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量子統計力学的レーザー基礎方程式の導出とその物理的考察(修士論文(1982年度))

哲雄 富永

Published Oct 20, 1983• 0 citations
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Abstract

非平衡統計力学において,平衡(又は,定常)状態から十分離れた場合も扱える方法論を確立するということは,非常に重要な問題となっている。減衰理論における,時間たたみ込み形式(TC),時間非たたみ込み形式(TCL)の一般的な摂動展開公式,及び,不完全キュムラント,順序付キュムラントの系統的計算法としてのダイアグラム法は,この問題を解決する一つの有力な方法となっている。そこで,非線形非平衡系の本質的なものを含んだ最も簡単な系であるレーザー系を例にとってこの方法論について調べた。まず,微視的ハミルトニアンから出発し,TC及びTCL形式の減衰理論を使ってレーザー系の基礎方程式を導出し,Riskenが現象論的に導出した基礎方程式と比較した。その結果,TCL形式の減衰理論で導いたTCL型の方程式は,Riskenの方程式を含む一般的なものであり,量子論的効果による結合定数のくり込みが陽に現われていることが分かった。また,TC型の方程式に対するHaakeの近似は誤りであり,Riskenの方程式とは直接関係付けられないことが分かった。以上のことから,基礎方程式の段階で系の性質を調べようとする場合,TCL型の方程式の方が有力であると言える。次に,TCL型の基礎方程式を解いて光子数及び光子数のゆらぎの時間発展について調べた。その結果,現象論的な基礎方程式では記述できないような初期段階における特徴的な振舞も,微視的に導いた基礎方程式を使うと記述できることが分かり,微視的理論の重要性が再確認された。レーザー系の例からこの方法論の有効性が確かめられたわけだが,今後他の問題にも応用して非線形非平衡系を扱う一般的な枠組として発展させる必要がある。

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量子統計力学的レーザー基礎方程式の導出とその物理的考察(修士論文(1982年度))

哲雄 冨永

物性研究•Oct 20, 1983•0 citations

非平衡統計力学における緩和法とTCLE法

Mizuhiko Saeki

非平衡統計力学において、熱浴と相互作用している量子系の外傷に対する応答係数を求める方法として、久保公式を熱浴を含めて計算する方法(「緩和法」という)と外場を含む時間非畳み込み型(TCL型)な運動方程式からアドミッタンスを求める方法(「TCLE法」という)がある。この二つの方法の関係を解析的および数値的に調べた結果を報告する。

•Apr 20, 2002•0 citations

量子力学における観測問題の現状(修士論文(1991年度))

功史 小出

量子力学はその多方面への応用における成功にも拘らず、その原理的側面としての観測問題は現在にいたるまで、未解決な部分として残っている。今までに数多くの観測理論が発表されているが、そのどれもがコンセンサスを得られているとは思えない。本論文第二章では、現在までに行われた実験、特に隠れた変数の存在を否定したアスペ達(1982)によるベルの不等式の検証実験について述べ、測定に伴う偶然性は自然が本来持っている本質的偶然性であることを示す。そのため観測過程は個別系でなく統計集団(statistical ensemble)について考察せざるを得ないのである(統計的解釈statistical interpretation)。観測理論には、量子力学の一般定理と相入れないものや、量子力学以外の考えを導入するものがあるが、それ以前に量子力学の枠内で測定過程をどこまで記述できるのかを検討することが先決である。本論文第三章では、部分系としての測定対象系・測定装置系・観測者系の密度行列の時間変化を調べることにより、測定が対象系と装置系の相互作用後に終了することを示した最近の理論を紹介する。これに基づいて行ったオリジナルな研究を第四章で述べる。二重スリットによる干渉縞に対する経路観測の影響を、検出器の反応によって分離することの出来る3つの部分集団のそれぞれについて調べ、結果を物理的に考察した。また、ニールスボーアの粒子像と波動像の相補性を定量化して示すことに成功した。最後に、この思考実験は現実の実験で検証可能であることを強調したい。

•Jul 20, 1992•0 citations

強相関電子系の物理(第55回物性若手夏の学校(2010年度),講義ノート)

Norio Kawakami

近年、凝縮系物理で注目を集めている強相関電子系について、いくつかの例を取り上げて入門的な講義を行う。まず、強相関電子系における豊富な物理について説明した後、量子揺らぎの最も大きい「1次元電子系」の話題から始める。1次元系の普遍的性質を記述する「朝永ラッティンジャー液体」を臨界現象という観点からながめてみると、多様性の中に潜む「美くしさ」が自然に浮きあがる。カーボンナノチューブや量子細線への応用も紹介する。次に、多体効果の典型例である局所的な電子相関「近藤効果」について概説する。近藤効果は古くから研究されているが、最近でも重い電子系や量子ドット系など、広い分野で精力的に研究が展開されている。いたるところに顔を出す、とびきり重要な概念である。近藤効果には電子相関のエッセンスが凝縮されており、実験の人もぜひマスターしたい必須アイテムである。最後に「モット転移」の話をする。特に、強相関現象の解明には欠かせない動的平均場理論を紹介する。電子相関効果を扱うことは一般に難しいが、「局所的な相関効果を正確に扱おう」というアプローチが動的平均場のエッセンスである。「平均場なのにダイナミクスが扱えるの?」という疑問にも答えたい。

•Jan 5, 2011•0 citations

複素相空間カオスによるトンネリング機構((3)化学反応、トンネル現象における半古典理論,京大基研短期研究会「量子カオス : 理論と実験の現状」,研究会報告)

Takaaki Onishi

トンネリングの機構を半古典的観点から理解するさいの,複素相空間カオスの果たす重要な役割について報告する.モデルとして,エネルギー障壁トンネリングを実現する散乱系を考え,波動関数をトンネル軌道(複素古典軌道)を用いて再現した.波動関数を再現するにあたり,実効的に機能する記号力学を複素相空間において構成した.そして各トンネル軌道の波動関数への寄与の大きさを,軌道に割り振られた記号列から見積もった.その結果,膨大な数のトンネル軌道の個々が複素相空間で示す挙動が明らかとなり,またその中から重要な軌道を系統的に選び出すことが可能となった.

•Apr 20, 2003•0 citations

多電子系の遍歴・局在・秩序化(第51回 物性若手夏の学校(2006年度))

Yoshio Kuramoto

単独の電子は,質量・電荷・スピンで特徴付けられ,その性質は定量的によくわかっている。しかし,このような電子が多数集まると,非常に豊かで思いがけない性質を示す。固体中に凝縮した電子が示す超伝導,強磁性,分数量子ホール効果などはその例である。単独の電子の固有状態は,自由空間では平面波であるが,多数の電子の固有状態は必ずしも平面波ではない。すなわち斥力相互作用が強いと,平面波状態は不安定になり,多数の電子は自発的に局在する。この状態は,電子の結晶とみなせる。それでは逆に,平面波状態(フェルミ液体状態)は電子間の相互作用があっても生き残れるか,と問うこともできる。実はこの答えは単純ではない。その際,系の次元性が本質的に重要になる。この講義では,量子多体系としての電子系が示す興味ある性質を理解するために,単純な例から出発して重要な基本概念を説明する。特に,近藤効果,朝永・ラッティンジャー流体,モット絶縁体,動的有効場などを直感的に理解できるようにしたい。また,できるだけ最近の実験結果を含む新しい例題を選んで,量子多体系に関する最先端研究の現状がわかるようにしたい。

•Feb 20, 2007•0 citations
非平衡統計力学において,平衡(又は,定常)状態から十分離れた場合も扱える方法論を確立するということは,非常に重要な問題となっている。減衰理論における,時間たたみ込み形式(TC),時間非たたみ込み形式(TCL)の一般的な摂動展開公式,及び,不完全キュムラント,順序付キュムラントの系統的計算法としてのダイアグラム法は,この問題を解決する一つの有力な方法となっている。そこで,非線形非平衡系の本質的なものを含んだ最も簡単な系であるレーザー系を例にとってこの方法論について調べた。まず,微視的ハミルトニアンから出発し,TC及びTCL形式の減衰理論を使ってレーザー系の基礎方程式を導出し,Riskenが現象論的に導出した基礎方程式と比較した。その結果,TCL形式の減衰理論で導いたTCL型の方程式は,Riskenの方程式を含む一般的なものであり,量子論的効果による結合定数のくり込みが陽に現われていることが分かった。また,TC型の方程式に対するHaakeの近似は誤りであり,Riskenの方程式とは直接関係付けられないことが分かった。以上のことから,基礎方程式の段階で系の性質を調べようとする場合,TCL型の方程式の方が有力であると言える。次に,TCL型の基礎方程式を解いて光子数及び光子数のゆらぎの時間発展について調べた。その結果,現象論的な基礎方程式では記述できないような初期段階における特徴的な振舞も,微視的に導いた基礎方程式を使うと記述できることが分かり,微視的理論の重要性が再確認された。レーザー系の例からこの方法論の有効性が確かめられたわけだが,今後他の問題にも応用して非線形非平衡系を扱う一般的な枠組として発展させる必要がある。
量子力学はその多方面への応用における成功にも拘らず、その原理的側面としての観測問題は現在にいたるまで、未解決な部分として残っている。今までに数多くの観測理論が発表されているが、そのどれもがコンセンサスを得られているとは思えない。本論文第二章では、現在までに行われた実験、特に隠れた変数の存在を否定したアスペ達(1982)によるベルの不等式の検証実験について述べ、測定に伴う偶然性は自然が本来持っている本質的偶然性であることを示す。そのため観測過程は個別系でなく統計集団(statistical ensemble)について考察せざるを得ないのである(統計的解釈statistical interpretation)。観測理論には、量子力学の一般定理と相入れないものや、量子力学以外の考えを導入するものがあるが、それ以前に量子力学の枠内で測定過程をどこまで記述できるのかを検討することが先決である。本論文第三章では、部分系としての測定対象系・測定装置系・観測者系の密度行列の時間変化を調べることにより、測定が対象系と装置系の相互作用後に終了することを示した最近の理論を紹介する。これに基づいて行ったオリジナルな研究を第四章で述べる。二重スリットによる干渉縞に対する経路観測の影響を、検出器の反応によって分離することの出来る3つの部分集団のそれぞれについて調べ、結果を物理的に考察した。また、ニールスボーアの粒子像と波動像の相補性を定量化して示すことに成功した。最後に、この思考実験は現実の実験で検証可能であることを強調したい。
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単独の電子は,質量・電荷・スピンで特徴付けられ,その性質は定量的によくわかっている。しかし,このような電子が多数集まると,非常に豊かで思いがけない性質を示す。固体中に凝縮した電子が示す超伝導,強磁性,分数量子ホール効果などはその例である。単独の電子の固有状態は,自由空間では平面波であるが,多数の電子の固有状態は必ずしも平面波ではない。すなわち斥力相互作用が強いと,平面波状態は不安定になり,多数の電子は自発的に局在する。この状態は,電子の結晶とみなせる。それでは逆に,平面波状態(フェルミ液体状態)は電子間の相互作用があっても生き残れるか,と問うこともできる。実はこの答えは単純ではない。その際,系の次元性が本質的に重要になる。この講義では,量子多体系としての電子系が示す興味ある性質を理解するために,単純な例から出発して重要な基本概念を説明する。特に,近藤効果,朝永・ラッティンジャー流体,モット絶縁体,動的有効場などを直感的に理解できるようにしたい。また,できるだけ最近の実験結果を含む新しい例題を選んで,量子多体系に関する最先端研究の現状がわかるようにしたい。