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双極子スピン系の長距離相互作用と相転移:周期境界条件なしの場合

米谷 佳晃

Published Sep 19, 2024• 0 citations
OpenAlex

Abstract

長距離相互作用系のシミュレーションで有限距離のカットオフ計算を行うと、様々なア ーティファクトが生じることが知られている。特に問題となるは、カットオフ距離を長くしても計算結果が改善されず、逆に悪化することである。例えば、水の分子動力学シミュレーションでは、層状の配向構造へ転移することが知られている。同様の現象は、双極子液体や双極子スピン系でも確認されてきた。しかし、現象の起源については分かっていないことが多い。我々は、層状構造が純粋にカットオフによって生じる安定構造と考えてきた。一方、van der SpoelとMaaren は、カットオフだけでなく周期境界条件を適用したことで、層状構造が生じるという見解を示していた。本研究では、このような見解の不一致を検証するために、周期境界条件をつけずにカッ トオフ計算を行い、層状構造が形成されるかどうかを調べた。

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木状相互通信パターンにおける秘密計算プロトコル

美歩 三宅

近年, 情報技術はさまざまな分野で使用されている. 特に企業では, 顧客や社会のニーズに応えるために人工知能などの先端技術や自社のデータの有効活用などが重要視されている. しかし, 顧客のパーソナルデータや企業の独自技術といった機密情報の利活用には, 情報漏洩や不正利用など安全面に課題がある. そこで, データを秘匿化したまま任意の計算が可能な秘密計算(secure multi-party computation, MPC) と呼ばれる暗号技術が注目されている. MPC とは, n人の入力x1, . . . , xn を持つパーティP₁, . . . , Pn が, 入力を秘匿したまま関数f(x1, . . . , xn) を共同計算する暗号技術である. MPC に関するほとんどの先行研究では, 全てのパーティが他の全てのパーティと通信できることが前提となっている. このようなプロトコルでは, プロトコルの実行中, 全てのパーティが常にオンラインである必要があり, これは現実的な設定ではない. 例えば, 無線通信では無線機器間の物理的距離によって直接通信ができない可能性がある. そのため, パーティ間の通信が制限されたMPC を考える必要がある. Halevi, Lindell, Pinkas はこの問題に対して, 全てのパーティが同時にオンラインであるという制約をなくしたプロトコルを提案した. また, Beimel らとGoldwasser らは, 各パーティが独立してメッセージをサーバへ送信し, サーバが関数の出力を計算するプロトコルを提案した. その後, Halevi らがこれらを一般化し, 相互通信パターン(interaction pattern)という概念を導入したMPC プロトコルを提案した. 相互通信パターンは, 各パーティが送信するメッセージの依存関係を表す有向非巡回グラフによって与えられる. 彼らのプロトコルは事前計算モデルであり, パーティ間で通信を行う前に, 各パーティに相関乱数 を与えることで任意の相互通信パターンを持つMPC プロトコルを実現している. また, 彼らは対称関数に対してチェーン型の相互通信パターンを持つ情報理論的に安全なプロトコルを提案している. このプロトコルでは, 相関乱数はn(n +1)²ビット, 総通信量は高々n(n +1)²ビットである. 本研究では, 対称関数に対応したアーベルプログラムに対するチェーン型と木状相互通信パターンを持つプロトコルを提案する. 提案プロトコルでは, 相関乱数はO(n log n) ビット, 総通信量はO(n log n) ビットである. アーベルプログラムとは, 入力はアーベル群G上の要素であり, 関数f : G → {0, 1}を用いてh(x1, . . . , xn) = f(Σi∈[n] xi) で表される関数である. 入力領域をG = Zn+1 とすることで, 対称関数が表現できる. 対称関数は出力が入力のハミング重みにのみ依存する関数であり, 具体的には, OR, AND, 多数決関数などの実用的な関数がある. また, 木状相互通信パターンを持つプロトコルは有用である. 通信ネットワーク上のルーティングは木構造となっている. そのため, 木状相互通信パターンを持つプロトコルを提案することで, パーティ間の通信が任意に制限されている通信ネットワーク上でのMPC を実現可能とする.

•Mar 1, 2023•0 citations

量子フラストレート系シミュレーションのためのイオントラップ開発

タロウ ハセガワ, Taro Hasegawa, 太郎 長谷川

本研究では、微小な「2次元イオントラップアレイ」を作製することが目的である。本装置に原子イオンを束縛し、レーザー冷却することで、「フラストレート系」の量子状態を実現し、その状態の量子シミュレーションを行うことが最終的な目標である。 イオントラップは荷電粒子を束縛することができる装置である。本研究では、2次元的に微小なイオントラップを複数配置し、各イオントラップに1個ずつ原子イオン(バリウムイオンを想定)を束縛する。フラストレート系は3個の微小イオントラップを正三角形に配置することで実現できる。各イオンの間にはクーロン相互作用が働くため、イオンの位置によってエネルギーが異なる。この作用を利用してフラストレート系を実現する。 本研究期間では、2次元イオントラップアレイの設計およびその製作を行った。本研究では、以前の研究で製作した「弦イオントラップ」をさらに発展させ、「ツイスト弦イオントラップ」を製作することにした。ツイスト弦イオントラップでは、イオントラップに使用する電極をすべて細い金属弦(直径0.05 mmのタングステンワイヤー)で製作する。それにより、トラップするバリウムイオンからのレーザー誘起蛍光を外部より高い感度で計測できる。また、金属弦をねじれた関係で配置することにより、電極数が少なくても3次元的にイオンを束縛できる。このとき、ねじり角を大きくすることで、イオントラップの大きさを小さくすることもできる。このことから、ツイスト弦イオントラップによって微小な2次元イオントラップアレイを実現できる。 本研究では3つの微小イオントラップを2次元的に配置するツイスト弦イオントラップを設計し、そのための100個以上の部品を製作した。今後はこのパーツを組立て、実際にイオントラップとして動作させる。 The aim of this study is to fabricate a small-scale "2D ion trap array". By confining and laser-cooling atomic ions in this device, the quantum state of a "frustrated system" is realized, and eventually quantum simulations of this state can be done. An ion trap is a device to confine charged particles. In this study, several small-scale ion traps are arranged in a two-dimensional configuration, and one atomic ion (barium ion is assumed) is trapped in each ion trap. The frustrated system can be realized by arranging three small ion traps in an equilateral triangle. Because of the Coulomb interaction among the ions, energy varies depending on the position of the ions. This interaction is utilized to achieve the frustrated system. During this research period, a 2D ion trap array has been designed and fabricated. In this study, the "string ion trap", which was previously fabricated, is developed further into a "twisted string ion trap". In the twisted string ion trap, all the electrodes used in the ion trap are made of thin metal strings (tungsten wires with a diameter of 0.05 mm). This allows us to observe the laser-induced fluorescence from the trapped barium ion with higher sensitivity. Additionally, by arranging the metal strings in a twisted configuration, ions can be trapped in three dimensions with fewer electrodes. By increasing the degree of twist, we can also reduce the size of the ion trap. As a result, a small-scale 2D ion trap array can be realized using the twisted string ion trap. In this study, a twisted string ion trap that consists of three small ion traps in a 2D configuration is designed, and more than 100 parts for it are fabricated. In future, these parts are to be assembled for actual operation of the ion trap.

•Jan 1, 2022•0 citations

スピン位相緩和がもつれNV対量子センサの感度に与える影響

木村 晃介, 小野田 忍, 大門 俊介 +8 more

量子もつれ状態を用いたセンシングは、標準量子限界(SQL)を超えた感度を実現できる可能性を持つ。我々は、ダイヤモンド中の窒素・空孔センター間のもつれ状態によるセンシングを目指している。しかしながら、もつれ状態は位相緩和の影響を受けやすく、実際の測定環境においてSQLを超えることができるか否かは明らかでない。本研究では、静磁場揺らぎと局所磁場の熱揺らぎについて考慮し、位相緩和が感度に与える影響について議論する。

•Sep 19, 2024•0 citations

ポールトラップ中のクーロン結晶を用いた単一イオン超精密射出法の実証実験

室尾 健人, 穂坂 綱一, 百合 庸介 +2 more

トラップ中に捕捉したイオンを絶対零度近傍まで冷却することでイオンの相対位置がほとんど変化しない「クーロン結晶状態」となる。このイオンをトラップから加熱なく取り出せば、極低エミッタンスイオン源として利用することができる。本研究では典型的な構造の線形ポールトラップ中でカルシウムイオンをレーザー冷却しクーロン結晶化させた。トラップに印加する電圧を適切に操作することにより、トラップからイオンを一つずつ連続して射出することに成功した。講演ではその結果について議論する。

•Sep 15, 2026•0 citations

時空の離散的サンプリングと有限解像度窓関数による客観的デコヒーレンスの導出

Taishi Namba, Mick Ichigo

【要約】 量子力学におけるデコヒーレンス理論は、従来、対象系と無限の自由度を持つ外部環境とのエンタングルメントに依存して説明されてきた。しかし、このアプローチは全宇宙のような閉鎖系に適用できず、古典的観測値への境界(ハイゼンベルク切断)の物理的実体を提示できないという根本的な課題を抱えている。 本研究では、時空そのものが持つ情報キャリアの有限性に着目し、最小解像度スケール を持つガウス窓関数を用いた離散サンプリング写像モデルを提案する。連続波動関数から格子上の有効密度行列への変換を解析的に計算した結果、空間的に距離 離れた非対角項(コヒーレンス)が幾何学的抑制因子 によって指数関数的に減衰し、マクロスケール( )において自動的に消滅することが厳密に示された。 さらに、ナイキスト限界を超える高周波成分は基本帯域へエイリアシングとして射影され、激しい自己位相干渉によって熱化(位相キャンセレーション)を引き起こす。これにより、環境系への情報の散逸を仮定することなく、純粋な情報幾何学的制約のみから「客観的な波束の収縮」と「ボルン規則に基づく対角項の保存」が必然的な数理的帰結として導かれる。本モデルは、主観的な観測者やアドホックな境界線を必要とせず、ミクロとマクロの力学を単一の枠組みでシームレスに統合する新たな基盤を提供する。 I. INTRODUCTIONThe quantum measurement problem remains one ofthe deepest foundational issues in physics. Whileenvironment-induced decoherence successfully explainsthe rapid diagonalization of reduced density matrices foropen quantum systems, it suffers from severe limitationswhen applied to the entire universe as a closed system,where no external environment exists.Objective collapse models, such as the Ghirardi-Rimini-Weber (GRW) and Continuous Spontaneous Lo-calization (CSL) frameworks, introduce ad-hoc stochasticjumps or classical white noise fields to restore macroreal-ism. However, these mechanisms introduce non-unitaryphenomenological parameters without geometric origin.In this work, we propose that objective decoherence isa natural consequence of the finite information-carryingcapacity and spatial resolution of background spacetime.By utilizing Shannon-Nyquist sampling theory and har-monic analysis, we show that classicality emerges deter-ministically from geometric projections onto discrete lat-tice representations.

•Sep 11, 2026•0 citations

経路積分的考察による量子力学のプロパゲイターに係わる研究

孝 一瀬, Takashi Ichinose

本研究では,量子力学のプロパゲイター,即ち,シュレーディンガーユニタリ群の積分核,グリーン関数,また虚数時間版のシュレーディンガー半群の熱核を念頭に置いている。この研究では,とりわけ,3つの相異なる磁場付き相対論的シュレーディンガー半群を考え,経路の空間上のレヴィ過程に基づく確率測度による(虚数時間)経路積分表示を確立し,その異なる特徴を明らかにした。また,他の話題,ソレノイド磁場量子散乱におけるアハラノフ・ボーム効果のレゾナンスへの関与や,ベクトル値関数に関する,右辺にディラック作用素が係わるセミノルムを持つ改良ソボレフ不等式についても論じた。

•Jun 9, 2015•0 citations
長距離相互作用系のシミュレーションで有限距離のカットオフ計算を行うと、様々なア ーティファクトが生じることが知られている。特に問題となるは、カットオフ距離を長くしても計算結果が改善されず、逆に悪化することである。例えば、水の分子動力学シミュレーションでは、層状の配向構造へ転移することが知られている。同様の現象は、双極子液体や双極子スピン系でも確認されてきた。しかし、現象の起源については分かっていないことが多い。我々は、層状構造が純粋にカットオフによって生じる安定構造と考えてきた。一方、van der SpoelとMaaren は、カットオフだけでなく周期境界条件を適用したことで、層状構造が生じるという見解を示していた。本研究では、このような見解の不一致を検証するために、周期境界条件をつけずにカッ トオフ計算を行い、層状構造が形成されるかどうかを調べた。
近年, 情報技術はさまざまな分野で使用されている. 特に企業では, 顧客や社会のニーズに応えるために人工知能などの先端技術や自社のデータの有効活用などが重要視されている. しかし, 顧客のパーソナルデータや企業の独自技術といった機密情報の利活用には, 情報漏洩や不正利用など安全面に課題がある. そこで, データを秘匿化したまま任意の計算が可能な秘密計算(secure multi-party computation, MPC) と呼ばれる暗号技術が注目されている. MPC とは, n人の入力x1, . . . , xn を持つパーティP₁, . . . , Pn が, 入力を秘匿したまま関数f(x1, . . . , xn) を共同計算する暗号技術である. MPC に関するほとんどの先行研究では, 全てのパーティが他の全てのパーティと通信できることが前提となっている. このようなプロトコルでは, プロトコルの実行中, 全てのパーティが常にオンラインである必要があり, これは現実的な設定ではない. 例えば, 無線通信では無線機器間の物理的距離によって直接通信ができない可能性がある. そのため, パーティ間の通信が制限されたMPC を考える必要がある. Halevi, Lindell, Pinkas はこの問題に対して, 全てのパーティが同時にオンラインであるという制約をなくしたプロトコルを提案した. また, Beimel らとGoldwasser らは, 各パーティが独立してメッセージをサーバへ送信し, サーバが関数の出力を計算するプロトコルを提案した. その後, Halevi らがこれらを一般化し, 相互通信パターン(interaction pattern)という概念を導入したMPC プロトコルを提案した. 相互通信パターンは, 各パーティが送信するメッセージの依存関係を表す有向非巡回グラフによって与えられる. 彼らのプロトコルは事前計算モデルであり, パーティ間で通信を行う前に, 各パーティに相関乱数 を与えることで任意の相互通信パターンを持つMPC プロトコルを実現している. また, 彼らは対称関数に対してチェーン型の相互通信パターンを持つ情報理論的に安全なプロトコルを提案している. このプロトコルでは, 相関乱数はn(n +1)²ビット, 総通信量は高々n(n +1)²ビットである. 本研究では, 対称関数に対応したアーベルプログラムに対するチェーン型と木状相互通信パターンを持つプロトコルを提案する. 提案プロトコルでは, 相関乱数はO(n log n) ビット, 総通信量はO(n log n) ビットである. アーベルプログラムとは, 入力はアーベル群G上の要素であり, 関数f : G → {0, 1}を用いてh(x1, . . . , xn) = f(Σi∈[n] xi) で表される関数である. 入力領域をG = Zn+1 とすることで, 対称関数が表現できる. 対称関数は出力が入力のハミング重みにのみ依存する関数であり, 具体的には, OR, AND, 多数決関数などの実用的な関数がある. また, 木状相互通信パターンを持つプロトコルは有用である. 通信ネットワーク上のルーティングは木構造となっている. そのため, 木状相互通信パターンを持つプロトコルを提案することで, パーティ間の通信が任意に制限されている通信ネットワーク上でのMPC を実現可能とする.
本研究では、微小な「2次元イオントラップアレイ」を作製することが目的である。本装置に原子イオンを束縛し、レーザー冷却することで、「フラストレート系」の量子状態を実現し、その状態の量子シミュレーションを行うことが最終的な目標である。 イオントラップは荷電粒子を束縛することができる装置である。本研究では、2次元的に微小なイオントラップを複数配置し、各イオントラップに1個ずつ原子イオン(バリウムイオンを想定)を束縛する。フラストレート系は3個の微小イオントラップを正三角形に配置することで実現できる。各イオンの間にはクーロン相互作用が働くため、イオンの位置によってエネルギーが異なる。この作用を利用してフラストレート系を実現する。 本研究期間では、2次元イオントラップアレイの設計およびその製作を行った。本研究では、以前の研究で製作した「弦イオントラップ」をさらに発展させ、「ツイスト弦イオントラップ」を製作することにした。ツイスト弦イオントラップでは、イオントラップに使用する電極をすべて細い金属弦(直径0.05 mmのタングステンワイヤー)で製作する。それにより、トラップするバリウムイオンからのレーザー誘起蛍光を外部より高い感度で計測できる。また、金属弦をねじれた関係で配置することにより、電極数が少なくても3次元的にイオンを束縛できる。このとき、ねじり角を大きくすることで、イオントラップの大きさを小さくすることもできる。このことから、ツイスト弦イオントラップによって微小な2次元イオントラップアレイを実現できる。 本研究では3つの微小イオントラップを2次元的に配置するツイスト弦イオントラップを設計し、そのための100個以上の部品を製作した。今後はこのパーツを組立て、実際にイオントラップとして動作させる。 The aim of this study is to fabricate a small-scale "2D ion trap array". By confining and laser-cooling atomic ions in this device, the quantum state of a "frustrated system" is realized, and eventually quantum simulations of this state can be done. An ion trap is a device to confine charged particles. In this study, several small-scale ion traps are arranged in a two-dimensional configuration, and one atomic ion (barium ion is assumed) is trapped in each ion trap. The frustrated system can be realized by arranging three small ion traps in an equilateral triangle. Because of the Coulomb interaction among the ions, energy varies depending on the position of the ions. This interaction is utilized to achieve the frustrated system. During this research period, a 2D ion trap array has been designed and fabricated. In this study, the "string ion trap", which was previously fabricated, is developed further into a "twisted string ion trap". In the twisted string ion trap, all the electrodes used in the ion trap are made of thin metal strings (tungsten wires with a diameter of 0.05 mm). This allows us to observe the laser-induced fluorescence from the trapped barium ion with higher sensitivity. Additionally, by arranging the metal strings in a twisted configuration, ions can be trapped in three dimensions with fewer electrodes. By increasing the degree of twist, we can also reduce the size of the ion trap. As a result, a small-scale 2D ion trap array can be realized using the twisted string ion trap. In this study, a twisted string ion trap that consists of three small ion traps in a 2D configuration is designed, and more than 100 parts for it are fabricated. In future, these parts are to be assembled for actual operation of the ion trap.
量子もつれ状態を用いたセンシングは、標準量子限界(SQL)を超えた感度を実現できる可能性を持つ。我々は、ダイヤモンド中の窒素・空孔センター間のもつれ状態によるセンシングを目指している。しかしながら、もつれ状態は位相緩和の影響を受けやすく、実際の測定環境においてSQLを超えることができるか否かは明らかでない。本研究では、静磁場揺らぎと局所磁場の熱揺らぎについて考慮し、位相緩和が感度に与える影響について議論する。
トラップ中に捕捉したイオンを絶対零度近傍まで冷却することでイオンの相対位置がほとんど変化しない「クーロン結晶状態」となる。このイオンをトラップから加熱なく取り出せば、極低エミッタンスイオン源として利用することができる。本研究では典型的な構造の線形ポールトラップ中でカルシウムイオンをレーザー冷却しクーロン結晶化させた。トラップに印加する電圧を適切に操作することにより、トラップからイオンを一つずつ連続して射出することに成功した。講演ではその結果について議論する。
【要約】 量子力学におけるデコヒーレンス理論は、従来、対象系と無限の自由度を持つ外部環境とのエンタングルメントに依存して説明されてきた。しかし、このアプローチは全宇宙のような閉鎖系に適用できず、古典的観測値への境界(ハイゼンベルク切断)の物理的実体を提示できないという根本的な課題を抱えている。 本研究では、時空そのものが持つ情報キャリアの有限性に着目し、最小解像度スケール を持つガウス窓関数を用いた離散サンプリング写像モデルを提案する。連続波動関数から格子上の有効密度行列への変換を解析的に計算した結果、空間的に距離 離れた非対角項(コヒーレンス)が幾何学的抑制因子 によって指数関数的に減衰し、マクロスケール( )において自動的に消滅することが厳密に示された。 さらに、ナイキスト限界を超える高周波成分は基本帯域へエイリアシングとして射影され、激しい自己位相干渉によって熱化(位相キャンセレーション)を引き起こす。これにより、環境系への情報の散逸を仮定することなく、純粋な情報幾何学的制約のみから「客観的な波束の収縮」と「ボルン規則に基づく対角項の保存」が必然的な数理的帰結として導かれる。本モデルは、主観的な観測者やアドホックな境界線を必要とせず、ミクロとマクロの力学を単一の枠組みでシームレスに統合する新たな基盤を提供する。 I. INTRODUCTIONThe quantum measurement problem remains one ofthe deepest foundational issues in physics. Whileenvironment-induced decoherence successfully explainsthe rapid diagonalization of reduced density matrices foropen quantum systems, it suffers from severe limitationswhen applied to the entire universe as a closed system,where no external environment exists.Objective collapse models, such as the Ghirardi-Rimini-Weber (GRW) and Continuous Spontaneous Lo-calization (CSL) frameworks, introduce ad-hoc stochasticjumps or classical white noise fields to restore macroreal-ism. However, these mechanisms introduce non-unitaryphenomenological parameters without geometric origin.In this work, we propose that objective decoherence isa natural consequence of the finite information-carryingcapacity and spatial resolution of background spacetime.By utilizing Shannon-Nyquist sampling theory and har-monic analysis, we show that classicality emerges deter-ministically from geometric projections onto discrete lat-tice representations.
本研究では,量子力学のプロパゲイター,即ち,シュレーディンガーユニタリ群の積分核,グリーン関数,また虚数時間版のシュレーディンガー半群の熱核を念頭に置いている。この研究では,とりわけ,3つの相異なる磁場付き相対論的シュレーディンガー半群を考え,経路の空間上のレヴィ過程に基づく確率測度による(虚数時間)経路積分表示を確立し,その異なる特徴を明らかにした。また,他の話題,ソレノイド磁場量子散乱におけるアハラノフ・ボーム効果のレゾナンスへの関与や,ベクトル値関数に関する,右辺にディラック作用素が係わるセミノルムを持つ改良ソボレフ不等式についても論じた。