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冷却原子気体の物理 (第59回物性若手夏の学校 : 集中ゼミ)

徹郎 二国

Published Feb 1, 2015• 0 citations
Publisher

Abstract

冷却原子気体は新しい物性物理の舞台として注目されており、これまでにBose-Einstein凝縮 (BEC) をはじめ様々な興味深い現象がこの系で観測されている。本講演の前半では中性原子気体の冷却方法やBose凝縮体の観測方法などの実験手段について簡単に解説し, Bose凝縮気体の超流動ダイナミクスに関連した話題をいくつか取り上げて紹介する。特に、回転する超流動原子気体における量子渦生成ダイナミクス、有限温度における第一、第二音波の伝播などについて紹介する予定である。講演の後半では冷却Fermi原子気体の超流動に関する話題を紹介する。この系ではFeshbach共鳴と呼ばれる機構を利用して原子間相互作用の強さと符号を制御することが出来る。この技術を利用して2004年には冷却Fermi原子気体における超流動状態が実現された。さらに、光格子 (レーザーの干渉を利用して作られる周期ポテンシャル) 中に原子気体を閉じ込めることも可能である。光格子は固体中の電子が感じる周期ポテンシャルを擬似的に再現することより、超伝導や磁性等の物性研究の重要な役割を担っている。近年では蜂の巣格子、籠目格子、Lieb格子といった特殊な幾何学的構造を持つ光格子を作ることが可能となった。これらの系ではディラックフェルミオン、フラットバンド等に由来した新奇な物性が期待される。

DOI
10.14989/194300

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量子統計力学の可解模型 : 素励起、臨界現象、非平衡ダイナミクス (第59回物性若手夏の学校 : 講義)

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最近、孤立した量子多体系の非平衡ダイナミクスが活発に研究されている。特に、外部変数を急変化させた後の量子系の時間発展を、量子クエンチ (quantumquench) とよぶ。70年代に McCoy 達により可解系で量子クエンチが議論されたが、最近冷却原子系の実験等に刺激され、再び注目されている。孤立量子系のダイナミクスは、量子統計力学の基礎の視点からも興味深い。量子多体系の純粋状態を任意に与えると、ほとんどの場合、その状態に関する物理量の期待値は、平衡値に非常に近い値に近づくことが、最近再発見された。量子状態の典型性 (typicality) の視点である。さらに、与えられた純粋状態のユニタリな時間発展の中で、局所演算子の期待値は平衡状態のアンサンブル平均値に収束する、と予想されている。このときエントロピーは全く変化しないが、しかし、緩和のような振る舞いが見られる。3日間の講義では最初に、可積分量子系の例を紹介し、デルタ関数型ポテンシャルで相互作用する1次元ボース気体に対してベーテ仮設の方法を説明する。次に、ホール励起など典型的な素励起を詳しく解説する。さらに、低励起スペクトルでの系の振る舞いと CFT との対応の概略をスケッチする。量子多体問題の様々な手法が可積分量子系で具体的に実現される点が教育的であると思われる。さらに、代数的べ一テ仮設を説明し、スラブノブ公式など演算子の期待値や形状因子を求めるに役立つ定理を解説する。そして、1次元ボース気体やXXX鎖等での最近の結果を紹介する。

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健祐 土居, 雄平 夏目

2成分系のBose凝縮系について、両者渦なし、片方が渦ありの場合についてその安定性をゆらぎの線形解析から論じた。ゆらぎの各モードが成分間の斥力相互作用の増加によってどのように励起エネルギーを変えてゆくかを調べた。特に、渦芯にできるcore modeに代表される伸縮性のあるmodeと、剛体的modeではその振る舞いに著しい差異があることを指摘した。後者のmodeでは成分間での同位相励起と逆位相励起の分岐が重要である。さらに、片方が中心にあり、他方がその周囲に等方性を保って共存するshell構造分布について、相分離の状態からの構造形成過程を波束ダイナミクスを計算機シミュレーションで調べた。それにより、作られるshell分布は中空の壺のような複雑な構造をしており、「球形のshell構造」という描像とはほど遠いものであることがわかった。

素粒子論研究•Jun 20, 2002•0 citations

量子動力学シミュレーション入門 --量子ウォークを例にして-- (第61回物性若手夏の学校 集中ゼミ)

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動的な物理現象への理解に向けた取り組みは、個々の豊かな物性現象を調べるだけではなく、数学的なトイモデルの性質を活かしたトップダウン的アプローチも試みられている。中でも量子現象の動的な性質は理論的には干渉効果をきちんと議論しなければならず、実験的には量子現象だけを純粋に取り出すことが極めて難しい。本ゼミでは、量子動力学現象を記述するための道具である「量子ウォーク」に関して、その理論的性質と実験による実装方法とその困難さに関して解説を行う。量子ウォークとは名前が示す通り、物理現象を説明する道具として使われているランダムウォークを量子力学の公理系の中で定義しようとした際に自然に定義されるものである。だがしかし、シンプルな定義からでは一見想像できないような多彩なダイナミクスを模写することが出来る。Schr odinger 方程式、Dirac 方程式やKlein-Gordon 方程式をトイモデルから統一的に理解することが出来るという点において、「量子動力学シミュレーション」と呼ぶ。また、近年の実験技術の飛躍的な向上により、数学的なトイモデルとして扱われてきた量子ウォークが中性原子・イオン・光の物理系において実装可能となり、量子効果を巧みに組合わせた実験系を構築することで量子情報科学や多体系量子論の問題へのアプローチも試みられている。

•Nov 1, 2017•0 citations

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2成分系のBose凝縮系について、両者渦なし、片方が渦ありの場合についてその安定性をゆらぎの線形解析から論じた。ゆらぎの各モードが成分間の斥力相互作用の増加によってどのように励起エネルギーを変えてゆくかを調べた。特に、渦芯にできるcore modeに代表される伸縮性のあるmodeと、剛体的modeではその振る舞いに著しい差異があることを指摘した。後者のmodeでは成分間での同位相励起と逆位相励起の分岐が重要である。さらに、片方が中心にあり、他方がその周囲に等方性を保って共存するshell構造分布について、相分離の状態からの構造形成過程を波束ダイナミクスを計算機シミュレーションで調べた。それにより、作られるshell分布は中空の壺のような複雑な構造をしており、「球形のshell構造」という描像とはほど遠いものであることがわかった。

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フラストレートした量子多体系(第61回物性若手夏の学校 集中ゼミ)

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物性とは, 物質中の電子がもつ電荷・スピン・軌道などの自由度が互いに相互作用しあった結果, マクロな(熱力学的) 物理量に見出される性質である. その際, 系のエネルギーEとエントロピーSの兼ね合いがものを言う. 「この二つの熱力学量がどのような性質を持つか」と「ミクロな自由度同士がどのような相互作用をもつか~つまりどのようなミクロなモデルで系が表されるか」の間を繋ぐのが理論研究の役割といっていいだろう. ごく一般の系では, 温度が下がるにつれエントロピーが比熱という形で放出され, エネルギーが最も低く, エントロピーがゼロの状態が最終的に極低温で実現する. これが熱力学第三法則である. エントロピーが低い状態とは, 自由度が何らかの形で「秩序化」した状態に相当する. ところが, フラストレート系と呼ばれる系では, エントロピーがなかなか放出されず, そのために低エネルギー状態が混沌としてしまう. そこに何らかの新しい物理が生まれる~特異な揺らぎが発生して, 通常とは異なった秩序や「相」が実現したり, 特徴的なダイナミクスや応答が得られる場合もある. 本稿では, このようなフラストレート系のエッセンスを, イジングモデルやハイゼンベルグモデル, tVモデルなどのミニマル有効モデルをもとに大掴みに捉え, それをどう理論的に"調理する"かについて解説する.

•Nov 1, 2017•0 citations

ダイヤモンド量子センサによるミリメートル間隔での同時多点磁場測定法の開発

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ダイヤモンド量子センサは脳磁などの生体磁場の測定への応用に向けた研究が行われている。特に、脳磁から脳活動を推定するには頭皮上の多数点において同時に脳磁を測定する必要がある。本研究ではラットの脳磁同時多点検出を目標にミリメートル間隔での2点で同時に磁場を測定するダイヤモンド量子センサを開発した。現在、応用に向け、高感度化や、より多点で測定するための開発を行っている。

•Sep 1, 2024•0 citations
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最近、孤立した量子多体系の非平衡ダイナミクスが活発に研究されている。特に、外部変数を急変化させた後の量子系の時間発展を、量子クエンチ (quantumquench) とよぶ。70年代に McCoy 達により可解系で量子クエンチが議論されたが、最近冷却原子系の実験等に刺激され、再び注目されている。孤立量子系のダイナミクスは、量子統計力学の基礎の視点からも興味深い。量子多体系の純粋状態を任意に与えると、ほとんどの場合、その状態に関する物理量の期待値は、平衡値に非常に近い値に近づくことが、最近再発見された。量子状態の典型性 (typicality) の視点である。さらに、与えられた純粋状態のユニタリな時間発展の中で、局所演算子の期待値は平衡状態のアンサンブル平均値に収束する、と予想されている。このときエントロピーは全く変化しないが、しかし、緩和のような振る舞いが見られる。3日間の講義では最初に、可積分量子系の例を紹介し、デルタ関数型ポテンシャルで相互作用する1次元ボース気体に対してベーテ仮設の方法を説明する。次に、ホール励起など典型的な素励起を詳しく解説する。さらに、低励起スペクトルでの系の振る舞いと CFT との対応の概略をスケッチする。量子多体問題の様々な手法が可積分量子系で具体的に実現される点が教育的であると思われる。さらに、代数的べ一テ仮設を説明し、スラブノブ公式など演算子の期待値や形状因子を求めるに役立つ定理を解説する。そして、1次元ボース気体やXXX鎖等での最近の結果を紹介する。
2成分系のBose凝縮系について、両者渦なし、片方が渦ありの場合についてその安定性をゆらぎの線形解析から論じた。ゆらぎの各モードが成分間の斥力相互作用の増加によってどのように励起エネルギーを変えてゆくかを調べた。特に、渦芯にできるcore modeに代表される伸縮性のあるmodeと、剛体的modeではその振る舞いに著しい差異があることを指摘した。後者のmodeでは成分間での同位相励起と逆位相励起の分岐が重要である。さらに、片方が中心にあり、他方がその周囲に等方性を保って共存するshell構造分布について、相分離の状態からの構造形成過程を波束ダイナミクスを計算機シミュレーションで調べた。それにより、作られるshell分布は中空の壺のような複雑な構造をしており、「球形のshell構造」という描像とはほど遠いものであることがわかった。
動的な物理現象への理解に向けた取り組みは、個々の豊かな物性現象を調べるだけではなく、数学的なトイモデルの性質を活かしたトップダウン的アプローチも試みられている。中でも量子現象の動的な性質は理論的には干渉効果をきちんと議論しなければならず、実験的には量子現象だけを純粋に取り出すことが極めて難しい。本ゼミでは、量子動力学現象を記述するための道具である「量子ウォーク」に関して、その理論的性質と実験による実装方法とその困難さに関して解説を行う。量子ウォークとは名前が示す通り、物理現象を説明する道具として使われているランダムウォークを量子力学の公理系の中で定義しようとした際に自然に定義されるものである。だがしかし、シンプルな定義からでは一見想像できないような多彩なダイナミクスを模写することが出来る。Schr odinger 方程式、Dirac 方程式やKlein-Gordon 方程式をトイモデルから統一的に理解することが出来るという点において、「量子動力学シミュレーション」と呼ぶ。また、近年の実験技術の飛躍的な向上により、数学的なトイモデルとして扱われてきた量子ウォークが中性原子・イオン・光の物理系において実装可能となり、量子効果を巧みに組合わせた実験系を構築することで量子情報科学や多体系量子論の問題へのアプローチも試みられている。
2成分系のBose凝縮系について、両者渦なし、片方が渦ありの場合についてその安定性をゆらぎの線形解析から論じた。ゆらぎの各モードが成分間の斥力相互作用の増加によってどのように励起エネルギーを変えてゆくかを調べた。特に、渦芯にできるcore modeに代表される伸縮性のあるmodeと、剛体的modeではその振る舞いに著しい差異があることを指摘した。後者のmodeでは成分間での同位相励起と逆位相励起の分岐が重要である。さらに、片方が中心にあり、他方がその周囲に等方性を保って共存するshell構造分布について、相分離の状態からの構造形成過程を波束ダイナミクスを計算機シミュレーションで調べた。それにより、作られるshell分布は中空の壺のような複雑な構造をしており、「球形のshell構造」という描像とはほど遠いものであることがわかった。
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ダイヤモンド量子センサは脳磁などの生体磁場の測定への応用に向けた研究が行われている。特に、脳磁から脳活動を推定するには頭皮上の多数点において同時に脳磁を測定する必要がある。本研究ではラットの脳磁同時多点検出を目標にミリメートル間隔での2点で同時に磁場を測定するダイヤモンド量子センサを開発した。現在、応用に向け、高感度化や、より多点で測定するための開発を行っている。