「コペンハーゲン解釈」って呼ぶのをやめよう
Shogo Tanimura
Abstract
2025年1月11,12日に岡山大学津島キャンパスで開催された第11回QUATUO研究会における講演資料。全57ページ。量子力学は抽象的・数学的な物理理論だが、この理論を現実世界における経験・観察事項とどのように対応させるかという方式・規則が、量子力学の解釈である。量子力学の解釈には諸説あるが、今日一番標準的とされているのがコペンハーゲン解釈である。とは言うものの、コペンハーゲン解釈の内容についても諸説あり、論者ごとにコペンハーゲン解釈の内容をそのつど適当に設定しているように見える。このような混乱がどうして起こったのか、そもそも誰が最初に「コペンハーゲン解釈」という用語を使い始めたのかを探る論考を解説した。今のところ、1955年にハイゼンベルクが言ったあるいは書いたのが「コペンハーゲン解釈」の初出だと思われる。ハイゼンベルクの動機について歴史的背景を交えながら推測した。結論としては、コペンハーゲン解釈は内容が不明確で、形式的に量子力学の解釈になっておらず、命名の動機も科学的な理由はないので、「コペンハーゲン解釈」という呼称の使用は控えた方がよいという判断に達した。一方で、ボーアを囲む研究者たちの平等で自由闊達な精神風土は「コペンハーゲン精神」と呼ばれることがあり、仁科芳雄氏はこの精神と量子力学の知識を日本に持ち帰った物理学者としても知られている。仁科芳雄氏を顕彰する施設である仁科会館を2025年1月13日に研究会メンバーたちと一緒に訪ね見学した。ここで見聞したことの一部を講演資料の補足ページで紹介した。