Production of Quantum Degenerate Gases of Ytterbium Atoms
Takeshi Fukuhara
Abstract
氏 名 福原 武 (論文内容の要旨) 近年、量子縮退した原子気体の研究が盛んに行われているが、そのほ とんどはアルカリ原子を用いたものである。今後の応用・発展を考えたとき、 ユニークな原子種で量子縮退を実現し、研究を行うことが重要である。申請 者は、アルカリ原子とは性質が大きく異なる、イッテルビウム原子(Yb)に 着目し、研究を行った。Yb 原子には、まず、5 種類のボース同位体と 2 種類 のフェルミ同位体という多様な同位体が存在する。また、準安定な電子励起 状態と基底状態との間に、非常に狭い光学遷移が存在することも大きな特徴 であり、この超狭線幅光学遷移を用いたイッテルビウム原子ボース・アイン シュタイン凝縮体(BEC)の高分解能分光が可能である。本論文では、極低温 イッテルビウム原子の多種にわたる量子縮退を実現し、その量子多体系研究 への応用研究を行ったことを報告している。 まず最初に、申請者は Yb 原子同位体のレーザー冷却および光トラッ プ、さらにその光トラップ中での蒸発冷却について最適化を行い、これまで 実現していた 174 Yb 原子の BEC の原子数を約 10 倍増大させることに成功した。 次に、この方法を 170 Yb 原子同位体に適用し、 170 Yb 原子のボース・アインシ ュタイン凝縮を実現した。また、同様に 173 Yb 原子の冷却を行い、フェルミ縮 退を実現した。このフェルミ縮退は、6 成分のスピン成分全てが同時にフェ ルミ縮退しているという、大変ユニークな特徴があり、様々な応用が期待さ れている。また、 174 Yb 原子との共同冷却を用い 176 Yb ボース原子及び 171 Yb フ ェルミ原子の量子縮退領域への冷却にも成功している。特に、 176 Yb ボース原 子の BEC と 174 Yb 原子の BEC の同時 BEC に成功している。更に、 174 Yb-173 Yb の 同位体対のボース・フェルミ混合系を実現することに成功している。 これらの冷却実験の振舞いや、BEC した原子の振舞いから、原子間相 互作用を特徴付ける散乱長に関する情報を引き出すことに成功している。そ して、求められた値は、別の光会合分光法により後に高精度に求められた値 とほぼ一致しており、その正しさが確認されている。 さらに、申請者は、 174 Yb-173 Yb の同位体対のボース・フェルミ混合系 の集団運動に関する実験を行った。光ポテンシャルを急に変化させることに より 174 Yb 原子 BEC に4重極振動を誘起し、フェルミ原子である 173 Yb