量子熱力学のオペレーショナルな展開
有季 青柳
Abstract
本研究では、量子熱力学のオペレーショナルな理論を展開することを目的とする。量子熱力学のオベレーショナルな理論の展開として我々は、熱力学的過程を生成する、正値演算子値測度を構成するunitalな量子演算について考える。固定点解析の方法を用いて、この演算を繰り返し作用させた場合、対象系の状態を絶対零度における純粋基底状態から、非平衡状態を通じて、高温極限における完全ランダム状態へ推移することを示す。また、この演算による状態変化のもとで熱量とvon Neumannエントロピーが単調増加することを示し、この演算によって不可逆な加熱過程が生成されることを述べる。さらに、簡単な例としてスピン1/2の2粒子系を考えて、この演算によって生成される熱力学的過程において、Clausiusの不等式が破れることを示す。