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最先端の研究開発 量子科学技術研究開発機構 第 4 回 「量子生命科学」の発進

秀 藤巻, 龍治 五十嵐, 洋一 高草木, 基泰 安達, 明徳 横谷, 太郎 玉田, 秀俊 河野, 直哉 鹿園, 達彦 今岡, 憲 赤松, 輝昭 小西, 真希子 山田, 憲明 八幡, Shu Fujimaki, Ryuji Igarashi, Yoichi Takakusagi, Motoyasu Adachi, Akinari Yokoya, Taro Tamada, Hidetoshi Kono, Naoya Shikazono, Tatsuhiko Imaoka, Ken Akamatsu, Teruaki Konishi, Makiko Yamada, Noriaki Yahata

Published Jun 1, 2019• 0 citations
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Abstract

量研では、新しい学術領域「量子生命科学」の確立を目指した活動を、国内外の研究者と共に精力的に進めている。量子生命科学とは、最先端の量子技術と量子科学の知見を総合的に利用し、従来不可能であった極微の空間・時間スケールあるいは超高感度での生体内部の観測や生体分子の計測、生命機能のモデリングなどを実現することにより、量子論・量子力学を基盤とした視点から生命全般の根本原理を明らかにすることを目標とし、その原理の産業応用も視野に入れた分野である。本稿では、平成 31 年 4 月に量研内に発足した「量子生命科学領域」におけるアプローチを紹介する。

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物性とは, 物質中の電子がもつ電荷・スピン・軌道などの自由度が互いに相互作用しあった結果, マクロな(熱力学的) 物理量に見出される性質である. その際, 系のエネルギーEとエントロピーSの兼ね合いがものを言う. 「この二つの熱力学量がどのような性質を持つか」と「ミクロな自由度同士がどのような相互作用をもつか~つまりどのようなミクロなモデルで系が表されるか」の間を繋ぐのが理論研究の役割といっていいだろう. ごく一般の系では, 温度が下がるにつれエントロピーが比熱という形で放出され, エネルギーが最も低く, エントロピーがゼロの状態が最終的に極低温で実現する. これが熱力学第三法則である. エントロピーが低い状態とは, 自由度が何らかの形で「秩序化」した状態に相当する. ところが, フラストレート系と呼ばれる系では, エントロピーがなかなか放出されず, そのために低エネルギー状態が混沌としてしまう. そこに何らかの新しい物理が生まれる~特異な揺らぎが発生して, 通常とは異なった秩序や「相」が実現したり, 特徴的なダイナミクスや応答が得られる場合もある. 本稿では, このようなフラストレート系のエッセンスを, イジングモデルやハイゼンベルグモデル, tVモデルなどのミニマル有効モデルをもとに大掴みに捉え, それをどう理論的に"調理する"かについて解説する.

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「量子科学」と聞いて何を思い浮かべるでしょうか? ・シュレーディンガーや, 難解な方程式, 電子軌道図 ・放射線・エックス線などの電磁波や, 光レーザー・半導体 ・初の国産機登場で話題となっている量子コンピューター ・苦手意識と憂鬱感 などなど 近年の技術革新により,「量子の目」で生命を俯瞰することをめざした, 量子生命科学「Quantum Life Science」という新たな分野が幕を開けようとしています。国の戦略目標および研究開発目標として具体的に定められ, 現在その基礎研究が推進されています。量子センシング, 量子イメージング, 量子ドット, 量子素子, 量子情報処理・通信など, 量子 (Quantum) と名のついた最先端技術が次々に登場しつつあります。 磁場, 温度, 光, 電磁波などの外的環境要因による反応を, 生物個体局所あるいは全体として時間的, 空間的そして定量的に捉え, その静的・動的変化や応答を一つのシステムとして理解しようとするのが, システム生物学の大きな目標の一つです。前述の外的要因はいずれも量子の関係する物理量であり, これらによって生じる影響もまた, 量子技術によって観測されうる生体応答です。例えば, 渡り鳥の方角認知や細胞内の温度局在, 植物の光回復, 人間の思考の流動性など, 多くの生命活動に量子が関係し, それらを説明できると推測されています。これらを解明するための体系・手段として, 今まさに量子科学への大きな関心が寄せられています。 一方で, 量子技術を基盤とした新たな診断治療技術の臨床試験や産業応用も進展しつつあり, 量子科学の概念や関連技術の重要性は, 今後もますます高まっていくと予想されます。 本特別セミナーでは, ①量子生命科学の概略, ②代表的な量子科学技術, ③システムとしての生物と量子科学技術の接点を, 具体例を挙げながら説明し, システム生物学における量子科学技術の役割について触れたいと思います。また, 既存の概念や分野に捕らわれない柔軟性の大切さやこれらを修得するための秘訣についても, 演者の経験を踏まえつつお話しします。 多くの皆様のお越しをお待ちしております。

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