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物性研究

不安定粒子のデコヒーレンス(第4回『非平衡系の統計物理』シンポジウム,研究会報告)

雅博 森川

Published Oct 20, 1997• 0 citations
OpenAlex

Abstract

東京都文京区大塚 2 -1 -1 電子メール:h i r o ◎p h y s .o c h a .舵. j p Ab s t r a c t 何ら窓意的な粗視化を導入せずに不安定 L e eモデルに対する散逸効果を含んだ有効ハ ミ ル ト ニアンを構成する.in -i n形式の場の理論に基づいた一般化された拓射補正は自動的に不可逆性 と量子相関の自発的崩壊を導 く.特に,この方法を用いた記述によれば,根源的に散逸的な系を 記述するために通常のヒルベル ト 空間を拡張する必要が無い事が分かる. 1 導入 物理学において,マ クロな世界の不可逆性 の理解は最 も魅力的なテーマの 1つである.特に基本的な ミクロな法則か ら不可逆性を整合的に導 くことは物理学の中心的な課題 になっている.不幸にし てほとん どすべての ミクロの法則は厳密 に可逆であって,それ らの単純 な適用か らは不可逆性は決 して得 られない.マクロな不可逆性を導 くよ くある方法 は,は じめか ら外に開いた系 を考えることである 【 1 1 ・つ ま り全体 としては閉 じた系を,着 目す る重要な系 と残 りの環境系に分散す る.そ して この環境系に 関 して粗視化を して着 目す る系の運動を得 るのである.不可逆性 は着 目系か ら環境系-

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柴田・橋爪のLangevin方程式はStratonovich型かIto型か?(第5回『非平衡系の統計物理』シンポジウム)

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クイーンズラン ド大物理 1 は じめに 量子系における微視的なハ ミル トニアンで記述 され るモデルか らL a n g e v i n方程式を導出 す る試みは,古 くか ら行われてきた.特に,射影演算子法によるL a n g e v i n方程式の導出 は,森 【 1 ] によ り始め られ,多 くの研究者によって調べ られてきた.柴 田 ・ 橋爪 [ 2 】 は,熱浴 と相互作用す るスピン系に対 して射影演算子法を適用す ること により,ス ピン緩和に対す る量子 L a n g e v i n方程式を導出 した・その際,注 目す 卑系甲演 算子に対す るHe i ' s e n b e r g方程式か ら出発 し,通常の解析関数 に対す る規則 に したがって 計算を進めている, したがって,導出された量子 L a n g e v i n方程式は,通常の計算規則 に したが うS t r a t o n o v i c h型の確率微分方程式であると理解すべきであろ う. 一方,散逸現象を正準形式の場の理論 として取 り扱 うNo n -E q u i l i b r i u m Th e r moF i e l d Dy n a mi c s ( NE TF D) 【 3 日7 Jの一貫 した体系か ら見 ると,柴 田 ・ 橋爪のL a n g e v i n方程式は I t o 型の確率微分方程式 と理解すべきとい う結論が得 られる.これは先ほどの結果 と矛盾 してお り,微視的に導出されたL a n g e v i n方程式に対 して,その計算則をきちん と定める 必要があるとい う問題が現れた.本論文では,ス ピン緩和 と減衰調和振動子の例 を用いて,射影演算子法によ り導出さ れた量子 L a n g e v i n方程式の確率過程 としての計算則がI t o 型である事を,保存量の微分を 計算す る事によ り具体的に示す [ 8 】 .次章では,NETF DにおけるL a n g e v i n方程式を導出 す る.NE TF Dの体系では,いくつかの公理か らL a n g e v i n方程式の形が決定する.第3 章 では,柴 田 ・ 橋爪の方法に沿って L a ng e v in方程式を導出す る.第 4章では,ス ピン緩和 に対する柴 田 ・ 橋爪のL a n g e v i n方程式に対 して,その計算則がI t o 型になっている事を, 保存量の微分を計算す る事によって示す.また,減衰調和振動子のモデルに対しても,柴 田 ・ 橋爪のL a n g e v i n方程式が I t o 型になっている事を示す・ -8 7 0-「 第 5回 『 非平衡系の統計物理』.シンポジウム」 2 NETFDにおけるL a n g e v i n方程式 柴田・ 橋爪のL a n g e v i n方程式 と比較 しうる,NE TF DにおけるL 弧g e V i n方程式を導出する・ 乱雑力 と相互作用する系を考える・NE TF Dでは,状態 l O f ( i ) ) は確率 L i o u v il l e 方程式, d l O f ( i ) ) --m f , t d tl O f ( i ) ) , に従って時間発展す る.( 1 ) 式の積は,I t o 型の積である.無限小時間発展演算子であるハ ッ ト・ ハ ミル トニアン T t f , t d t は, ( i 7 i f , t d t ) --i 7 1 J , 刺 を満たす.ここで,テイル ド共役-は,任意の演算子 A, Al , A 2 に対 して, ( AI A 2 ) --AI A 2 , ( c I A l +C 2 A2 ) --C ; A l +C ; A 2 , ( A) --A, ( A t ) --( A ) I , で定義 され る.ただ し, c l ,C 2 はc 数である.ハ ッ ト・ ハ ミル トニアン 7 t f , t d l は,注 目す る系に関 して確率の保存を表す式,) ( d F I Z d F 1 7 ) -( d F l f d F I Z ) -6 6 ( i -t ′ ) d t d t ′ , を持つ定常 Wi e n e r 過程 を仮定す る.Wi e n e r 過程の演算子は, ( I d F t '-( l d 育 , ( l d F t z-( I d F t z , を満たす.ハ ッ ト・ ハ ミル トニアン 7 i f , t d t に対 して, ・S 土 , s z , d F t j = , d F t z及びそのテ イル ダ共役 に関 して 2次まで・ .大局的位相変換S -S e i O , d F t -d F re i Oの下で不変.の要請 を仮す.但 し, S 土は S 土-s x士i s yで定義 され る. この要請 の下で得 られ るI t o 型のハ ッ ト・ ハ ミル トニアン 7 tf , t d t は, 7 1 f j d ths d t +i( h R +H D ) d t +d ht , ( 2 4 ) ( 2 5 ) ( 2 6 ) h s -u ( s z -S -X ) +△ 1 ( ( s Z ) 2 -( S -Z ) 2 ) +A2 ( S + S 一一S -+ S --) , ( 2 7 ) h R-芸 ( 7 0 1 -7 1 0 ) ( ( S +-S --) ( p s -+ " 5 ' ) +七 ・ C ・ ) , ( 2 8 )

物性研究•Feb 20, 1999•0 citations

ホワイトノイズ超関数と量子確率微分方程式(第4回『非平衡系の統計物理』シンポジウム,研究会報告)

伸明 尾畑

l は じめ に 決定論 的 な物理系が通常の微分方程式で記述 されるのに対 して,ランダムな揺 らぎを含む 物理系 には確 率微分方程式が用いられる.確率微分方程式論が数学 の一分野 として登場 した のは比較的新 しく 1 9 4 0年代 のことであ り, 伊藤清の業績 にちなんで 「 伊藤解析」 とも呼ば れている.伊藤解析は 1 9 7 0年代には無限変数の超関数のアイデア と融合 し, 現在では 「 確率 解析」 として無限次元解析 の理論的興味か ら諸科学に現れるラ ンダム現象の解析 といった応 用面 にわた り, 広 く研究 され大いに発展 して きている.その中にあって,量子系への応用 とい う点はやや遅 れて, 1 9 8 0年頃か ら伊藤解析の量子版 としての量子確率微分方程式の数学的基 礎づけが研 究 され今 日に至 っている.古典論の場合を振 り返れば, 量子確率微分方程式 を超 関数論的に取 り扱 うこ との実効性が予想 される.この論文では, 数年前か ら著者が展 開 して いるホワイ トノイズ超 関数論 によるアプ ローチを紹介するとともに, 特 に, 量子確率微分方 程式の解の存在 と構成 について論ず る. まず, 簡単 な L a n g e v i n方程式の例 を通 してホワイ トノイズ超 関数論の基本的なア イデア を説明 しよう.速度V-V ( i )の粒子 ( 質量 は 1とする) が粘性抵抗 ( 抵抗係数 k>0 ) のある 媒質の中を外 力 f-I ( i )を受けなが ら運動する系 は Ne w t o n方程式 霊 ニーk v ・J , v l t = 。 -v o , ( 1 ・ 1 ) で記述 される.ここで, 外力 は位置には無関係だが, 時間 とともに変化 して も良い としている.今, i -I ( t )が ( 例 えば) 連続関数であれば, ( 1 . 1 ) は容易 に解けて, V ( i )e 一 如 vo + e -ki l t e kS f ( S ) ds ( 1 ・ 2 ) となる. で は,外力 に揺 らぎのある場合 は どうなるだろうか.この場合 は,各時刻 tで発 生す る外力 f ( i )はある確率分布に従 う確率変数 と考 えられる・( 一般 に, 時間パ ラメー タ付 きの確率変数 は確率過程 と呼ばれる・ ) はっきりさせ るために,確率空 間 ( a, P ) を導入 し, I: R十 × a-I ( i , W )∈R と表示 しよう・たとえ Fが確率過程であって も, 各サ ンプル U∈D に対 して I -I ( 壬 , W )が連続関数であれば, ( 1 .2 ) は定義 され, 解 V ( i ) -V ( t , W)は確率過程 と して得 られ る.確率変数 の基本的な特性量 は平均 と分散である.簡単のため,外力の平均値 -研究会報告 E( I ( i ) )-0を仮定 しよう.このとき, 確率過程 V ( i )の平均 と分散 は, ( 1 .2 ) か ら容易 に求め られ, E ( V ( i ) )e -k t v o ・e -k t lt e h .E( I ( S ) ) d s -e -k t v o ( 1 ・ 3 ) V( V ( i ) ) 千e -2 h〃 e k ' r ' 3 ' E( I ( r ) I ( S ) ) d r d s ( 1 ・ 4 ) となる・分散が ラ ンダムカ f ( i )の時間相関関数 E( I ( r ) I ( S ) )で与 え られることに注意 して お く.時間相 関関数が E ( i ( r ) I ( S ) ) -6 ( r -S )( 1 .5 )o Ie 一 如/ .I e h B d B. のような 「 伊藤型確率積分」で与えられるのである.1 9 7 0年代 になると, 確率微分方程式 に 対す る超関数的アプ ローチが現れて きた.超関数論 によってデ ルタ関数が正当化 され, 微分 方程式論 に大 きな変革が現れたが, 同 じようなことは確率解析 にも期待で きる.Ma l l i a v in解 析 【 2 2 1 や飛 田解析がその代表的なものである・特 に, 飛田解析 は 「 ホワイ トノイズ解析」 と も呼ばれ, 一旦 は d B tとして姿 を消 して しまったホワイトノイズ をあか らさまに数学的対象 「 第 4回 『 非平衡系の統計物理』 シンポジウム」 として捉 える理論である1.これについては,次節以降で詳述するが Ga u s s空間上の超関数空 間 ( E ) 'を導入す ることによって, ホワイトノイズ w t を ( E ) +内の C∞一 級 f l o w として取 り 扱 うことがで きる.そ うす ると, ( 1 .7 ) は再び d v ---k v+ Wt d i と書かれる・形 は もとの ( 1 . 1 )と同一であるが, 解 V-V ( i ) は ( E ) •の中で求めることになる.考 える空間は ( E ) ' の ように無限次元空間になって しまったが, 方程式その ものに特異性は な く, 普通の微積分の規則で解 を求めることがで き, V ( i ) -ek t v o ・e -kl / .ie k s w Sd s となる・これ は, 考 えている空間は違 うのであるが, ( 1 ・ 2 )と形は全 く同 じである.ここで述べて きた ものは簡単 な一例であるが, ホワイ トノイズ解析 によって従来 の形式的計算 に数学的 裏付け を与 え, 揺 らぎの本質 を直に捉 えることがで きるようになった.一方で,1 9 6 0年頃か ら散逸量子系の解析 において量子 L a n g e 血 方程式が議論 されて き た ( L a x[ 2 0 】 , S e n i t z k yl 3 6 】な ど・なお Ac c a r d il 1 】も参照) .それを量子伊藤理論 を定式化 し てユニタリ拡張の問題 として捉 えたのが Hu d s o n -P a r t h a s a r a t h yl 1 6 】であ り, その理論 の後, 若干の超 関数 のアイデア も取 り入れなが ら大いに発展 して今 日に至 っている.最近出版され た教科書 Me y e rl 2 1 1 , P a r t h a s a r a t h yl 3 2 ]はこの方面の必携書 となっている.まず,B r o wn遠 動 を定義す る確率空間 と L 2( A ) 上の B o s o nF o c k空間 ( R が B r o w n 運動 の時間パ ラメータ を与 える)が 同型 になる ( Wi e n e r Jt 6 -S e g a l 同型) .すると Bt をその B o s o nF o c k空間上の かけ算作用素 とみなす ことがで き, Bt -At + A t e の ように,さらに 「 素」な 2つの量子確率過程 に分解す ることがわか る.At , A言はそれぞれ 消滅過程, 生成過程 と呼ばれている.Hu d s o n -P a r t h a s a r a t h y -Me y e r理論 は, それ らの無限小 増分 d At , d AI , 及びゲージ過程の無限小増分 d Atに基づ く伊藤解析 の量子版 とで も言 うべ き ものである.生成・ 消滅過程 によって, 第 3の量子確率過程 tを表す ことは, 彼 らの量子確 率積分で許 される被積分関数の範囲ではで きないが, 応用上極めて重要であるので独立 につ け加 えられている.この ような流れを眺めれば, ホワイトノイズ解析の量子版 を建設 し, 応用面 を探 るのは興 味のあることと言 えよう.このアプローチの一つの特徴 は, デルタ関数 を掌中にす る超関数 論 を基礎 に しているので,「 素」となるべ き量子 ノイズは a , , a t 'の 2つで十分であるとい う ことである・実際, " すべて" の量子確率過程 を a tと a t 'に関する " 量子確率積分" で表現する ことがで きる2.また,このことは, すべての作用素が生成 ・ 消滅作用素で表現で きる とい う 場の理論 における直感 にもあっている3.こうして,我々の立場 を図示 すれば次の ようになる. 1 飛 田 【 1 2 】に興味深い解説記事がある.2ここで … をつけたのは, 数学 として表現するのだか らむろん一定の枠 をはめた り, 概念 を一般化 した りし た上で,との意味.詳しくは本文 § 4を参照されたい.3このこ とを証明す るためには," すべての作用素"に対 して枠 をはめなければな らない.有界作用素に対 し ては B e r e z i n【 3 1 , G e l f a ndt r i p l e tに付随 したものは O b a t a【 2 3 1で証明された・なお, § 3も参照せ よ・ 研究会報告 古典確 率解析 d B t -d A t +d Al ' d Bt -Wt d l Wt-a t +a i ' 量子確率解析 Hu d s o n -P a r t h a r a r a t h y -Me y e r理論 d At , d At ' , d d t d d t -a t d t 量子ホワイ トノイズ解析 ( 提案中) a i ) a t + この論文 では,ホワイ トノイズ起関数論 ( WNDT)を簡単 に紹介 した後, 量子確率過程が どのように して素過程である a ., a t 'で表現 されるかを説明す る・その後, 作用素の Wi c k積 を導入 し, 量子確率微分方程式の解の構成 に応用する.ホワイトノイズ超関数論 については, 最近出版 され た Ku o【 1 9 】は極めて丁寧 に書かれてお り,この方面への格好の入門書である・ また,この論文 ではホワイ トノイズ空間上の作用素論が基礎 になっているが,これ について は Ob a t a【 2 3 】を参照 されたい.量子ホワイ トノイズ解析 については, 本 はまだないが, Ob a t a l 2 7 日 2 8 日 2 9 】に多少 まとまった記述がある・関連す るもの として, Hu a n g【 1 3 】 , Hu a n g -L u o l 1 4 ] , Ob a t al 2 5 】 , 大矢-, ) 、 鴫 [ 3 1 ] なども参照 されたい・ここで展開す る理論 は物理では絶対零 度 の場合 に対応 し, 有限温度の場合 に拡張す ることは極めて興味深い問題 となる.この観点 か ら Hu d s o n -L i n d s a yl 1 5 】 や有光グループ による研究 【 2 日 3 4 】は重要な指針 を与 えるもので ある. 2 ホワイ トノイズ超関数論 2 . 1 Br o wn運動か らホワイ トノイズへ 水 中の花粉粒子のジグザグ運動は, 数学的には確率過程 として定式化 されている.確率変数の 1径数族 f Bt ) t ≧ 。で ( i ) ( B t )は Ga u s s 系, つ まり任意の有限 1 次結合 c I B i l +・-+ c n Bt nが Ga u sS 分布 に従 う; ( i i ) B 0-0 ,E ( B , )-0 ,E ( B s B t ) -mi n ( S , l l ; を満たす もの を B r o wn運動 または Wi e n e r 過程 と呼ぶ.ここでは, 無 限次元 Ga u s s 測度 を 用いて B r o vn運動 を構成す る. 他の方法 については, 【 1 1 日 1 7 】な どを参照 されたい.実 Hi l b e r t空間 H-L 2 ( I R , d i ) の実内積 とノルムを ( i , 7 ) -/ R E ( i ) 7 ( i ) d l , I 引。 -( i , i ) , E , 7 7 ∈H, によって定義す る.( ここで,ノルムの添字 Oは後で便利 なようにつけた・ )有限次元 E u c l i d 空間な らば, Bo c h n e rの定理 によって確率測度 と正定借関数が 1 対 1対応するが, 無限次元 空 間に対 して は Ge l f a n dt r i p l e tを用いなければならない 【 3 8 1 ・さて,無 限回微分可能 な急 減少関数の全 体 を E -S( A) ,その双対空間,つま り E 上の連続線形 ( 帆)関数4 の全体 を 4 E -S( A)の標準的な位相 は,ノルムの系列 = f J L ・ , A-S u p t e Rl t 3

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東京都文京区大塚 2 -1 -1 電子メール:h i r o ◎p h y s .o c h a .舵. j p Ab s t r a c t 何ら窓意的な粗視化を導入せずに不安定 L e eモデルに対する散逸効果を含んだ有効ハ ミ ル ト ニアンを構成する.in -i n形式の場の理論に基づいた一般化された拓射補正は自動的に不可逆性 と量子相関の自発的崩壊を導 く.特に,この方法を用いた記述によれば,根源的に散逸的な系を 記述するために通常のヒルベル ト 空間を拡張する必要が無い事が分かる. 1 導入 物理学において,マ クロな世界の不可逆性 の理解は最 も魅力的なテーマの 1つである.特に基本的な ミクロな法則か ら不可逆性を整合的に導 くことは物理学の中心的な課題 になっている.不幸にし てほとん どすべての ミクロの法則は厳密 に可逆であって,それ らの単純 な適用か らは不可逆性は決 して得 られない.マクロな不可逆性を導 くよ くある方法 は,は じめか ら外に開いた系 を考えることである 【 1 1 ・つ ま り全体 としては閉 じた系を,着 目す る重要な系 と残 りの環境系に分散す る.そ して この環境系に 関 して粗視化を して着 目す る系の運動を得 るのである.不可逆性 は着 目系か ら環境系-
クイーンズラン ド大物理 1 は じめに 量子系における微視的なハ ミル トニアンで記述 され るモデルか らL a n g e v i n方程式を導出 す る試みは,古 くか ら行われてきた.特に,射影演算子法によるL a n g e v i n方程式の導出 は,森 【 1 ] によ り始め られ,多 くの研究者によって調べ られてきた.柴 田 ・ 橋爪 [ 2 】 は,熱浴 と相互作用す るスピン系に対 して射影演算子法を適用す ること により,ス ピン緩和に対す る量子 L a n g e v i n方程式を導出 した・その際,注 目す 卑系甲演 算子に対す るHe i ' s e n b e r g方程式か ら出発 し,通常の解析関数 に対す る規則 に したがって 計算を進めている, したがって,導出された量子 L a n g e v i n方程式は,通常の計算規則 に したが うS t r a t o n o v i c h型の確率微分方程式であると理解すべきであろ う. 一方,散逸現象を正準形式の場の理論 として取 り扱 うNo n -E q u i l i b r i u m Th e r moF i e l d Dy n a mi c s ( NE TF D) 【 3 日7 Jの一貫 した体系か ら見 ると,柴 田 ・ 橋爪のL a n g e v i n方程式は I t o 型の確率微分方程式 と理解すべきとい う結論が得 られる.これは先ほどの結果 と矛盾 してお り,微視的に導出されたL a n g e v i n方程式に対 して,その計算則をきちん と定める 必要があるとい う問題が現れた.本論文では,ス ピン緩和 と減衰調和振動子の例 を用いて,射影演算子法によ り導出さ れた量子 L a n g e v i n方程式の確率過程 としての計算則がI t o 型である事を,保存量の微分を 計算す る事によ り具体的に示す [ 8 】 .次章では,NETF DにおけるL a n g e v i n方程式を導出 す る.NE TF Dの体系では,いくつかの公理か らL a n g e v i n方程式の形が決定する.第3 章 では,柴 田 ・ 橋爪の方法に沿って L a ng e v in方程式を導出す る.第 4章では,ス ピン緩和 に対する柴 田 ・ 橋爪のL a n g e v i n方程式に対 して,その計算則がI t o 型になっている事を, 保存量の微分を計算す る事によって示す.また,減衰調和振動子のモデルに対しても,柴 田 ・ 橋爪のL a n g e v i n方程式が I t o 型になっている事を示す・ -8 7 0-「 第 5回 『 非平衡系の統計物理』.シンポジウム」 2 NETFDにおけるL a n g e v i n方程式 柴田・ 橋爪のL a n g e v i n方程式 と比較 しうる,NE TF DにおけるL 弧g e V i n方程式を導出する・ 乱雑力 と相互作用する系を考える・NE TF Dでは,状態 l O f ( i ) ) は確率 L i o u v il l e 方程式, d l O f ( i ) ) --m f , t d tl O f ( i ) ) , に従って時間発展す る.( 1 ) 式の積は,I t o 型の積である.無限小時間発展演算子であるハ ッ ト・ ハ ミル トニアン T t f , t d t は, ( i 7 i f , t d t ) --i 7 1 J , 刺 を満たす.ここで,テイル ド共役-は,任意の演算子 A, Al , A 2 に対 して, ( AI A 2 ) --AI A 2 , ( c I A l +C 2 A2 ) --C ; A l +C ; A 2 , ( A) --A, ( A t ) --( A ) I , で定義 され る.ただ し, c l ,C 2 はc 数である.ハ ッ ト・ ハ ミル トニアン 7 t f , t d l は,注 目す る系に関 して確率の保存を表す式,) ( d F I Z d F 1 7 ) -( d F l f d F I Z ) -6 6 ( i -t ′ ) d t d t ′ , を持つ定常 Wi e n e r 過程 を仮定す る.Wi e n e r 過程の演算子は, ( I d F t '-( l d 育 , ( l d F t z-( I d F t z , を満たす.ハ ッ ト・ ハ ミル トニアン 7 i f , t d t に対 して, ・S 土 , s z , d F t j = , d F t z及びそのテ イル ダ共役 に関 して 2次まで・ .大局的位相変換S -S e i O , d F t -d F re i Oの下で不変.の要請 を仮す.但 し, S 土は S 土-s x士i s yで定義 され る. この要請 の下で得 られ るI t o 型のハ ッ ト・ ハ ミル トニアン 7 tf , t d t は, 7 1 f j d ths d t +i( h R +H D ) d t +d ht , ( 2 4 ) ( 2 5 ) ( 2 6 ) h s -u ( s z -S -X ) +△ 1 ( ( s Z ) 2 -( S -Z ) 2 ) +A2 ( S + S 一一S -+ S --) , ( 2 7 ) h R-芸 ( 7 0 1 -7 1 0 ) ( ( S +-S --) ( p s -+ " 5 ' ) +七 ・ C ・ ) , ( 2 8 )
l は じめ に 決定論 的 な物理系が通常の微分方程式で記述 されるのに対 して,ランダムな揺 らぎを含む 物理系 には確 率微分方程式が用いられる.確率微分方程式論が数学 の一分野 として登場 した のは比較的新 しく 1 9 4 0年代 のことであ り, 伊藤清の業績 にちなんで 「 伊藤解析」 とも呼ば れている.伊藤解析は 1 9 7 0年代には無限変数の超関数のアイデア と融合 し, 現在では 「 確率 解析」 として無限次元解析 の理論的興味か ら諸科学に現れるラ ンダム現象の解析 といった応 用面 にわた り, 広 く研究 され大いに発展 して きている.その中にあって,量子系への応用 とい う点はやや遅 れて, 1 9 8 0年頃か ら伊藤解析の量子版 としての量子確率微分方程式の数学的基 礎づけが研 究 され今 日に至 っている.古典論の場合を振 り返れば, 量子確率微分方程式 を超 関数論的に取 り扱 うこ との実効性が予想 される.この論文では, 数年前か ら著者が展 開 して いるホワイ トノイズ超 関数論 によるアプ ローチを紹介するとともに, 特 に, 量子確率微分方 程式の解の存在 と構成 について論ず る. まず, 簡単 な L a n g e v i n方程式の例 を通 してホワイ トノイズ超 関数論の基本的なア イデア を説明 しよう.速度V-V ( i )の粒子 ( 質量 は 1とする) が粘性抵抗 ( 抵抗係数 k>0 ) のある 媒質の中を外 力 f-I ( i )を受けなが ら運動する系 は Ne w t o n方程式 霊 ニーk v ・J , v l t = 。 -v o , ( 1 ・ 1 ) で記述 される.ここで, 外力 は位置には無関係だが, 時間 とともに変化 して も良い としている.今, i -I ( t )が ( 例 えば) 連続関数であれば, ( 1 . 1 ) は容易 に解けて, V ( i )e 一 如 vo + e -ki l t e kS f ( S ) ds ( 1 ・ 2 ) となる. で は,外力 に揺 らぎのある場合 は どうなるだろうか.この場合 は,各時刻 tで発 生す る外力 f ( i )はある確率分布に従 う確率変数 と考 えられる・( 一般 に, 時間パ ラメー タ付 きの確率変数 は確率過程 と呼ばれる・ ) はっきりさせ るために,確率空 間 ( a, P ) を導入 し, I: R十 × a-I ( i , W )∈R と表示 しよう・たとえ Fが確率過程であって も, 各サ ンプル U∈D に対 して I -I ( 壬 , W )が連続関数であれば, ( 1 .2 ) は定義 され, 解 V ( i ) -V ( t , W)は確率過程 と して得 られ る.確率変数 の基本的な特性量 は平均 と分散である.簡単のため,外力の平均値 -研究会報告 E( I ( i ) )-0を仮定 しよう.このとき, 確率過程 V ( i )の平均 と分散 は, ( 1 .2 ) か ら容易 に求め られ, E ( V ( i ) )e -k t v o ・e -k t lt e h .E( I ( S ) ) d s -e -k t v o ( 1 ・ 3 ) V( V ( i ) ) 千e -2 h〃 e k ' r ' 3 ' E( I ( r ) I ( S ) ) d r d s ( 1 ・ 4 ) となる・分散が ラ ンダムカ f ( i )の時間相関関数 E( I ( r ) I ( S ) )で与 え られることに注意 して お く.時間相 関関数が E ( i ( r ) I ( S ) ) -6 ( r -S )( 1 .5 )o Ie 一 如/ .I e h B d B. のような 「 伊藤型確率積分」で与えられるのである.1 9 7 0年代 になると, 確率微分方程式 に 対す る超関数的アプ ローチが現れて きた.超関数論 によってデ ルタ関数が正当化 され, 微分 方程式論 に大 きな変革が現れたが, 同 じようなことは確率解析 にも期待で きる.Ma l l i a v in解 析 【 2 2 1 や飛 田解析がその代表的なものである・特 に, 飛田解析 は 「 ホワイ トノイズ解析」 と も呼ばれ, 一旦 は d B tとして姿 を消 して しまったホワイトノイズ をあか らさまに数学的対象 「 第 4回 『 非平衡系の統計物理』 シンポジウム」 として捉 える理論である1.これについては,次節以降で詳述するが Ga u s s空間上の超関数空 間 ( E ) 'を導入す ることによって, ホワイトノイズ w t を ( E ) +内の C∞一 級 f l o w として取 り 扱 うことがで きる.そ うす ると, ( 1 .7 ) は再び d v ---k v+ Wt d i と書かれる・形 は もとの ( 1 . 1 )と同一であるが, 解 V-V ( i ) は ( E ) •の中で求めることになる.考 える空間は ( E ) ' の ように無限次元空間になって しまったが, 方程式その ものに特異性は な く, 普通の微積分の規則で解 を求めることがで き, V ( i ) -ek t v o ・e -kl / .ie k s w Sd s となる・これ は, 考 えている空間は違 うのであるが, ( 1 ・ 2 )と形は全 く同 じである.ここで述べて きた ものは簡単 な一例であるが, ホワイ トノイズ解析 によって従来 の形式的計算 に数学的 裏付け を与 え, 揺 らぎの本質 を直に捉 えることがで きるようになった.一方で,1 9 6 0年頃か ら散逸量子系の解析 において量子 L a n g e 血 方程式が議論 されて き た ( L a x[ 2 0 】 , S e n i t z k yl 3 6 】な ど・なお Ac c a r d il 1 】も参照) .それを量子伊藤理論 を定式化 し てユニタリ拡張の問題 として捉 えたのが Hu d s o n -P a r t h a s a r a t h yl 1 6 】であ り, その理論 の後, 若干の超 関数 のアイデア も取 り入れなが ら大いに発展 して今 日に至 っている.最近出版され た教科書 Me y e rl 2 1 1 , P a r t h a s a r a t h yl 3 2 ]はこの方面の必携書 となっている.まず,B r o wn遠 動 を定義す る確率空間 と L 2( A ) 上の B o s o nF o c k空間 ( R が B r o w n 運動 の時間パ ラメータ を与 える)が 同型 になる ( Wi e n e r Jt 6 -S e g a l 同型) .すると Bt をその B o s o nF o c k空間上の かけ算作用素 とみなす ことがで き, Bt -At + A t e の ように,さらに 「 素」な 2つの量子確率過程 に分解す ることがわか る.At , A言はそれぞれ 消滅過程, 生成過程 と呼ばれている.Hu d s o n -P a r t h a s a r a t h y -Me y e r理論 は, それ らの無限小 増分 d At , d AI , 及びゲージ過程の無限小増分 d Atに基づ く伊藤解析 の量子版 とで も言 うべ き ものである.生成・ 消滅過程 によって, 第 3の量子確率過程 tを表す ことは, 彼 らの量子確 率積分で許 される被積分関数の範囲ではで きないが, 応用上極めて重要であるので独立 につ け加 えられている.この ような流れを眺めれば, ホワイトノイズ解析の量子版 を建設 し, 応用面 を探 るのは興 味のあることと言 えよう.このアプローチの一つの特徴 は, デルタ関数 を掌中にす る超関数 論 を基礎 に しているので,「 素」となるべ き量子 ノイズは a , , a t 'の 2つで十分であるとい う ことである・実際, " すべて" の量子確率過程 を a tと a t 'に関する " 量子確率積分" で表現する ことがで きる2.また,このことは, すべての作用素が生成 ・ 消滅作用素で表現で きる とい う 場の理論 における直感 にもあっている3.こうして,我々の立場 を図示 すれば次の ようになる. 1 飛 田 【 1 2 】に興味深い解説記事がある.2ここで … をつけたのは, 数学 として表現するのだか らむろん一定の枠 をはめた り, 概念 を一般化 した りし た上で,との意味.詳しくは本文 § 4を参照されたい.3このこ とを証明す るためには," すべての作用素"に対 して枠 をはめなければな らない.有界作用素に対 し ては B e r e z i n【 3 1 , G e l f a ndt r i p l e tに付随 したものは O b a t a【 2 3 1で証明された・なお, § 3も参照せ よ・ 研究会報告 古典確 率解析 d B t -d A t +d Al ' d Bt -Wt d l Wt-a t +a i ' 量子確率解析 Hu d s o n -P a r t h a r a r a t h y -Me y e r理論 d At , d At ' , d d t d d t -a t d t 量子ホワイ トノイズ解析 ( 提案中) a i ) a t + この論文 では,ホワイ トノイズ起関数論 ( WNDT)を簡単 に紹介 した後, 量子確率過程が どのように して素過程である a ., a t 'で表現 されるかを説明す る・その後, 作用素の Wi c k積 を導入 し, 量子確率微分方程式の解の構成 に応用する.ホワイトノイズ超関数論 については, 最近出版 され た Ku o【 1 9 】は極めて丁寧 に書かれてお り,この方面への格好の入門書である・ また,この論文 ではホワイ トノイズ空間上の作用素論が基礎 になっているが,これ について は Ob a t a【 2 3 】を参照 されたい.量子ホワイ トノイズ解析 については, 本 はまだないが, Ob a t a l 2 7 日 2 8 日 2 9 】に多少 まとまった記述がある・関連す るもの として, Hu a n g【 1 3 】 , Hu a n g -L u o l 1 4 ] , Ob a t al 2 5 】 , 大矢-, ) 、 鴫 [ 3 1 ] なども参照 されたい・ここで展開す る理論 は物理では絶対零 度 の場合 に対応 し, 有限温度の場合 に拡張す ることは極めて興味深い問題 となる.この観点 か ら Hu d s o n -L i n d s a yl 1 5 】 や有光グループ による研究 【 2 日 3 4 】は重要な指針 を与 えるもので ある. 2 ホワイ トノイズ超関数論 2 . 1 Br o wn運動か らホワイ トノイズへ 水 中の花粉粒子のジグザグ運動は, 数学的には確率過程 として定式化 されている.確率変数の 1径数族 f Bt ) t ≧ 。で ( i ) ( B t )は Ga u s s 系, つ まり任意の有限 1 次結合 c I B i l +・-+ c n Bt nが Ga u sS 分布 に従 う; ( i i ) B 0-0 ,E ( B , )-0 ,E ( B s B t ) -mi n ( S , l l ; を満たす もの を B r o wn運動 または Wi e n e r 過程 と呼ぶ.ここでは, 無 限次元 Ga u s s 測度 を 用いて B r o vn運動 を構成す る. 他の方法 については, 【 1 1 日 1 7 】な どを参照 されたい.実 Hi l b e r t空間 H-L 2 ( I R , d i ) の実内積 とノルムを ( i , 7 ) -/ R E ( i ) 7 ( i ) d l , I 引。 -( i , i ) , E , 7 7 ∈H, によって定義す る.( ここで,ノルムの添字 Oは後で便利 なようにつけた・ )有限次元 E u c l i d 空間な らば, Bo c h n e rの定理 によって確率測度 と正定借関数が 1 対 1対応するが, 無限次元 空 間に対 して は Ge l f a n dt r i p l e tを用いなければならない 【 3 8 1 ・さて,無 限回微分可能 な急 減少関数の全 体 を E -S( A) ,その双対空間,つま り E 上の連続線形 ( 帆)関数4 の全体 を 4 E -S( A)の標準的な位相 は,ノルムの系列 = f J L ・ , A-S u p t e Rl t 3
コヒー レン ト 状態 とは, 消滅作用素 αに対 して 可Z ) -z l z ) , Z ∈C , をみたす固有状態 I z )として定義 され, 電磁場の量子状態の一つ として重要である・コヒー レン ト状態の全体 ( I z ) ・ , I ∈C )は直交性 をみた さないが, 過剰完全性 ( o v e r c o mp l e t e n e s s ) を もち, 任意の状態をコヒー レン ト 状態の重ね合わせで表示す ることができる.さらに,コヒー レン ト状態 による単位 の分解公式 : ・ -; / cL z