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「成分」と「基底」の変換の相違点 : 群論と行列力学の基礎を理解するために

勝義 山崎, Katsuyoshi Yamasaki

Published Dec 28, 2025• 0 citations
OpenAlex

Abstract

群論で主役を演じる指標を理解するためには、変換行列(群論では表現行列とも呼ぶ)の理解が不可欠である。群論の教科書での変換行列の解説は、通常、あるベクトルに対象操作が施されたとき、操作前後でのベクトルの成分(ベクトル先端の座標値)相互の関係を表す行列として始められる。しかし、群論を化学に応用し、"道具"として利用するときには、ベクトル(の成分)よりも一組の基底関数に対象操作が施されたときの変換行列を扱う頻度の方がはるかに高い。ところが、成分と基底の変換行列の表記法に対して統一性を欠く成書があることや、成書ごとに異なる表記法が採用されていることを原因として、誤解や混乱が生じるケースが少なくない。成分(=座標、ベクトル)と基底(=座標軸)それぞれの変換の意味と相違点を理解し、行列力学を"武器"として使えるようになるための基礎を身に付けることがこのmonographの目的である。

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フラストレートした量子多体系(第61回物性若手夏の学校 集中ゼミ)

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物性とは, 物質中の電子がもつ電荷・スピン・軌道などの自由度が互いに相互作用しあった結果, マクロな(熱力学的) 物理量に見出される性質である. その際, 系のエネルギーEとエントロピーSの兼ね合いがものを言う. 「この二つの熱力学量がどのような性質を持つか」と「ミクロな自由度同士がどのような相互作用をもつか~つまりどのようなミクロなモデルで系が表されるか」の間を繋ぐのが理論研究の役割といっていいだろう. ごく一般の系では, 温度が下がるにつれエントロピーが比熱という形で放出され, エネルギーが最も低く, エントロピーがゼロの状態が最終的に極低温で実現する. これが熱力学第三法則である. エントロピーが低い状態とは, 自由度が何らかの形で「秩序化」した状態に相当する. ところが, フラストレート系と呼ばれる系では, エントロピーがなかなか放出されず, そのために低エネルギー状態が混沌としてしまう. そこに何らかの新しい物理が生まれる~特異な揺らぎが発生して, 通常とは異なった秩序や「相」が実現したり, 特徴的なダイナミクスや応答が得られる場合もある. 本稿では, このようなフラストレート系のエッセンスを, イジングモデルやハイゼンベルグモデル, tVモデルなどのミニマル有効モデルをもとに大掴みに捉え, それをどう理論的に"調理する"かについて解説する.

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霧箱観測による結果判定の問題点(原典)

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霧箱観測は荷電した何らかの物体が媒質をイオン化した際に生じる軌跡を可視化する装置として広く利用されてきた。しかし、霧箱に形成される軌跡が直ちに「粒子の通過」を意味するとする前提には、実験的厳密性の観点から再検討の余地がある。 霧箱はイオン化反応に対して応答する装置であり、反応を引き起こす主体が粒子であるか、あるいは別種の電荷を帯びた波動的・場的影響であるかを区別する機能を持たない。したがって、霧箱に軌跡が観測されたとしても、それを粒子の存在証拠と断定することは論理的に飛躍を含む。 この懐疑を解消するためには、追加実験として電磁波などの非粒子的電荷影響を霧箱に照射し、同様の反応が生じるかを検証することが有効である。本研究は、霧箱観測に基づく結果判定の妥当性について、実験装置の原理に立ち返り再評価する必要性を指摘する。

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量子センシングによる最先端イメージング診断・治療技術の開発と医学・薬学応用

湯川 博

生命科学の発展において、分子生物学が果たした役割は非常に大きい。しかし、未解明な生命現象も数多存在し、生命の根源的理解には至っていない。そのため、生命科学をこれまでの分子レベルから量子レベルにまで拡張して、統合することで理解を深める量子生命科学に強い期待が集まっている。本シンポジウムでは、生体内での計測がほとんど進んでいない温度、pH、磁場などの物理化学的パラメーターを多項目同時計測可能な、生体ナノ量子センサーシステム開発の最前線について紹介する。

•Sep 20, 2024•0 citations

多電子系の遍歴・局在・秩序化(第51回 物性若手夏の学校(2006年度))

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単独の電子は,質量・電荷・スピンで特徴付けられ,その性質は定量的によくわかっている。しかし,このような電子が多数集まると,非常に豊かで思いがけない性質を示す。固体中に凝縮した電子が示す超伝導,強磁性,分数量子ホール効果などはその例である。単独の電子の固有状態は,自由空間では平面波であるが,多数の電子の固有状態は必ずしも平面波ではない。すなわち斥力相互作用が強いと,平面波状態は不安定になり,多数の電子は自発的に局在する。この状態は,電子の結晶とみなせる。それでは逆に,平面波状態(フェルミ液体状態)は電子間の相互作用があっても生き残れるか,と問うこともできる。実はこの答えは単純ではない。その際,系の次元性が本質的に重要になる。この講義では,量子多体系としての電子系が示す興味ある性質を理解するために,単純な例から出発して重要な基本概念を説明する。特に,近藤効果,朝永・ラッティンジャー流体,モット絶縁体,動的有効場などを直感的に理解できるようにしたい。また,できるだけ最近の実験結果を含む新しい例題を選んで,量子多体系に関する最先端研究の現状がわかるようにしたい。

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レーザー冷却と共鳴結合法による三次元冷却の実証実験

瀧野 哲志, 伊藤清一, 岡本宏己 +1 more

線形ポールトラップに捕捉し、レーザー冷却することで生成したクーロン結晶をイオン源とすれば、エミッタンスが極めて小さいビームを生成できる。レーザー冷却法は強力であるが、原理的に一次元にしか作用しない。しかし、結合ポテンシャルを導入することで、冷却力を三次元に拡張できることが理論と数値シミュレーションで示されている(共鳴結合法)。本研究ではこの手法の実験的な実証を目指す。

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低次元観測者から見た次元上昇と量子現象の構造的類似に関する考察― 1次元から2次元、2次元から3次元への移行を手掛かりとした4次元仮説

昌続 新関

要旨(Abstract)本稿は、4次元を既知の3次元空間に単純な第4の座標軸を追加したものとして想定するのではなく、低次元の観測者が一つ上の次元に属する現象を観測したとき、どのような不可解な現象として経験するかを手掛かりとして、4次元的構造の可能性を考察する思考実験的研究である。まず、1次元から2次元、2次元から3次元への次元上昇を、上位次元をすでに知っている観測者の視点ではなく、低次元内部に拘束された観測者の視点から捉え直す。すると、上位次元を経由する運動や一つの高次元構造の断面は、低次元側からは、突然の消失と出現、通常の経路を通らない移動、離れた位置の強い関連、一つの存在が複数に見える現象などとして現れうる。次に、このような「低次元側に現れる異常の型」と、量子力学における重ね合わせ、量子もつれ、トンネル効果などの古典的直感に反する現象を比較する。本稿は両者を同一であると断定するものではない。既知の次元上昇において低次元観測者に生じる認識上・構造上の特徴を抽出し、その特徴が3次元世界の量子現象にも現れているかを検討するという方法を提示する。この比較から、量子現象が4次元そのものであると結論するのではなく、もし4次元的構造がわれわれの3次元世界に内在しているならば、量子領域はその構造が3次元側へ現れる候補領域の一つではないか、という仮説を提示する。また、この仮説を科学的モデルへ近づけるためには、単なる類似の指摘を越え、次元上昇の特徴を数学的に定義し、量子力学の定量的予測と比較可能な形にする必要があることを論じる。キーワード:次元上昇、低次元観測者、4次元、量子力学、重ね合わせ、量子もつれ、トンネル効果、高次元1 ―問題設定 4次元を「第4の軸」から考えない4次元を考えるとき、通常はX軸、Y軸、Z軸にさらに一つの軸を加えるという表現が用いられる。しかし、この方法は3次元を知っている側から次元を数学的に記述する方法であり、低次元の存在が実際に一つ上の次元をどのように経験するかという問題とは別である。

•Aug 25, 2026•0 citations
群論で主役を演じる指標を理解するためには、変換行列(群論では表現行列とも呼ぶ)の理解が不可欠である。群論の教科書での変換行列の解説は、通常、あるベクトルに対象操作が施されたとき、操作前後でのベクトルの成分(ベクトル先端の座標値)相互の関係を表す行列として始められる。しかし、群論を化学に応用し、"道具"として利用するときには、ベクトル(の成分)よりも一組の基底関数に対象操作が施されたときの変換行列を扱う頻度の方がはるかに高い。ところが、成分と基底の変換行列の表記法に対して統一性を欠く成書があることや、成書ごとに異なる表記法が採用されていることを原因として、誤解や混乱が生じるケースが少なくない。成分(=座標、ベクトル)と基底(=座標軸)それぞれの変換の意味と相違点を理解し、行列力学を"武器"として使えるようになるための基礎を身に付けることがこのmonographの目的である。
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