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量子系の統計的推測と量子相関 : 推定における量子効果の検証に向けて

Masato HAYASHI

Published Aug 20, 2003• 0 citations
OpenAlex

Abstract

量子力学では量子状態の量子相関が非局所性を表すものとして扱われているが,量子系の統計的推測においては量子状態の量子相関だけでなく,量子測定における量子相関も重要な役割を果たすことを解説する.さらに,現在の技術で十分に可能な測定で量子相関を用いることによる効果が明確なものを量子ガウス状態や量子2準位系を例にとって提案する.

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操作の両立不可能性と情報擾乱の関係 (量子システム推定の数理)

Ikko Hamamura

量子論において実現可能な操作には様々な制約がある. 例えば, 量子状態は複製や配送が出来ないという複製(配送)禁止定理や, 物理量の測定によって情報を取得すると擾乱が起こるという情報と擾乱の関係, 位置と運動量のように非可換でシャープな物理量は同時に測定出来ないという一種の不確定性関係はよく知られた操作の制約である. これらの例は, 全て本稿で扱う量子論の両立不可能性の一例である. さらに, 両立不可能性の一例として紹介した情報と擾乱の関係に関して, 状態識別能力が高い測定は擾乱が大きいということを, 操作的に前順序関係を導入して定性的に示すと同時に状態識別能力と擾乱の関係を定量化して得た不等式を紹介する.

•Oct 1, 2017•0 citations

軌道フェッシュバッハ共鳴を有するフェルミ原子気体における強結合効果

ダイスケ イノタニ, Daisuke Inotani, 太輔 猪谷

本研究ではまず, 軌道フェッシュバッハ共鳴を有する4成分フェルミ原子気体における対形成揺らぎの影響を理論的に解明するため, 本系を記述可能な強結合理論の構築を行った。本系に対して強結合効果を理論的に取り入れると, 理論に発散が生じてしまうことが知られている。従来のアプローチでは, 数値的なカットオフパラメータを導入することによってこれを避けていたが, 本研究では人工的なパラメータなしに系の性質を記述することに成功した。さらに構築された理論を用いて, 状態密度の解析を行うことにより, この系における擬ギャップ現象を明らかにした。擬ギャップ現象は, 強く相互作用するフェルミ粒子系において, 超流動転移温度以上においても, 超流動状態でみられるようなギャップ構造が, 状態密度や1粒子励起スペクトルに生じる現象であり, 超流動の前駆現象として知られている。従来のs波相互作用する2成分フェルミ原子気体におけるBCS-BECクロスオーバー現象では, 相互作用を強くするにつれてエネルギースケールが大きくなり, 擬ギャップ構造は徐々に顕著になることが知られている。しかしながら, 本研究の結果, 軌道フェッシュバッハ共鳴を有する4成分フェルミ原子気体の場合, 占有する原子数の多い2成分(open channel)の状態密度は従来と同様の振る舞いが見られるが, 占有する原子数の少ない2成分(closed channel)の状態密度においては, 相互作用を弱くするにつれて擬ギャップのサイズが大きくなりながら消えていくという全く異なる振る舞いが生じることを理論的に明らかにした。さらに, この現象の観測可能性について明らかにするため, 現在, フェルミ原子気体の実験において, 原子を捕獲するために用いられるトラップポテンシャルの影響を理論的に取り入れ, 観測可能量であるphotoemissionスペクトルの解析を行っている。 We theoretically investigated effects of pairing fluctuations in a 4-component Fermi gas with an orbital Feshbash resonance. It has been known that in a model describing this system, an experimentally inaccessible bound state is included. In the previous works, the contribution from this state is removed by introducing a cutoff parameter. In this work, we successfully removed this bound state from the theory without using the artificial cutoff parameter. Calculating the density of states (DOS), the pseudo gap phenomena, in which a dip structure as shown in the superfluid phase appears in DOS even above the superfluid transition temperature, in this system was theoretically investigated. In the BCS-BEC crossover in a conventional s-wave interacting Fermi gas, the psudogap structure is known to become remarkable as increasing the interaction strength. On the other hand, we found that, while the same interaction dependence was show in the DOS of the open channel atoms, the pseudogap in the DOS of the closed channel atoms gradually disappears as decreasing the interaction strength, but its size becomes larger at the same time. To check the possibility of the experimental observation of this novel pseudogap phenomenon, we are now investigating the photoemission spectrum of this system by including the effects of the trap potential within the local density approximation.

•Jan 1, 2017•0 citations

超放射、超蛍光をめぐる研究の最前線:趣旨説明

良一 羽島, Hajima Ryoichi

超放射、超蛍光は、励起された多数の原子や分子が基底状態に戻るときに協働して強い光を放出する現象である。1954年の R. Dicke による超放射の理論的な予測以来、多くの実験で気体原子、分子からの超放射、超蛍光の現象が確認されてきた。近年では、気体からの超放射に加えて、量子ドットやナノ結晶といった固体からの超放射、加速器で作られる電子ビームからの超放射の実験が進んでいる。さらに、超放射相転移(熱平衡下での電磁場と電磁気分極の相転移)の研究、ニュートリノ研究に超放射の原理を応用する試みが行われ、脳の微小器官における超放射が議論されるなど、超放射、超蛍光の研究が広がっている。ここでは、超放射、超蛍光について分野を横断したシンポジウムを開催することで、新たな研究のアイデアを拓く一助とする。

•Mar 18, 2022•0 citations

量子統計力学の可解模型 : 素励起、臨界現象、非平衡ダイナミクス (第59回物性若手夏の学校 : 講義)

哲生 出口

最近、孤立した量子多体系の非平衡ダイナミクスが活発に研究されている。特に、外部変数を急変化させた後の量子系の時間発展を、量子クエンチ (quantumquench) とよぶ。70年代に McCoy 達により可解系で量子クエンチが議論されたが、最近冷却原子系の実験等に刺激され、再び注目されている。孤立量子系のダイナミクスは、量子統計力学の基礎の視点からも興味深い。量子多体系の純粋状態を任意に与えると、ほとんどの場合、その状態に関する物理量の期待値は、平衡値に非常に近い値に近づくことが、最近再発見された。量子状態の典型性 (typicality) の視点である。さらに、与えられた純粋状態のユニタリな時間発展の中で、局所演算子の期待値は平衡状態のアンサンブル平均値に収束する、と予想されている。このときエントロピーは全く変化しないが、しかし、緩和のような振る舞いが見られる。3日間の講義では最初に、可積分量子系の例を紹介し、デルタ関数型ポテンシャルで相互作用する1次元ボース気体に対してベーテ仮設の方法を説明する。次に、ホール励起など典型的な素励起を詳しく解説する。さらに、低励起スペクトルでの系の振る舞いと CFT との対応の概略をスケッチする。量子多体問題の様々な手法が可積分量子系で具体的に実現される点が教育的であると思われる。さらに、代数的べ一テ仮設を説明し、スラブノブ公式など演算子の期待値や形状因子を求めるに役立つ定理を解説する。そして、1次元ボース気体やXXX鎖等での最近の結果を紹介する。

•Feb 1, 2015•0 citations

ダイヤモンド量子センサによるミリメートル間隔での同時多点磁場測定法の開発

厚美 吉村, Atsumi Yoshimura, あゆみ 金本 +13 more

ダイヤモンド量子センサは脳磁などの生体磁場の測定への応用に向けた研究が行われている。特に、脳磁から脳活動を推定するには頭皮上の多数点において同時に脳磁を測定する必要がある。本研究ではラットの脳磁同時多点検出を目標にミリメートル間隔での2点で同時に磁場を測定するダイヤモンド量子センサを開発した。現在、応用に向け、高感度化や、より多点で測定するための開発を行っている。

•Sep 1, 2024•0 citations

多体量子流体力学における射影運動量力学の応力ゲージ不変性と商空間構造

Kawaguchi Masanori

本稿では、多粒子量子流体力学(Many-Particle Quantum Hydrodynamics: MPQHD)における応力テンソルの表現自由度と、Mori–Zwanzig射影演算子法によって得られる記憶核との関係を解析する。 特に、応力テンソルの表現を変更した場合に、射影された運動量力が不変となるための必要十分条件を示し、この条件に基づいて応力テンソルの同値関係を導入する。さらに、対応する商空間を構成し、第一同型定理を用いて、応力テンソルの同値類と射影力の像空間との関係を明らかにする。 また、Wyatt型およびKuzmenkov型の量子応力テンソルをこの枠組みで整理し、同一の射影運動量力を与える応力表現が、同一のMori–Zwanzig記憶核を生成することを示す。 さらに、Bohm–Madelung表示における多体量子ポテンシャル、量子力、量子応力と本理論との関係を明示し、 Bohm量子ポテンシャル → 量子応力 → 全応力 → 射影力 → 記憶核 という理論的接続を論じる。 本稿の中心的主張は、応力テンソルそのものではなく、Mori射影によって定義される同値類が輸送ダイナミクスにおける本質的対象であるという点にある。この枠組みは、一般化流体力学、非局所輸送、量子流体力学、Mori–Zwanzig記憶核、およびBohm型多体相関の研究に対する基礎的な数理構造を与える。 本稿はプレプリントであり、現時点では査読を受けていない。

•Sep 29, 2026•0 citations
量子力学では量子状態の量子相関が非局所性を表すものとして扱われているが,量子系の統計的推測においては量子状態の量子相関だけでなく,量子測定における量子相関も重要な役割を果たすことを解説する.さらに,現在の技術で十分に可能な測定で量子相関を用いることによる効果が明確なものを量子ガウス状態や量子2準位系を例にとって提案する.
量子論において実現可能な操作には様々な制約がある. 例えば, 量子状態は複製や配送が出来ないという複製(配送)禁止定理や, 物理量の測定によって情報を取得すると擾乱が起こるという情報と擾乱の関係, 位置と運動量のように非可換でシャープな物理量は同時に測定出来ないという一種の不確定性関係はよく知られた操作の制約である. これらの例は, 全て本稿で扱う量子論の両立不可能性の一例である. さらに, 両立不可能性の一例として紹介した情報と擾乱の関係に関して, 状態識別能力が高い測定は擾乱が大きいということを, 操作的に前順序関係を導入して定性的に示すと同時に状態識別能力と擾乱の関係を定量化して得た不等式を紹介する.
本研究ではまず, 軌道フェッシュバッハ共鳴を有する4成分フェルミ原子気体における対形成揺らぎの影響を理論的に解明するため, 本系を記述可能な強結合理論の構築を行った。本系に対して強結合効果を理論的に取り入れると, 理論に発散が生じてしまうことが知られている。従来のアプローチでは, 数値的なカットオフパラメータを導入することによってこれを避けていたが, 本研究では人工的なパラメータなしに系の性質を記述することに成功した。さらに構築された理論を用いて, 状態密度の解析を行うことにより, この系における擬ギャップ現象を明らかにした。擬ギャップ現象は, 強く相互作用するフェルミ粒子系において, 超流動転移温度以上においても, 超流動状態でみられるようなギャップ構造が, 状態密度や1粒子励起スペクトルに生じる現象であり, 超流動の前駆現象として知られている。従来のs波相互作用する2成分フェルミ原子気体におけるBCS-BECクロスオーバー現象では, 相互作用を強くするにつれてエネルギースケールが大きくなり, 擬ギャップ構造は徐々に顕著になることが知られている。しかしながら, 本研究の結果, 軌道フェッシュバッハ共鳴を有する4成分フェルミ原子気体の場合, 占有する原子数の多い2成分(open channel)の状態密度は従来と同様の振る舞いが見られるが, 占有する原子数の少ない2成分(closed channel)の状態密度においては, 相互作用を弱くするにつれて擬ギャップのサイズが大きくなりながら消えていくという全く異なる振る舞いが生じることを理論的に明らかにした。さらに, この現象の観測可能性について明らかにするため, 現在, フェルミ原子気体の実験において, 原子を捕獲するために用いられるトラップポテンシャルの影響を理論的に取り入れ, 観測可能量であるphotoemissionスペクトルの解析を行っている。 We theoretically investigated effects of pairing fluctuations in a 4-component Fermi gas with an orbital Feshbash resonance. It has been known that in a model describing this system, an experimentally inaccessible bound state is included. In the previous works, the contribution from this state is removed by introducing a cutoff parameter. In this work, we successfully removed this bound state from the theory without using the artificial cutoff parameter. Calculating the density of states (DOS), the pseudo gap phenomena, in which a dip structure as shown in the superfluid phase appears in DOS even above the superfluid transition temperature, in this system was theoretically investigated. In the BCS-BEC crossover in a conventional s-wave interacting Fermi gas, the psudogap structure is known to become remarkable as increasing the interaction strength. On the other hand, we found that, while the same interaction dependence was show in the DOS of the open channel atoms, the pseudogap in the DOS of the closed channel atoms gradually disappears as decreasing the interaction strength, but its size becomes larger at the same time. To check the possibility of the experimental observation of this novel pseudogap phenomenon, we are now investigating the photoemission spectrum of this system by including the effects of the trap potential within the local density approximation.
超放射、超蛍光は、励起された多数の原子や分子が基底状態に戻るときに協働して強い光を放出する現象である。1954年の R. Dicke による超放射の理論的な予測以来、多くの実験で気体原子、分子からの超放射、超蛍光の現象が確認されてきた。近年では、気体からの超放射に加えて、量子ドットやナノ結晶といった固体からの超放射、加速器で作られる電子ビームからの超放射の実験が進んでいる。さらに、超放射相転移(熱平衡下での電磁場と電磁気分極の相転移)の研究、ニュートリノ研究に超放射の原理を応用する試みが行われ、脳の微小器官における超放射が議論されるなど、超放射、超蛍光の研究が広がっている。ここでは、超放射、超蛍光について分野を横断したシンポジウムを開催することで、新たな研究のアイデアを拓く一助とする。
最近、孤立した量子多体系の非平衡ダイナミクスが活発に研究されている。特に、外部変数を急変化させた後の量子系の時間発展を、量子クエンチ (quantumquench) とよぶ。70年代に McCoy 達により可解系で量子クエンチが議論されたが、最近冷却原子系の実験等に刺激され、再び注目されている。孤立量子系のダイナミクスは、量子統計力学の基礎の視点からも興味深い。量子多体系の純粋状態を任意に与えると、ほとんどの場合、その状態に関する物理量の期待値は、平衡値に非常に近い値に近づくことが、最近再発見された。量子状態の典型性 (typicality) の視点である。さらに、与えられた純粋状態のユニタリな時間発展の中で、局所演算子の期待値は平衡状態のアンサンブル平均値に収束する、と予想されている。このときエントロピーは全く変化しないが、しかし、緩和のような振る舞いが見られる。3日間の講義では最初に、可積分量子系の例を紹介し、デルタ関数型ポテンシャルで相互作用する1次元ボース気体に対してベーテ仮設の方法を説明する。次に、ホール励起など典型的な素励起を詳しく解説する。さらに、低励起スペクトルでの系の振る舞いと CFT との対応の概略をスケッチする。量子多体問題の様々な手法が可積分量子系で具体的に実現される点が教育的であると思われる。さらに、代数的べ一テ仮設を説明し、スラブノブ公式など演算子の期待値や形状因子を求めるに役立つ定理を解説する。そして、1次元ボース気体やXXX鎖等での最近の結果を紹介する。
ダイヤモンド量子センサは脳磁などの生体磁場の測定への応用に向けた研究が行われている。特に、脳磁から脳活動を推定するには頭皮上の多数点において同時に脳磁を測定する必要がある。本研究ではラットの脳磁同時多点検出を目標にミリメートル間隔での2点で同時に磁場を測定するダイヤモンド量子センサを開発した。現在、応用に向け、高感度化や、より多点で測定するための開発を行っている。
本稿では、多粒子量子流体力学(Many-Particle Quantum Hydrodynamics: MPQHD)における応力テンソルの表現自由度と、Mori–Zwanzig射影演算子法によって得られる記憶核との関係を解析する。 特に、応力テンソルの表現を変更した場合に、射影された運動量力が不変となるための必要十分条件を示し、この条件に基づいて応力テンソルの同値関係を導入する。さらに、対応する商空間を構成し、第一同型定理を用いて、応力テンソルの同値類と射影力の像空間との関係を明らかにする。 また、Wyatt型およびKuzmenkov型の量子応力テンソルをこの枠組みで整理し、同一の射影運動量力を与える応力表現が、同一のMori–Zwanzig記憶核を生成することを示す。 さらに、Bohm–Madelung表示における多体量子ポテンシャル、量子力、量子応力と本理論との関係を明示し、 Bohm量子ポテンシャル → 量子応力 → 全応力 → 射影力 → 記憶核 という理論的接続を論じる。 本稿の中心的主張は、応力テンソルそのものではなく、Mori射影によって定義される同値類が輸送ダイナミクスにおける本質的対象であるという点にある。この枠組みは、一般化流体力学、非局所輸送、量子流体力学、Mori–Zwanzig記憶核、およびBohm型多体相関の研究に対する基礎的な数理構造を与える。 本稿はプレプリントであり、現時点では査読を受けていない。