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操作の両立不可能性と情報擾乱の関係 (量子システム推定の数理)

Ikko Hamamura

Published Oct 1, 2017• 0 citations
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Abstract

量子論において実現可能な操作には様々な制約がある. 例えば, 量子状態は複製や配送が出来ないという複製(配送)禁止定理や, 物理量の測定によって情報を取得すると擾乱が起こるという情報と擾乱の関係, 位置と運動量のように非可換でシャープな物理量は同時に測定出来ないという一種の不確定性関係はよく知られた操作の制約である. これらの例は, 全て本稿で扱う量子論の両立不可能性の一例である. さらに, 両立不可能性の一例として紹介した情報と擾乱の関係に関して, 状態識別能力が高い測定は擾乱が大きいということを, 操作的に前順序関係を導入して定性的に示すと同時に状態識別能力と擾乱の関係を定量化して得た不等式を紹介する.

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量子統計力学の基礎付けとして注目されている孤立した多体量子系の平衡化現象について、量子仮説検定の枠組みから再考する。任意の時刻の量子状態とその平衡状態である長時間平均状態との間の識別の精度は、それらの状態を測定した際の確率分布間の相対エントロピーで測られる。本研究では、相対エントロピーの長時間平均と測定の分解能の問の関係を明らかにし、マクロな物理量の射影測定や部分系の測定を行う限りにおいてはほとんどの時刻における状態と平衡状態は識別不可能であること、任意の測定を行える場合においては時間依存した状態と平衡状態が区別できる場合があることを示した。

•Oct 1, 2017•0 citations

量子系の統計的推測と量子相関 : 推定における量子効果の検証に向けて

Masato HAYASHI

量子力学では量子状態の量子相関が非局所性を表すものとして扱われているが,量子系の統計的推測においては量子状態の量子相関だけでなく,量子測定における量子相関も重要な役割を果たすことを解説する.さらに,現在の技術で十分に可能な測定で量子相関を用いることによる効果が明確なものを量子ガウス状態や量子2準位系を例にとって提案する.

•Aug 20, 2003•0 citations

ボーズ粒子系における集団変数と内部変数について

Yasunori Igarashi, Kuniyoshi Chuma, Ryoji Suzuki

集団運動の方法による取り扱いは,強く相互作用し合っているポーズ粒子系の素励起の性質を知るうえで,大変示唆に富んだ物理的描像を提供してくれる。我々は近似的にではあるが,集団変数と互いに直交する正準共役な内部変数が存在することを見い出したので報告したい。集団変数と内部変数を用いることによって系のHamiltonianを,集団運動を記述する部分と内部運動を記述する部分へ分離することが可能となり,これまで取り扱いが困難であった内部運動を平易に取り扱うことができ,例えば,ボーズ粒子系ではk_sより小さな運動量を持ったSingle-Particle excitationは起こらないこと等が導き出される。本論文では集団変数と内部変数との直交性や分離の度合等についての議論を展開する。

•Aug 20, 1979•0 citations

軌道フェッシュバッハ共鳴を有するフェルミ原子気体における強結合効果

ダイスケ イノタニ, Daisuke Inotani, 太輔 猪谷

本研究ではまず, 軌道フェッシュバッハ共鳴を有する4成分フェルミ原子気体における対形成揺らぎの影響を理論的に解明するため, 本系を記述可能な強結合理論の構築を行った。本系に対して強結合効果を理論的に取り入れると, 理論に発散が生じてしまうことが知られている。従来のアプローチでは, 数値的なカットオフパラメータを導入することによってこれを避けていたが, 本研究では人工的なパラメータなしに系の性質を記述することに成功した。さらに構築された理論を用いて, 状態密度の解析を行うことにより, この系における擬ギャップ現象を明らかにした。擬ギャップ現象は, 強く相互作用するフェルミ粒子系において, 超流動転移温度以上においても, 超流動状態でみられるようなギャップ構造が, 状態密度や1粒子励起スペクトルに生じる現象であり, 超流動の前駆現象として知られている。従来のs波相互作用する2成分フェルミ原子気体におけるBCS-BECクロスオーバー現象では, 相互作用を強くするにつれてエネルギースケールが大きくなり, 擬ギャップ構造は徐々に顕著になることが知られている。しかしながら, 本研究の結果, 軌道フェッシュバッハ共鳴を有する4成分フェルミ原子気体の場合, 占有する原子数の多い2成分(open channel)の状態密度は従来と同様の振る舞いが見られるが, 占有する原子数の少ない2成分(closed channel)の状態密度においては, 相互作用を弱くするにつれて擬ギャップのサイズが大きくなりながら消えていくという全く異なる振る舞いが生じることを理論的に明らかにした。さらに, この現象の観測可能性について明らかにするため, 現在, フェルミ原子気体の実験において, 原子を捕獲するために用いられるトラップポテンシャルの影響を理論的に取り入れ, 観測可能量であるphotoemissionスペクトルの解析を行っている。 We theoretically investigated effects of pairing fluctuations in a 4-component Fermi gas with an orbital Feshbash resonance. It has been known that in a model describing this system, an experimentally inaccessible bound state is included. In the previous works, the contribution from this state is removed by introducing a cutoff parameter. In this work, we successfully removed this bound state from the theory without using the artificial cutoff parameter. Calculating the density of states (DOS), the pseudo gap phenomena, in which a dip structure as shown in the superfluid phase appears in DOS even above the superfluid transition temperature, in this system was theoretically investigated. In the BCS-BEC crossover in a conventional s-wave interacting Fermi gas, the psudogap structure is known to become remarkable as increasing the interaction strength. On the other hand, we found that, while the same interaction dependence was show in the DOS of the open channel atoms, the pseudogap in the DOS of the closed channel atoms gradually disappears as decreasing the interaction strength, but its size becomes larger at the same time. To check the possibility of the experimental observation of this novel pseudogap phenomenon, we are now investigating the photoemission spectrum of this system by including the effects of the trap potential within the local density approximation.

•Jan 1, 2017•0 citations

システム生物学における量子科学技術の役割

洋一 高草木, Yoichi Takakusagi

「量子科学」と聞いて何を思い浮かべるでしょうか? ・シュレーディンガーや, 難解な方程式, 電子軌道図 ・放射線・エックス線などの電磁波や, 光レーザー・半導体 ・初の国産機登場で話題となっている量子コンピューター ・苦手意識と憂鬱感 などなど 近年の技術革新により,「量子の目」で生命を俯瞰することをめざした, 量子生命科学「Quantum Life Science」という新たな分野が幕を開けようとしています。国の戦略目標および研究開発目標として具体的に定められ, 現在その基礎研究が推進されています。量子センシング, 量子イメージング, 量子ドット, 量子素子, 量子情報処理・通信など, 量子 (Quantum) と名のついた最先端技術が次々に登場しつつあります。 磁場, 温度, 光, 電磁波などの外的環境要因による反応を, 生物個体局所あるいは全体として時間的, 空間的そして定量的に捉え, その静的・動的変化や応答を一つのシステムとして理解しようとするのが, システム生物学の大きな目標の一つです。前述の外的要因はいずれも量子の関係する物理量であり, これらによって生じる影響もまた, 量子技術によって観測されうる生体応答です。例えば, 渡り鳥の方角認知や細胞内の温度局在, 植物の光回復, 人間の思考の流動性など, 多くの生命活動に量子が関係し, それらを説明できると推測されています。これらを解明するための体系・手段として, 今まさに量子科学への大きな関心が寄せられています。 一方で, 量子技術を基盤とした新たな診断治療技術の臨床試験や産業応用も進展しつつあり, 量子科学の概念や関連技術の重要性は, 今後もますます高まっていくと予想されます。 本特別セミナーでは, ①量子生命科学の概略, ②代表的な量子科学技術, ③システムとしての生物と量子科学技術の接点を, 具体例を挙げながら説明し, システム生物学における量子科学技術の役割について触れたいと思います。また, 既存の概念や分野に捕らわれない柔軟性の大切さやこれらを修得するための秘訣についても, 演者の経験を踏まえつつお話しします。 多くの皆様のお越しをお待ちしております。

•Dec 15, 2017•0 citations

量子測定理論の数理 (量子システム推定の数理)

Kazuya Okamura

•Oct 1, 2017•0 citations
量子論において実現可能な操作には様々な制約がある. 例えば, 量子状態は複製や配送が出来ないという複製(配送)禁止定理や, 物理量の測定によって情報を取得すると擾乱が起こるという情報と擾乱の関係, 位置と運動量のように非可換でシャープな物理量は同時に測定出来ないという一種の不確定性関係はよく知られた操作の制約である. これらの例は, 全て本稿で扱う量子論の両立不可能性の一例である. さらに, 両立不可能性の一例として紹介した情報と擾乱の関係に関して, 状態識別能力が高い測定は擾乱が大きいということを, 操作的に前順序関係を導入して定性的に示すと同時に状態識別能力と擾乱の関係を定量化して得た不等式を紹介する.
量子統計力学の基礎付けとして注目されている孤立した多体量子系の平衡化現象について、量子仮説検定の枠組みから再考する。任意の時刻の量子状態とその平衡状態である長時間平均状態との間の識別の精度は、それらの状態を測定した際の確率分布間の相対エントロピーで測られる。本研究では、相対エントロピーの長時間平均と測定の分解能の問の関係を明らかにし、マクロな物理量の射影測定や部分系の測定を行う限りにおいてはほとんどの時刻における状態と平衡状態は識別不可能であること、任意の測定を行える場合においては時間依存した状態と平衡状態が区別できる場合があることを示した。
集団運動の方法による取り扱いは,強く相互作用し合っているポーズ粒子系の素励起の性質を知るうえで,大変示唆に富んだ物理的描像を提供してくれる。我々は近似的にではあるが,集団変数と互いに直交する正準共役な内部変数が存在することを見い出したので報告したい。集団変数と内部変数を用いることによって系のHamiltonianを,集団運動を記述する部分と内部運動を記述する部分へ分離することが可能となり,これまで取り扱いが困難であった内部運動を平易に取り扱うことができ,例えば,ボーズ粒子系ではk_sより小さな運動量を持ったSingle-Particle excitationは起こらないこと等が導き出される。本論文では集団変数と内部変数との直交性や分離の度合等についての議論を展開する。
本研究ではまず, 軌道フェッシュバッハ共鳴を有する4成分フェルミ原子気体における対形成揺らぎの影響を理論的に解明するため, 本系を記述可能な強結合理論の構築を行った。本系に対して強結合効果を理論的に取り入れると, 理論に発散が生じてしまうことが知られている。従来のアプローチでは, 数値的なカットオフパラメータを導入することによってこれを避けていたが, 本研究では人工的なパラメータなしに系の性質を記述することに成功した。さらに構築された理論を用いて, 状態密度の解析を行うことにより, この系における擬ギャップ現象を明らかにした。擬ギャップ現象は, 強く相互作用するフェルミ粒子系において, 超流動転移温度以上においても, 超流動状態でみられるようなギャップ構造が, 状態密度や1粒子励起スペクトルに生じる現象であり, 超流動の前駆現象として知られている。従来のs波相互作用する2成分フェルミ原子気体におけるBCS-BECクロスオーバー現象では, 相互作用を強くするにつれてエネルギースケールが大きくなり, 擬ギャップ構造は徐々に顕著になることが知られている。しかしながら, 本研究の結果, 軌道フェッシュバッハ共鳴を有する4成分フェルミ原子気体の場合, 占有する原子数の多い2成分(open channel)の状態密度は従来と同様の振る舞いが見られるが, 占有する原子数の少ない2成分(closed channel)の状態密度においては, 相互作用を弱くするにつれて擬ギャップのサイズが大きくなりながら消えていくという全く異なる振る舞いが生じることを理論的に明らかにした。さらに, この現象の観測可能性について明らかにするため, 現在, フェルミ原子気体の実験において, 原子を捕獲するために用いられるトラップポテンシャルの影響を理論的に取り入れ, 観測可能量であるphotoemissionスペクトルの解析を行っている。 We theoretically investigated effects of pairing fluctuations in a 4-component Fermi gas with an orbital Feshbash resonance. It has been known that in a model describing this system, an experimentally inaccessible bound state is included. In the previous works, the contribution from this state is removed by introducing a cutoff parameter. In this work, we successfully removed this bound state from the theory without using the artificial cutoff parameter. Calculating the density of states (DOS), the pseudo gap phenomena, in which a dip structure as shown in the superfluid phase appears in DOS even above the superfluid transition temperature, in this system was theoretically investigated. In the BCS-BEC crossover in a conventional s-wave interacting Fermi gas, the psudogap structure is known to become remarkable as increasing the interaction strength. On the other hand, we found that, while the same interaction dependence was show in the DOS of the open channel atoms, the pseudogap in the DOS of the closed channel atoms gradually disappears as decreasing the interaction strength, but its size becomes larger at the same time. To check the possibility of the experimental observation of this novel pseudogap phenomenon, we are now investigating the photoemission spectrum of this system by including the effects of the trap potential within the local density approximation.
「量子科学」と聞いて何を思い浮かべるでしょうか? ・シュレーディンガーや, 難解な方程式, 電子軌道図 ・放射線・エックス線などの電磁波や, 光レーザー・半導体 ・初の国産機登場で話題となっている量子コンピューター ・苦手意識と憂鬱感 などなど 近年の技術革新により,「量子の目」で生命を俯瞰することをめざした, 量子生命科学「Quantum Life Science」という新たな分野が幕を開けようとしています。国の戦略目標および研究開発目標として具体的に定められ, 現在その基礎研究が推進されています。量子センシング, 量子イメージング, 量子ドット, 量子素子, 量子情報処理・通信など, 量子 (Quantum) と名のついた最先端技術が次々に登場しつつあります。 磁場, 温度, 光, 電磁波などの外的環境要因による反応を, 生物個体局所あるいは全体として時間的, 空間的そして定量的に捉え, その静的・動的変化や応答を一つのシステムとして理解しようとするのが, システム生物学の大きな目標の一つです。前述の外的要因はいずれも量子の関係する物理量であり, これらによって生じる影響もまた, 量子技術によって観測されうる生体応答です。例えば, 渡り鳥の方角認知や細胞内の温度局在, 植物の光回復, 人間の思考の流動性など, 多くの生命活動に量子が関係し, それらを説明できると推測されています。これらを解明するための体系・手段として, 今まさに量子科学への大きな関心が寄せられています。 一方で, 量子技術を基盤とした新たな診断治療技術の臨床試験や産業応用も進展しつつあり, 量子科学の概念や関連技術の重要性は, 今後もますます高まっていくと予想されます。 本特別セミナーでは, ①量子生命科学の概略, ②代表的な量子科学技術, ③システムとしての生物と量子科学技術の接点を, 具体例を挙げながら説明し, システム生物学における量子科学技術の役割について触れたいと思います。また, 既存の概念や分野に捕らわれない柔軟性の大切さやこれらを修得するための秘訣についても, 演者の経験を踏まえつつお話しします。 多くの皆様のお越しをお待ちしております。