テンソルネットワーク形式への入り口 --イジング模型のテンソルネットワーク表現から-- (第61回物性若手夏の学校 集中ゼミ)
友年 西野
Abstract
テンソルネットワーク形式(Tensor-Network Formulation) とは、量子力学の作用積分、場の理論の伝播関数・相関関数、あるいは統計力学の要である分配関数を、局所的な重率を表す「テンソルの縮約」で表現しようとする理論形式である。興味深いことに、初等的な統計力学で習う2次元イジング模型(2D Ising Model) のボルツマン重率は、自然な形でテンソルネットワークの一種である、バーテックス模型(Vertex Model) として記述できる。この事実を足がかりとして、まずはテンソルネットワーク形式に慣れ、「活用方法への発想」について足がかりを得ることが、本稿の目的である。以下では主として統計力学系に着目して話を進めるが、殆ど全ての内容について「量子・古典対応」(~経路積分) を通じ、そのまま量子物理学系へと持ち込むことができる。テンソルネットワークの重要な一例である行列積状態(Matrix-Product State, MPS) についてまず学び、局所的なテンソルの縮約が持つ汎用性を垣間見よう。テンソルネットワーク繰り込み群(Tensor Network Renormalization, TNR)など、最先端の研究へと至る経緯についても、概略を紹介する。