「成分」と「基底」の変換の相違点 : 群論と行列力学の基礎を理解するために
勝義 山崎, Katsuyoshi Yamasaki
Abstract
群論で主役を演じる指標を理解するためには、変換行列(群論では表現行列とも呼ぶ)の理解が不可欠である。群論の教科書での変換行列の解説は、通常、あるベクトルに対象操作が施されたとき、操作前後でのベクトルの成分(ベクトル先端の座標値)相互の関係を表す行列として始められる。しかし、群論を化学に応用し、"道具"として利用するときには、ベクトル(の成分)よりも一組の基底関数に対象操作が施されたときの変換行列を扱う頻度の方がはるかに高い。ところが、成分と基底の変換行列の表記法に対して統一性を欠く成書があることや、成書ごとに異なる表記法が採用されていることを原因として、誤解や混乱が生じるケースが少なくない。成分(=座標、ベクトル)と基底(=座標軸)それぞれの変換の意味と相違点を理解し、行列力学を"武器"として使えるようになるための基礎を身に付けることがこのmonographの目的である。