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フラストレートした量子多体系(第61回物性若手夏の学校 集中ゼミ)

知佐 堀田

Published Nov 1, 2017• 0 citations
Publisher

Abstract

物性とは, 物質中の電子がもつ電荷・スピン・軌道などの自由度が互いに相互作用しあった結果, マクロな(熱力学的) 物理量に見出される性質である. その際, 系のエネルギーEとエントロピーSの兼ね合いがものを言う. 「この二つの熱力学量がどのような性質を持つか」と「ミクロな自由度同士がどのような相互作用をもつか~つまりどのようなミクロなモデルで系が表されるか」の間を繋ぐのが理論研究の役割といっていいだろう. ごく一般の系では, 温度が下がるにつれエントロピーが比熱という形で放出され, エネルギーが最も低く, エントロピーがゼロの状態が最終的に極低温で実現する. これが熱力学第三法則である. エントロピーが低い状態とは, 自由度が何らかの形で「秩序化」した状態に相当する. ところが, フラストレート系と呼ばれる系では, エントロピーがなかなか放出されず, そのために低エネルギー状態が混沌としてしまう. そこに何らかの新しい物理が生まれる~特異な揺らぎが発生して, 通常とは異なった秩序や「相」が実現したり, 特徴的なダイナミクスや応答が得られる場合もある. 本稿では, このようなフラストレート系のエッセンスを, イジングモデルやハイゼンベルグモデル, tVモデルなどのミニマル有効モデルをもとに大掴みに捉え, それをどう理論的に"調理する"かについて解説する.

DOI
10.14989/229035

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