冷却原子気体の物理 (第59回物性若手夏の学校 : 集中ゼミ)
徹郎 二国
Abstract
冷却原子気体は新しい物性物理の舞台として注目されており、これまでにBose-Einstein凝縮 (BEC) をはじめ様々な興味深い現象がこの系で観測されている。本講演の前半では中性原子気体の冷却方法やBose凝縮体の観測方法などの実験手段について簡単に解説し, Bose凝縮気体の超流動ダイナミクスに関連した話題をいくつか取り上げて紹介する。特に、回転する超流動原子気体における量子渦生成ダイナミクス、有限温度における第一、第二音波の伝播などについて紹介する予定である。講演の後半では冷却Fermi原子気体の超流動に関する話題を紹介する。この系ではFeshbach共鳴と呼ばれる機構を利用して原子間相互作用の強さと符号を制御することが出来る。この技術を利用して2004年には冷却Fermi原子気体における超流動状態が実現された。さらに、光格子 (レーザーの干渉を利用して作られる周期ポテンシャル) 中に原子気体を閉じ込めることも可能である。光格子は固体中の電子が感じる周期ポテンシャルを擬似的に再現することより、超伝導や磁性等の物性研究の重要な役割を担っている。近年では蜂の巣格子、籠目格子、Lieb格子といった特殊な幾何学的構造を持つ光格子を作ることが可能となった。これらの系ではディラックフェルミオン、フラットバンド等に由来した新奇な物性が期待される。