majorana零エネルギーモードの特異性に起因して,その零モードが付随した量子渦は非可換エニオン統計に従う.
量研では,新しい学術領域「量子生命科学」の確立を目指した活動を,国内外の研究者と共に精力的に進めている。量子生命科学とは,最先端の量子技術と量子科学の知見を総合的に利用し,従来不可能であった極微の空間・時間スケールあるいは超高感度での生体内部の観測や生体分子の計測,生命機能のモデリングなどを実現することにより,量子論・量子力学を基盤とした視点から生命全般の根本原理を明らかにすることを目標とし,その原理の産業応用も視野に入れた分野である。本稿では,平成31年4月に量研内に発足した「量子生命科学領域」における研究のアプローチを紹介する。
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近年,イジングハミルトニアンのエネルギー最小化を利用した最適化問題の解法が検討されている(S. Utsunomiya et al., Optics Express 19, 2011).また,そのような手法を大規模に実装する技術の研究も進んでいる(T. Inagaki et al., Science, 234, 2016).本稿では,このようなハードウェアで実現する量子ニューラルネットワークを用いた組合せ最適化アルゴリズムを検討する.対象とする組合せ最適化問題の目的関数は,イジングスピンの相互結合に実装することとなる.相互作用によるエネルギー最小化を用いた最適化問題の解法は,Hopfield-Tank Neural Network を用いた従来研究において様々な組合せ最適化問題に適用されてきた.本稿では,Hopfield-Tank Neural Network を用いた巡回セールスマン問題の解法を,量子ニューラルネットワークで動作させる方法を説明する.シミュレーション結果を示しながら,提案手法の有効性を示す.