Spontaneous Collapse of Supersymmetry in Thermal States : 熱力学的相と対称性,オーダー・パラメーター,中心分解を巡って(d)【物性基礎論】,第42回 物性若手夏の学校(1997年度))
泉 小嶋
a ne o u sC o l l a p s e o f S u p e r 野mm e t r yi nT h e r m a lS t a t e s -熱力学的相 と対称性,オーダー ・ パラメーター,中心分解を巡って-小嶋 泉 ( 京都大学数理解析研究所) 要 旨 量子場理論 ・ 量子統計力学を代数的に定式化する立場から,最初に以下のような基本的間顔 を考察する。 1 ) 量子物理学の基本概念 とその定式化 : 最初からH i l b e r t空間を持込むのではなく, 「 q -数」 としての物理量を主軸に考える Di r a c本来の立場に立返って,時間発展,状態,状態ベ ク ト ル等の概念を記述する一般的手法について。 2 ) 熱力学的相の取扱いにおける熱力学的極限の問題 : 「 熱力学的相」を確定し 「 相転移」を c l e a r c u tに扱 うのに不可欠な熱力学的極限の取扱いと,その状況での熱平衡の定式化。 3 ) 熱力学的極限において,相がオーダーパラメータ-c e n t r eによって一般的に特徴づけら れること,および,超選択則-中心分解の概念。純粋相 ・ 混合相 とクラスター性 との関係 等について。 4 ) 相 と対称性の自発的破れの概念との関係について。 上の議論の応用 として,B 0 0e/ F e r mi 超選択則が任意の空間並進不変状態で成立つこと, B o s e場とF e r mi 場を相互に入替える 「 超対称性変換」が,真空 T=O o Kを除く任意の空間並進 不変状態において,従来知られていなかったタイプの強い自発的破れ ( -s p o n t a n e ous c o l l a pe ) を常に被 り,真空状況以外で超対称性変換を生成するs u p e r dh町 g 缶 は存在しない,とい う命題 を講義の時に証明する。 1 量子論の代数的定式化 有限 自由度 v s .無限 自由度 : ユニタ リー非 同値表現の存在 有限 自由度系 と無限 自由度系の本質的な違いは,( コンパ ク ト 多様体上の量子系は別 として,逮 常の)有限 自由度量子系を記述す る物理量の代数が既約表現を本質的にただ 1つ しか持たないのに 対 して,無限系は互 いにユニタ リー非同値な無数の表現 を持つ, とい うところにある。 前者 にお ける表現の一意性 ( S t o n e -Y o nNe u ma n nの定理)が,周知 の r Di r a c変換理論」 ( i .e .正準変数 の取 り方の違いはすべてユニタ リー変換に帰着 され る)の数学的基礎 をなす。 後者 ( ユニタ リー非同値表現の存在)は,単に数学的 レベルの問題 ではな く,異なる表現を区別 す るパラメー タが 「 オーダーパ ラメータ」として物理的な意義を持つ0e .g .強敵 性体の磁化の方向。 ⇒ r Di r a c変換理論」 の破綻r 初 めに Hi l b e r t空間あ りき」の破綻 廿 では ど うす るか ?⇒ 「 初 めに q -n u mb e r sあ りき」-代数的定式化 [ 実は,これ こそが Di r a cの 元々の立場だった !]: 表現に依 らない 「 物理量そのもの」のなす ( 抽象)代数 をそれ 自体で考 える。 1 . 1 「 初めに a l g e b r a sありき」 通常の量子力学の教科書では,状態ベク ト ル ( b r aあるいは k e t )の全体か ら成 る ( 複素) Hi l b e r t 空間か ら話 を始めるのが,標準的なスタイルである [ r 初めに Hi l b e r t空間あ りき」 ] 。物理系を記 述す る力学変数は, この ヒルベル ト空間上に作用す る線型演算子 として定義 され る。 講義 ノー ト これに対 して Di r a cの教科書では, ミクロ量子系を記述する力学変数 を,古典的な可換量 とし ての " C -n u mb e r "から区別 された,非可換な " q -n u m b e r "として抽象的に設定 し,特定の表示に依 ることなく s y mb o h cな取扱いによって,量子論の理論構造を明快に説明 した。 r 特定の表示によ らない」S y m b o l i cme t h o dとは," q -n u m b e r ' 'としての力学変数を,それ らの間に成 り立っ相互関 係だけに着 目して取 り扱い,具体的にどのような演算子を用いて数学的に事き下すかは一切問わな い,とい うこと。 ただし実際問題における物理量の r 期待値」の計算には, r 行列要素」が必要。その目的に S c h r 舶hg e r 表示の持つ具体性が必要 となるが,抽象的な見方は,こうい う具体的表示 とどう結びつ くのか?両 者のギャップを埋めて,抽象的な " s y mb o h cme t h o d "と量子力学の具体的取扱い との間の橋渡 しを したのは,同じDi r a cの r 変換理論」であり,それによって q -n u mb e r "のさまざまな表示がすべ て,ユニタリー変換によって相互に結ばれる。その数学的根拠は,正準交換関係 ( CC R)挿, P ]r a cの s y mb o h cme t h o dがその本来の役割を果たすべき場所は, r 変換理論」 が使 えない無 限自由度系だったのである。ここでは, r 初めにⅡi l b e r t 空間ありき」ではなく, r 初めに " q -n u m b e r ' ' の代数あ りき」で出発 しなければならない。こうして,ミクロ量子系を特徴づけ,その系の振舞を 記述する基本概念は,非可換な掛算規則に従 う力学変数 としての q : n u mb e r "とそれ らが作る代数 構造だとい うことになった。 1 .2 状態-期待値汎関数と GNS構成法 S e g a l, Ha a g ,荒木,Ka s t l e r 等によって 1 9 5 0 -6 0 年代に始められた r 場の量子論の代数的定式化」 あるいは " Al g e b r a icQu a n t u m F i e l dT h e o r y ' '【 3 】は,力学変数の作る ( 抽象的 C ★ -) 代数を基本 概念に採用することにより,期せず して Di r a cの上の考え方に対 して数学的な枠組を与えること となった。これによって,物理学に現れる種々の概念の役割を深くかつ統一的に捉えることが可能 となる。ただ し, r 初めに Hi l b e r t空間ありき」で出発する通常の量子論の記述形式が一旦体に染み ついて しま うと,
物性研究•Dec 20, 1997•0 citations