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ポジトロニウムのボース・アインシュタイン凝縮 高密度化・冷却の現状と今後の方針

石田 明, 牧和真, R. W. Gladen, 難波 俊雄, 浅井 祥仁, 大島永康, オロークブライアン, 満汐 孝治, 伊藤賢志, 兵頭俊夫, 和田 健, 前川 雅樹

Published Mar 18, 2024• 0 citations
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Abstract

物質優勢宇宙の謎を解明するための反物質重力測定や 511 keV ガンマ線レーザーを実現することを目指し、電子とその反粒子(陽電子)の束縛系であるポジトロニウム (Ps) のボース・アインシュタイン凝縮の実現を試みている。これには①高密度陽電子発生、②高効率 Ps 生成、③Ps 高速冷却、の 3 つの要素技術開発が必要となる。このうち、②および③に関連する Ps 生成材には、(A) Ps 生成(Ps 生成率 50 %以上)、(B) Ps 濃縮+熱化冷却(50—100 nm 程度の細孔)、(C) Ps レーザー冷却(243 nm 紫外光透過率 80 %以上)の 3 つの機能が要求される。シリカ(二酸化ケイ素、SiO2)エアロゲルが候補材料の一つであり、これまでに、Ps 生成率や空孔中での Ps 寿命、Ps 熱化冷却効率などの評価を進め、シリカエアロゲル表面から真空中に放出した Ps のレーザー冷却に成功するなど、その有用性が示されてきた。一方、2P 状態に励起された Ps (2P-Ps) が空孔中で瞬時に消滅してガンマ線になる現象が、Ps-BEC 実現に必要な空孔中での Ps レーザー冷却を阻害するため、その原理解明が喫緊の課題となっている。本講演では、高密度 Ps 生成・冷却手法開発の最新の状況について概要を紹介し、今後の課題とその解決方針について議論する。

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ボース・アインシュタイン凝縮を目指した高密度・低温ポジトロニウム生成材の開発

石田 明, 牧和真, R. W. Gladen +9 more

物質優勢宇宙の謎を解明するための反物質重力測定や 511 keV ガンマ線レーザーを実現することを目指し、電子とその反粒子(陽電子)の束縛系であるポジトロニウム (Ps) のボース・アインシュタイン凝縮の実現を試みている。これには高効率なPs生成材が必須であり、①生成(Ps 生成率 50 %以上)、②濃縮+熱化冷却(50—100 nm 程度の細孔)、③レーザー冷却(243 nm 紫外光透過率 80 %以上)の3機能が求められる。低温シリカ(二酸化ケイ素、SiO2)エアロゲルは候補材料の一つであり、本講演では、GM 冷凍機で冷却したシリカエアロゲルに関する性能評価試験結果について報告する。性能評価には密度 0.12 g cm−3、空孔径 45 nm、厚さ 0.5 mm のシリカエアロゲルを用いた。低温材料中での Ps 熱化冷却効率を測定するため、GM 冷凍機で冷却した低温シリカエアロゲルにおける放出 Ps 温度を評価すべく、Ps 飛行時間 (Ps Time-of-Flight, Ps-TOF) 測定を行った。結果は現在解析中であるが、講演では測定結果を紹介するとともに、Ps-BEC 実現に向けた今後の Ps 生成材開発方針について議論する。

•Mar 18, 2024•0 citations

ボース・アインシュタイン凝縮を目指した 高密度・低温ポジトロニウム生成材の開発

石田 明, 難波 俊雄, 大島 永康 +7 more

ポジトロニウムのボース・アインシュタイン凝縮(Ps-BEC)状態では、集団中のほぼすべての原子が単一の量子状態(基底状態)になることを利用して、位相の揃った消滅ガンマ線レーザー光を生成できると期待されている。Ps-BEには、Ps 生成・濃縮・冷却の 3 機能を持つ多孔質ナノ材料の開発が必須である。シリカエアロゲルは有力な候補材料の一つであり、検証実験を行っている。現在、紫外レーザーを使ったPs冷却実験を行っている。真空中でPs 一次元レーザー冷却に成功したが、レーザー冷却を阻害する急速なPs崩壊が観測された。これはPsが波長243 nm付近でのみ生じる2P状態になって崩壊していると考えられる。そこで試料温度を変化させて2P-Ps崩壊率の測定を行ったところ、平均自由行程の変化から予測された寿命値に相当する崩壊率が測定された。今後はこの結果を用い、BEC 実現に最適な Ps 生成材の開発を進める予定である。

•Sep 17, 2024•0 citations

線形リスト探索に対する量子質問計算量の下界

裕太郎 酒井

近年,量子コンピュータに関する研究が盛んに進められている.量子コンピュータとは,量子を用いて状態を操作する,現行のコンピュータとは異なる動作方式のコンピュータである.量子とは電子や光子のようなミクロな世界の粒子である.量子は量子力学と呼ばれる物理法則に従うことが知られている.量子コンピュータは量子力学の持つ不思議な性質を利用することで,特定の問題に対し漸近的な改善が期待される量子アルゴリズムを構成することができる. ある問題を解くために最適なアルゴリズムの計算量を, N を入力サイズとしてT(N) としたとき,あるアルゴリズムはT(N) の上界を与える手続きである.一方でT(N) の下界を知ることもまた重要である.計算量の下界を示すことができればアルゴリズムの改良の限界を示すことが可能である.また,定量的な観点から問題の難しさを捉える指標にもなる.計算量下界の証明は量子コンピュータの計算能力の可能性と限界を理論的に知ることに繋がる重要な問題である[H˘S05]. 量子アルゴリズムに対する計算量下界の証明は様々な問題に対して行われている[MBT18, CJR21].例えば前述の非構造探索に対してはΩ(√N) の下界が知られており,Grover のアルゴリズムが漸近的に最適であることが分かっている[Amb02, BBC+01, Zha19].一方で,二分探索は量子計算を利用したとしても漸近的な改善が見られない例である.古典計算においてN 要素の整列された列に対する二分探索はO(logN) の時間計算量で動作する.これに対して量子計算を利用する二分探索はΩ(logN) 回のクエリが必要であることが分かっている[HNS02].このように,問題によって量子計算を利用したとしても漸近的な改善が見られない場合もある. 線形リストは基本的なデータ構造として広く用いられており,古典計算において探索にかかる時間計算量はN を要素数としてΘ(N) である.ここで,量子計算を用いた場合に計算量の上界を示す方法としては古典計算の模倣やアドレス空間全体をGrover のアルゴリズムで探索するなどが考えられるが,下界についての結果は知られていない. 本研究はアドレス空間のサイズをN,リスト長をℓ として,リスト探索を高い確率で成功させる任意の量子アルゴリズムは,量子クエリを少なくともmin(ℓ − 1,Ω(√N))回は必要であることをある仮定のもとで示した.また,末尾要素探索を高い確率で成功させる任意の量子アルゴリズムについても同様にmin(ℓ − 2,Ω(√N))回のクエリが少なくとも必要であることをある仮定のもとで示した.

•Mar 1, 2023•0 citations

Excited-State Annihilation of Positronium in Cryogenic Silica Aerogel for In-Material Laser Cooling

明 石田, 難波俊雄, 大島永康 +7 more

本研究では、ポジトロニウム(Ps)のボース・アインシュタイン凝縮(BEC)を実現に向けた、ナノ多孔質材料中での熱化と紫外(UV)レーザーによるドップラー冷却実験を行っている。室温および8 Kの異なる温度条件下で保持したシリカエアロゲルを用い、2P状態に励起されたPsのレーザー誘起消滅を調べた。243 nmでの共鳴励起によりガンマ線放出は大きく増強される現象が観測されるが、低温条件では消滅信号が室温に比べて約50%低下した。さらに、Ps生成からレーザー励起までの遅延時間を長くすると、消滅確率は一層低下した。これらの結果は、Psの熱化が2P-Psの消滅に影響を与えることを示している。また、ナノ多孔質媒体における表面誘起2P状態崩壊モデルを支持し、励起状態Psが表面相互作用を高感度で検出するプローブとなることを示唆する。現在、凝縮に向けたPsダイナミクス最適化のため、細孔構造、表面化学、温度効果の系統的評価を進めている。

•Dec 1, 2025•0 citations

軌道フェッシュバッハ共鳴を有するフェルミ原子気体における強結合効果

ダイスケ イノタニ, Daisuke Inotani, 太輔 猪谷

本研究ではまず, 軌道フェッシュバッハ共鳴を有する4成分フェルミ原子気体における対形成揺らぎの影響を理論的に解明するため, 本系を記述可能な強結合理論の構築を行った。本系に対して強結合効果を理論的に取り入れると, 理論に発散が生じてしまうことが知られている。従来のアプローチでは, 数値的なカットオフパラメータを導入することによってこれを避けていたが, 本研究では人工的なパラメータなしに系の性質を記述することに成功した。さらに構築された理論を用いて, 状態密度の解析を行うことにより, この系における擬ギャップ現象を明らかにした。擬ギャップ現象は, 強く相互作用するフェルミ粒子系において, 超流動転移温度以上においても, 超流動状態でみられるようなギャップ構造が, 状態密度や1粒子励起スペクトルに生じる現象であり, 超流動の前駆現象として知られている。従来のs波相互作用する2成分フェルミ原子気体におけるBCS-BECクロスオーバー現象では, 相互作用を強くするにつれてエネルギースケールが大きくなり, 擬ギャップ構造は徐々に顕著になることが知られている。しかしながら, 本研究の結果, 軌道フェッシュバッハ共鳴を有する4成分フェルミ原子気体の場合, 占有する原子数の多い2成分(open channel)の状態密度は従来と同様の振る舞いが見られるが, 占有する原子数の少ない2成分(closed channel)の状態密度においては, 相互作用を弱くするにつれて擬ギャップのサイズが大きくなりながら消えていくという全く異なる振る舞いが生じることを理論的に明らかにした。さらに, この現象の観測可能性について明らかにするため, 現在, フェルミ原子気体の実験において, 原子を捕獲するために用いられるトラップポテンシャルの影響を理論的に取り入れ, 観測可能量であるphotoemissionスペクトルの解析を行っている。 We theoretically investigated effects of pairing fluctuations in a 4-component Fermi gas with an orbital Feshbash resonance. It has been known that in a model describing this system, an experimentally inaccessible bound state is included. In the previous works, the contribution from this state is removed by introducing a cutoff parameter. In this work, we successfully removed this bound state from the theory without using the artificial cutoff parameter. Calculating the density of states (DOS), the pseudo gap phenomena, in which a dip structure as shown in the superfluid phase appears in DOS even above the superfluid transition temperature, in this system was theoretically investigated. In the BCS-BEC crossover in a conventional s-wave interacting Fermi gas, the psudogap structure is known to become remarkable as increasing the interaction strength. On the other hand, we found that, while the same interaction dependence was show in the DOS of the open channel atoms, the pseudogap in the DOS of the closed channel atoms gradually disappears as decreasing the interaction strength, but its size becomes larger at the same time. To check the possibility of the experimental observation of this novel pseudogap phenomenon, we are now investigating the photoemission spectrum of this system by including the effects of the trap potential within the local density approximation.

•Jan 1, 2017•0 citations

Excited-State Annihilation of Positronium in Cryogenic Silica Aerogel for In-Material Laser Cooling

Akira Ishida, Toshio Namba, Nagayasu Oshima +7 more

Abstract We report recent progress toward achieving positronium (Ps) Bose–Einstein condensation (BEC) by combining thermalization in nanoporous materials with ultraviolet (UV) laser Doppler cooling. Experiments were performed using silica aerogels held at two distinct thermal conditions—approximately room temperature and cryogenic temperature down to 8 K (measured at the sample-holder)—to study the laser-induced annihilation of Ps atoms excited to the 2P state. Resonant excitation at 243 nm significantly enhanced gamma-ray emission, with the annihilation signal reduced by approximately 50 % at low temperature compared to room temperature. Increasing the delay between Ps formation and laser excitation further reduced the annihilation probability. These observations confirm that Ps thermalization affects 2P-Ps annihilation. The results support a model of surface-induced 2P-state decay and suggest that excited-state Ps serves as a sensitive probe of surface interactions in nanoporous media. This constitutes an important step toward implementing laser cooling of Ps confined in solids—an essential prerequisite for realizing Ps-BEC. Ongoing efforts focus on systematic evaluation of pore structure, surface chemistry, and temperature effects to optimize Ps dynamics toward condensation.

Journal of Physics Conference Series•Nov 1, 2025•0 citations
物質優勢宇宙の謎を解明するための反物質重力測定や 511 keV ガンマ線レーザーを実現することを目指し、電子とその反粒子(陽電子)の束縛系であるポジトロニウム (Ps) のボース・アインシュタイン凝縮の実現を試みている。これには①高密度陽電子発生、②高効率 Ps 生成、③Ps 高速冷却、の 3 つの要素技術開発が必要となる。このうち、②および③に関連する Ps 生成材には、(A) Ps 生成(Ps 生成率 50 %以上)、(B) Ps 濃縮+熱化冷却(50—100 nm 程度の細孔)、(C) Ps レーザー冷却(243 nm 紫外光透過率 80 %以上)の 3 つの機能が要求される。シリカ(二酸化ケイ素、SiO2)エアロゲルが候補材料の一つであり、これまでに、Ps 生成率や空孔中での Ps 寿命、Ps 熱化冷却効率などの評価を進め、シリカエアロゲル表面から真空中に放出した Ps のレーザー冷却に成功するなど、その有用性が示されてきた。一方、2P 状態に励起された Ps (2P-Ps) が空孔中で瞬時に消滅してガンマ線になる現象が、Ps-BEC 実現に必要な空孔中での Ps レーザー冷却を阻害するため、その原理解明が喫緊の課題となっている。本講演では、高密度 Ps 生成・冷却手法開発の最新の状況について概要を紹介し、今後の課題とその解決方針について議論する。
物質優勢宇宙の謎を解明するための反物質重力測定や 511 keV ガンマ線レーザーを実現することを目指し、電子とその反粒子(陽電子)の束縛系であるポジトロニウム (Ps) のボース・アインシュタイン凝縮の実現を試みている。これには高効率なPs生成材が必須であり、①生成(Ps 生成率 50 %以上)、②濃縮+熱化冷却(50—100 nm 程度の細孔)、③レーザー冷却(243 nm 紫外光透過率 80 %以上)の3機能が求められる。低温シリカ(二酸化ケイ素、SiO2)エアロゲルは候補材料の一つであり、本講演では、GM 冷凍機で冷却したシリカエアロゲルに関する性能評価試験結果について報告する。性能評価には密度 0.12 g cm−3、空孔径 45 nm、厚さ 0.5 mm のシリカエアロゲルを用いた。低温材料中での Ps 熱化冷却効率を測定するため、GM 冷凍機で冷却した低温シリカエアロゲルにおける放出 Ps 温度を評価すべく、Ps 飛行時間 (Ps Time-of-Flight, Ps-TOF) 測定を行った。結果は現在解析中であるが、講演では測定結果を紹介するとともに、Ps-BEC 実現に向けた今後の Ps 生成材開発方針について議論する。
ポジトロニウムのボース・アインシュタイン凝縮(Ps-BEC)状態では、集団中のほぼすべての原子が単一の量子状態(基底状態)になることを利用して、位相の揃った消滅ガンマ線レーザー光を生成できると期待されている。Ps-BEには、Ps 生成・濃縮・冷却の 3 機能を持つ多孔質ナノ材料の開発が必須である。シリカエアロゲルは有力な候補材料の一つであり、検証実験を行っている。現在、紫外レーザーを使ったPs冷却実験を行っている。真空中でPs 一次元レーザー冷却に成功したが、レーザー冷却を阻害する急速なPs崩壊が観測された。これはPsが波長243 nm付近でのみ生じる2P状態になって崩壊していると考えられる。そこで試料温度を変化させて2P-Ps崩壊率の測定を行ったところ、平均自由行程の変化から予測された寿命値に相当する崩壊率が測定された。今後はこの結果を用い、BEC 実現に最適な Ps 生成材の開発を進める予定である。
近年,量子コンピュータに関する研究が盛んに進められている.量子コンピュータとは,量子を用いて状態を操作する,現行のコンピュータとは異なる動作方式のコンピュータである.量子とは電子や光子のようなミクロな世界の粒子である.量子は量子力学と呼ばれる物理法則に従うことが知られている.量子コンピュータは量子力学の持つ不思議な性質を利用することで,特定の問題に対し漸近的な改善が期待される量子アルゴリズムを構成することができる. ある問題を解くために最適なアルゴリズムの計算量を, N を入力サイズとしてT(N) としたとき,あるアルゴリズムはT(N) の上界を与える手続きである.一方でT(N) の下界を知ることもまた重要である.計算量の下界を示すことができればアルゴリズムの改良の限界を示すことが可能である.また,定量的な観点から問題の難しさを捉える指標にもなる.計算量下界の証明は量子コンピュータの計算能力の可能性と限界を理論的に知ることに繋がる重要な問題である[H˘S05]. 量子アルゴリズムに対する計算量下界の証明は様々な問題に対して行われている[MBT18, CJR21].例えば前述の非構造探索に対してはΩ(√N) の下界が知られており,Grover のアルゴリズムが漸近的に最適であることが分かっている[Amb02, BBC+01, Zha19].一方で,二分探索は量子計算を利用したとしても漸近的な改善が見られない例である.古典計算においてN 要素の整列された列に対する二分探索はO(logN) の時間計算量で動作する.これに対して量子計算を利用する二分探索はΩ(logN) 回のクエリが必要であることが分かっている[HNS02].このように,問題によって量子計算を利用したとしても漸近的な改善が見られない場合もある. 線形リストは基本的なデータ構造として広く用いられており,古典計算において探索にかかる時間計算量はN を要素数としてΘ(N) である.ここで,量子計算を用いた場合に計算量の上界を示す方法としては古典計算の模倣やアドレス空間全体をGrover のアルゴリズムで探索するなどが考えられるが,下界についての結果は知られていない. 本研究はアドレス空間のサイズをN,リスト長をℓ として,リスト探索を高い確率で成功させる任意の量子アルゴリズムは,量子クエリを少なくともmin(ℓ − 1,Ω(√N))回は必要であることをある仮定のもとで示した.また,末尾要素探索を高い確率で成功させる任意の量子アルゴリズムについても同様にmin(ℓ − 2,Ω(√N))回のクエリが少なくとも必要であることをある仮定のもとで示した.
本研究では、ポジトロニウム(Ps)のボース・アインシュタイン凝縮(BEC)を実現に向けた、ナノ多孔質材料中での熱化と紫外(UV)レーザーによるドップラー冷却実験を行っている。室温および8 Kの異なる温度条件下で保持したシリカエアロゲルを用い、2P状態に励起されたPsのレーザー誘起消滅を調べた。243 nmでの共鳴励起によりガンマ線放出は大きく増強される現象が観測されるが、低温条件では消滅信号が室温に比べて約50%低下した。さらに、Ps生成からレーザー励起までの遅延時間を長くすると、消滅確率は一層低下した。これらの結果は、Psの熱化が2P-Psの消滅に影響を与えることを示している。また、ナノ多孔質媒体における表面誘起2P状態崩壊モデルを支持し、励起状態Psが表面相互作用を高感度で検出するプローブとなることを示唆する。現在、凝縮に向けたPsダイナミクス最適化のため、細孔構造、表面化学、温度効果の系統的評価を進めている。
本研究ではまず, 軌道フェッシュバッハ共鳴を有する4成分フェルミ原子気体における対形成揺らぎの影響を理論的に解明するため, 本系を記述可能な強結合理論の構築を行った。本系に対して強結合効果を理論的に取り入れると, 理論に発散が生じてしまうことが知られている。従来のアプローチでは, 数値的なカットオフパラメータを導入することによってこれを避けていたが, 本研究では人工的なパラメータなしに系の性質を記述することに成功した。さらに構築された理論を用いて, 状態密度の解析を行うことにより, この系における擬ギャップ現象を明らかにした。擬ギャップ現象は, 強く相互作用するフェルミ粒子系において, 超流動転移温度以上においても, 超流動状態でみられるようなギャップ構造が, 状態密度や1粒子励起スペクトルに生じる現象であり, 超流動の前駆現象として知られている。従来のs波相互作用する2成分フェルミ原子気体におけるBCS-BECクロスオーバー現象では, 相互作用を強くするにつれてエネルギースケールが大きくなり, 擬ギャップ構造は徐々に顕著になることが知られている。しかしながら, 本研究の結果, 軌道フェッシュバッハ共鳴を有する4成分フェルミ原子気体の場合, 占有する原子数の多い2成分(open channel)の状態密度は従来と同様の振る舞いが見られるが, 占有する原子数の少ない2成分(closed channel)の状態密度においては, 相互作用を弱くするにつれて擬ギャップのサイズが大きくなりながら消えていくという全く異なる振る舞いが生じることを理論的に明らかにした。さらに, この現象の観測可能性について明らかにするため, 現在, フェルミ原子気体の実験において, 原子を捕獲するために用いられるトラップポテンシャルの影響を理論的に取り入れ, 観測可能量であるphotoemissionスペクトルの解析を行っている。 We theoretically investigated effects of pairing fluctuations in a 4-component Fermi gas with an orbital Feshbash resonance. It has been known that in a model describing this system, an experimentally inaccessible bound state is included. In the previous works, the contribution from this state is removed by introducing a cutoff parameter. In this work, we successfully removed this bound state from the theory without using the artificial cutoff parameter. Calculating the density of states (DOS), the pseudo gap phenomena, in which a dip structure as shown in the superfluid phase appears in DOS even above the superfluid transition temperature, in this system was theoretically investigated. In the BCS-BEC crossover in a conventional s-wave interacting Fermi gas, the psudogap structure is known to become remarkable as increasing the interaction strength. On the other hand, we found that, while the same interaction dependence was show in the DOS of the open channel atoms, the pseudogap in the DOS of the closed channel atoms gradually disappears as decreasing the interaction strength, but its size becomes larger at the same time. To check the possibility of the experimental observation of this novel pseudogap phenomenon, we are now investigating the photoemission spectrum of this system by including the effects of the trap potential within the local density approximation.
Abstract We report recent progress toward achieving positronium (Ps) Bose–Einstein condensation (BEC) by combining thermalization in nanoporous materials with ultraviolet (UV) laser Doppler cooling. Experiments were performed using silica aerogels held at two distinct thermal conditions—approximately room temperature and cryogenic temperature down to 8 K (measured at the sample-holder)—to study the laser-induced annihilation of Ps atoms excited to the 2P state. Resonant excitation at 243 nm significantly enhanced gamma-ray emission, with the annihilation signal reduced by approximately 50 % at low temperature compared to room temperature. Increasing the delay between Ps formation and laser excitation further reduced the annihilation probability. These observations confirm that Ps thermalization affects 2P-Ps annihilation. The results support a model of surface-induced 2P-state decay and suggest that excited-state Ps serves as a sensitive probe of surface interactions in nanoporous media. This constitutes an important step toward implementing laser cooling of Ps confined in solids—an essential prerequisite for realizing Ps-BEC. Ongoing efforts focus on systematic evaluation of pore structure, surface chemistry, and temperature effects to optimize Ps dynamics toward condensation.