サイ トあた りⅣ 状態を取 り得る 1 次元確率過程模型 ( 以後、「 1 次元 Ⅳ 状態確率過程模型」と呼 ぶ) 回 には、厳密な 「 ( サイ トによらない) 行列積型定常状態ベク トル」( ma t r i x -p r o d u c t s t a t i o n a r y s t a t e ; 以下では MPS Sと略す)【 2 】 を持つ ものがある。 このタイプの定常状態 を使 うと、カ レン ト や相関関数を比較的簡単に、しかも厳密に求めることが可能 となる。この時、q直交多項式の理論 が役立つ事 も明 らかにされている [ 3 , 4 , 5 ] 。最近では、MPS Sが非平衡統計力学での 「 自由エネル ギー」 の計算 [ 6 ] にも用 いられた。 行列積型ベク トルそのものは、あちこちに現れる。確率過程模型での最初の発見 [ 7 】 よ りも先 に、( 行列積型基底状態ベク トルとして) 量子スピン模型で発見されてお り、 基底状態での厳密な物 理量の計算を可能 としていた 【 8 】 。 その後に登場 した密度行列 くりこみ群 の方法 ( De n s i t yMa t r i x Re n o r ma l i z a t i o nGr o u p ; DMRG と略される事が多い) [ 9 ] においては、 近似的な行列横型ベク ト ルが重要な役割 を果た している事が明 らかにされている ( DMRG の高次元模型への拡張 [ 1 0 】 にお いては、行列積をテンソル積へ と拡張 したものが用いられる事 もある) 。 話を厳密な MPS Sに戻すと、 1 次元 Ⅳ 状態確率過程模型の厳密な MPS Sをシステマティック に求める方法は明 らかでなか った。 これ故 に、厳密な MPS Sは ごく少数知 られているに過 ぎな い。システマティックに求める上での、数値的なヒン トを得る方法は P e s c h e lとⅠ く a u l k eらによっ て与え られていた t l l い 彼等は DMRG における密度行列のスペク トラムを観察することが厳密な MPS Sを数値的に発見するのに重要だとだけ主張 していた。我々は彼等の主張について考え、ま ず数値的な厳密解 を構成する方法を作 った。そ して数式処理の助けも借 りると厳密解を求めるこ ともできることに気付き、さらに方法を少 し見通 しよ くできることが分か った。本稿で述べるの は、その厳密解 を求める方法である。 本研究の目的は MPS Sをシステマティックに求める方法を明らかにすることである。現在 まで
サイ トあた りⅣ 状態を取 り得る 1 次元確率過程模型 ( 以後、「 1 次元 Ⅳ 状態確率過程模型」と呼 ぶ) 回 には、厳密な 「 ( サイ トによらない) 行列積型定常状態ベク トル」( ma t r i x -p r o d u c t s t a t i o n a r y s t a t e ; 以下では MPS Sと略す)【 2 】 を持つ ものがある。 このタイプの定常状態 を使 うと、カ レン ト や相関関数を比較的簡単に、しかも厳密に求めることが可能 となる。この時、q直交多項式の理論 が役立つ事 も明 らかにされている [ 3 , 4 , 5 ] 。最近では、MPS Sが非平衡統計力学での 「 自由エネル ギー」 の計算 [ 6 ] にも用 いられた。 行列積型ベク トルそのものは、あちこちに現れる。確率過程模型での最初の発見 [ 7 】 よ りも先 に、( 行列積型基底状態ベク トルとして) 量子スピン模型で発見されてお り、 基底状態での厳密な物 理量の計算を可能 としていた 【 8 】 。 その後に登場 した密度行列 くりこみ群 の方法 ( De n s i t yMa t r i x Re n o r ma l i z a t i o nGr o u p ; DMRG と略される事が多い) [ 9 ] においては、 近似的な行列横型ベク ト ルが重要な役割 を果た している事が明 らかにされている ( DMRG の高次元模型への拡張 [ 1 0 】 にお いては、行列積をテンソル積へ と拡張 したものが用いられる事 もある) 。 話を厳密な MPS Sに戻すと、 1 次元 Ⅳ 状態確率過程模型の厳密な MPS Sをシステマティック に求める方法は明 らかでなか った。 これ故 に、厳密な MPS Sは ごく少数知 られているに過 ぎな い。システマティックに求める上での、数値的なヒン トを得る方法は P e s c h e lとⅠ く a u l k eらによっ て与え られていた t l l い 彼等は DMRG における密度行列のスペク トラムを観察することが厳密な MPS Sを数値的に発見するのに重要だとだけ主張 していた。我々は彼等の主張について考え、ま ず数値的な厳密解 を構成する方法を作 った。そ して数式処理の助けも借 りると厳密解を求めるこ ともできることに気付き、さらに方法を少 し見通 しよ くできることが分か った。本稿で述べるの は、その厳密解 を求める方法である。 本研究の目的は MPS Sをシステマティックに求める方法を明らかにすることである。現在 まで
m Th e r moF i e l dDy n a m i c s( NE TF D)[ 1 ] -[ 4 】と名付け られ た,非平衡量子系 を扱 う正準理論を紹介する。 これは,散逸量子系 を扱 う一貫 した ( 非平 衡系統計力学でのすべての基本的概念,すなわち,B o l t z ma nn方程式,F o k k e r -P l a n c k方 程式,L a n g e v i n方程式,確率 L i o u v i l l e方程式'で代表 される見方 を,一つの土俵で議論 で きるとい う意味で) , しかも,量子力学や場の量子論で学んだ,自然認識の基本である 演算子代数 と表現空間 とい う二重構造を供えた理論体系である。 NE TF Dの表現空間 ( 熱空間,t h e r ma l s p a c e ,と名付け られた)は,2つの Hi l b e r t 空 間の直積で構成 されている.1つばn o n -t i l d e場,もう 1つは t i l d e場の H i l b e r t 空間で ある.NE TF Dでは,いかなる演算子 A にもその髄伴演算子 ( t i l d e演算子)A が伴 って いる。t i l d e共役,-,は, ( AI A2 ) --AI A2 , ( c I Al + C 2 A2 ) --C ; il + C ; 12 , ( i) --A, ( AI ) --〟 , p h H 一 G i - ー n u p n u 1 2 3 4 l H I U ■ H t L Hi ヨ l H は ■ 川 U で定義 される。ただ し, c l や C 2 は, c数である.S c h r 6 d i n g e r表現では,t i l d e演算子 と n o 凪 -t i l d e 演算子は,互いに可換である : l A, B ] -0 .( b 5 ) 散逸は,直積 H i l b e r t 空間全体での回転,すなわち,t i l d e 演算子 とn o n -t i l d e 演算子 を 交ぜ るような回転 として捕 らえられることが明 らかになった。無限小時間発展演算子の中 の t i l d eとn o n -t i l d e 場が掛っている項が,散逸 ( すなわち,非可逆)現象 を司っているの である。この点は,NE TF Dが建設 されて初めて認識 された 【 1 , 2 】 。 I ' 古典系での確率 L i o u v i l l e 方程式 は,久保 【 5 , 6 】 により初めて導入 された。 I この認識 は, G i b b Sアンサ ンブルを定式化 した熱平衡系 の T F Dl 7 】にはなか った。そこには,散逸は 現れない。この点が, N B T F DとT F Dとの本質的な違いのひとつである。Z u b a r e v が, N E T F Dの方法を 賞賛 し,非平衡量子現象の研究 に用 い始めたことに,ここで言及 させていただきたい 【 8 】 .-3 1 1 研究会報告 B o l t z ma n nは,微視的で可逆 な Ne wt o n力学か ら出発 して, 自然界 の非可逆性 を導出 しようとした.しか し,B o l t z ma n n方程式 を導 く際 に,分子混沌 と呼 ばれる確率操作 を, 知 らず に導入 していたことが判明 したのである ( その辺のか ら くりの簡単 な解説は,【 9 ] を 参照のこと) 。我 々の新 しい方法が見通 しの良い ものである とい う技術的 な面 ばか りでな く,散逸量子場の理論 としてのその二重構造が,B o l t z ma nnの初め措 いた夢 を,何等かの 意味 で実現 させ るのではないか, とい う期待 が湧いて くる.B o l t z ma n nの時代 には, こ の二重構造 は認識 されていなか ったのである。 詳 しい NE TF D の解説 と参考 文献 は 【 4 ]を参照 して頂 くと して,s e m i -f re e時間発展 演算子 ( 量子 F o k k e r -P l a n c k方程式 と,定常的量子 Wi e n e r 過程 に従 う量子確率 L i o u v i l l e 方程式,それぞれに関する もの)が,い くつかの基本的要請の元 に,如何 に して創 られる かを示す.S e mi -f r e e時間発展演算子は,双線形で大域的ゲージ不変性 を満 たす ものであ る。以下,散逸量子系 の正準理論が,前者の時間発展演算子 によって如何 に創 られるかを 紹介 し,量子系確率微分方程式の一貫 した体系が,如何 に して建設 されるか を示す ( 図 2 参照 ) 。そ うす ると,量子散逸系の方程式 に纏 わる次の ような基本的 な疑問が,解決 され ることが見 えて くる ( 量子系 L a n g e v i n方程式 に対す る問題提起 に関 しては,【 1 0 】も参照 の こと) 0 ql .量子散逸系 を扱 う正準理論 ( つ まり,時間発展が正準変換 で誘起 される)は,建 設可能 だろ うか ?考 え もな しに a ( i ) -a e ( i w+A ) i , a I ( i ) -a † e ( t ' U-A ) i ,の ようにエネルギー ・ スペ ク トルに虚数部 を導入するだけでは,同時刻交換関係 は, け っ して保存 されない : l a ( i ) , a I ( i ) ] -l a , a † 一 e 加 t ( 7 ) Q2 ・ 揺動力演算子 は KMS条件 [ 1 1 , 1 2 】を満 たせ ないので,量子系 では白色過程 は許 されない と言われている。 た とえば,L a n g e v i n方程式 孟 a ( i ) -i d a ( i ) 一項 ・佃 ( 8 ) 孟 a ' ( i ) -i wa t ( i ) -n at ( i ) II-T ( i ) , ( 9 ) を考 えてみ よう。ただ し,f C は,摩擦係数である.また,a( i )ta t ( i ) は,それぞれ Hi l b e r t 空間の消滅,生成確率演算子で,i -0に正準交換関係 を満たす もの とする :( 【 a ( i ) , a I ( i ) ] ) -1 .( 1 5 )S c h r 6 d i n g e r 表現でなされるべ きである。それでは,La n g e v i n方程式に現 れる揺動 力の相関 と して,はた して,S c h r 6 d i n g e r表現 と同 じもの を採用 して長いのであろ うか ?q4 .如何 に して,確率過程の表現空間 を建設 した ら良いのであろ うか ?時間発展演算子の一般形 は,本質的 に L i o u v i l l e方程式 孟 p ( i ) --i L p ( i ) , に関る次の性質か ら導 きだ された。 Dl .L i o u v me演算子のエル ミー ト性 : L f =L.
じめに 量子逆散 乱法 の発展 に伴 い, 1 +1次元の場の量子論, 2次元の統計力学, 1次元量子 ス ピ ン系, における解 けるモデルの共通性 が明 らかになって きた.1)量子逆散 乱法 には,連続 型 の 理論 ( T h a c k e re ta l .)2)と離散型の理論 ( F a d e e ve ta l .) 3)が あ る.特 に, 離 散 型 の理 論 は, Ya n g ・ B a x t e r 関係式 を軸 と して,転送行列 の方法, B e t h e仮説法, S行列の因子化理論,等 の量 子完全可積分系の解法 の統一的理解 を与 える.ここでは,従 来 の B e t h e 仮説 法 ( c o o r d i n a t e B e t h ea n s a t z )4)の一般的 な形 を,離散型 の量子逆散乱法から導 く.これは同時 に B e t h e仮 説 の証 明 を与えることになる.以下では,特に任意ス ピンのHe i s e n b e r g モデル 5 ,6)を例 に挙 げて説 明 す る.§2 Ya n g -B a x t e r 関係式 量子逆散乱法の基礎 となるのは,次のYa n g ・ B a x t e r 関係式 ( YBR ) 5 ) であ る.a t ev e r t e x mo d e l 7) ぉ よび,それ と等価 なHe i s e n b e r gXXX 5 ) ,ⅩⅩZ6) mo de l , 8) l a t t i c en o n li n e a rS c h r 6 d i n g e rmo d e l 8) , l a t t i c eS i n e ・ Go r d o n mo d e l8)等 が含 まれ る. 例 )He i s e n b e r gXXX mo d e l( 任意 ス ピン) 5 ) o s RO n ( i)-王二払 z o ㊥In+ 7 0 ㊥ ?n 2 亡± f i s ( 玉 ㊨ 柔 ト -i j = Ok =11 + kl Z 書写 x , ・ x ∠ -3 2-2 ∫ ノ s s RO n( i)--Z : 〈ロ ( 2 ,2) ( 2 ,3)
量子多成分系 にお ける時間領域の半古典論1 東京都立大学 大学院理学研 究科 物理学専攻 田中篤司 量子論 では, 一般 に,複合的 な系 の時間発展 によって,仝系 を構成す る部分同志が ( 量子 的に) 絡 み 合 ってい きます.本講演 は,この絡み合いの過程の半古典論 を通 じた解析 の報告です.特に,複合系 と して,内部 自由度 と " 外部 " 自由度か ら成 る量子多成分率 ( 例 えば, s p i nを担 う粒子や, 電子状態 の励 起 を伴 なう核 の運動の模型です)を考察 します.ここでは,内部 自由度の c o h e r e n tな量子振動が外部 自由度の伏見 関数の干渉 を誘発す る一因であ ることを報告 します.講演 では,この量子干渉の破壊 と古 典 的な c h a o s動力学の関係 に言及 しま したが, 紙幅の都合 によりこの点 は割愛 します. 1 動機付 け いわゆる Co p e n h a g e n解釈の枠内においては, 量子系の,意味のある, 一貫 した考察のためには,問 題 の量子系 を測定す る古典系が必要です.このことは, 古典論が量子論 の特別 な極限 として位置付 け ら れていることと矛盾 を畢 み ます・この矛盾 を ( 何 らかの意味 で) 解決す ることが,いわゆる ( 量子系 の) 観測 の問題 です.この間題 に対 して,その測定系 をもまた量子系 として記述す る a p p r o a c hがあ りま す ( 例 えば,町田 一 並木理論,環境理論 [ 1 ] ) ・そこでは,量子 -" 古典"結合系の u n i t a r y時間発展 を解 析す ることにな ります.これのみの考察だけでは, 観測問題 の最終的な解 を直接提供 しませ んが, 重要 な洞察 を与 えるこ とは確 かです.それは,測定系 ( その " 環境"を含 めて)の ( 何 らかの意味での) " 複雑 さ"が,被測定系 の " 波束の収縮"を もた らすために重要であ る. とい うことです.ここで言及 され る 複雑 さとは,例 えば,町田 一 並木理論 における系の熱力学的な素性 であ った り,環境理論 にお ける系 の 自由度の高 さ ( --動力学 に関与す る Hi l b e r t空間の " 次元"の大 きさ ( の対数) )です・特 に,これ らの 議論 で着 目されているのは, 測定系の構成の複雑 さで した.これに対 して,測定系の動力学の複雑 さに 焦点 を当てた議論 を展 開す ることは可能で しょうか?これが, 本研 究の ひとつの動機付 けです2 . 1 . 1 量子 一 ㍍ 古典乃結合系 と しての量子多成分系 量子多成分系 は, 二つの部分系か らな ります.便宜上 これ らを I n t e r n a l De g r e e s o f 凸・ e e d o m ( I DF: 内部 自由度) とE x t e r n a lDe g r e e so f於e e d o m ( E DF: 外部 自由度) 3と呼ぶ ことに します.例 えば, s p i nを持つ電子や,断熱 ( 透熱) 基底 で記述 される分子がその代表例 です.後者は,I DF と E DF の時 1京大基研短期研究会 「 量子力学 とカオス:基礎的間蓮か らナノサ イエ ンスまで」 ( 2 0 0 3年 1 1月 1 2日-1 4恥 2 0 0 3年 1 1月 1 3日の口演発表 As e m ic l a s s i c a l a p p r o a c ht ot i mee y o l u t i o n s o f mu l t i c o mp o n e n t s y s t e msより.2もちろん, 系が熱力学的な素性 を獲得するため に,系の動力学の複雑 さを利用 している場合 もあ ります.
重 俊 (1 9 8 2年 7月 1 3日受理 ) 講義 ノー ト は じ め に 1 9 71 年 にBa x t e r は 2次元 の 8 -v e r t e xモデルの自由エネルギーを転送行列 の方法で求 めた。 このモデルは特殊 な場合 として I s i n gモデル,d i me rモデル,i c eモデ/ レ ,KDPモデル,Fモ デル等 を含 む一般的 なモデルである。また Ba x t e rはこの転送行列 の固有ベ ク トルが He i s e n b e r g モデルの一般化である 1次元 ⅩYZモデルのハ ミル トニア ンの固有 ベ ク トルになっていること を示 し, これか らその基底 エネルギー を求 めた。 Ba x t e rの論文 は " ama s t e r p i e c eo f1 9 t h -c e n t u r yma t h e ma t i c a la ゎ a l y s i s〝とも言われ ているが,む しろ " ama s t e r p i e c eo f2 0 t h -c e n t u r yma t h e ma t i c a lp h y s i c s〝と言 うべ きで あろ う。P h y s .Re v .L e t t .の論文 3 , 4 ) は勿論, An n .P h y s .の論文 1 , 2 ) も省略 されている部分が多 く, 孤峰 として奪 えたまま登山をす る人は少なかった。 しか し最近量子逆散乱法 が脚光 をあびるに 至 って, 8 -v e r t e xモデルあるいは 1次元 ⅩYZ モデルがその例題 として しば しば誌面 を賑 わ す よ うになった。 Ta k h a d z h a n -F a d d e e vの解説 5 ) を参照に しながら,1 0年前読 もうと思 って途 中でやめた論文 をもう 一度読 もうと思いたった所以 である。今度東京工業大学 において 「 スピン系 の統計力学」 と題す る集 中講義 を行 なったが, 8 -v e r t e xモデルの話 も加 えることとし, これ を機会 にその ノー トをまとめた。 本稿 を草するに当ってE.Ba r o u c h ,和達三樹,および同研究室の方々,広池和夫, 守田徹,鈴 木増雄,宮下精二,小 口武彦 の諸氏6 ・ 7 ) から多 くの御教示を頂いたことを記 して厚 く謝意 を表する。 §1 . 1 6v e r t e x ・ モデル, 8v e r t e xモデル, 6v e r t e xモデル 2次元の正方格子 を考 えて各格子点間 を結ぶ b o n dに上向,下向, または左向,右向,のい づれかの矢 をっ ける。各格子点 とこれに入 る 4本 の b o n dを見 るとこの格子 点 には 1 6個 の状 態がある。 この各状態に el, e2 -・61 6 のエネルギーを割付 けたモデルが 1 6 -v e r t e x モ デ ル である。 この 1 6個の配置 の うち 1つの格子点 に奇数本 の b o n dが入 る状 態 が禁止 され るとす *KATS UR A, S h i g e t o s i 軽 重殴 る と ( e 9 ,e l ° ・ -e 1 6 --) 可能 な状 態 として 8個 の状 態が許 され る。 これが広義 の 8 -v e r t e x モデルである。一つの格子点 に対 して 4つ の b o n dを反転 した もの と, もとの ものの e n e r g y が等 しい とす る。 ( e l -C 2 ,E 3 -e 4 ,e 5 -e 6 ,e 7 -e 8 ) (これ は z e r o f i e l dの条件 である. ) これ が狭義 の 8 -v e r t e xモデル ( Ba x t e rモデル)である。 この内 4本 ともv e r t e x に向 った も の, 4 本 ともv e r t e xか ら出 るものを除 くと ( e 7 -e 8-∞ ) 可態 な状 態 は 6個 となるO これ が 6 -v e r t e xモデルであるoその うちK D Pモデル といわれ るものは T a k a h a s i ,L i e bに よ る強 誘電体 のモデルである* .本稿では狭義 の 8v e r t e xモデル を単 に 8 -V 。 r t 。 Ⅹモデル とい う0 8 -v e r t e xモデルの一つの配置 が与 え られ た とき各格子点 は e l ,e 8 の何れかの状態 をと るo系全体 で e・ のエネル ギー を もつ v e r t e xの数 をNj とすれば系 の状 態和 は ノ 8 zI V m = ∑ e x pト P j S .
注 目す る系のハ ミル トニアンが Hs-u a † a + 芸 g a t a † a a , で与 えられ る非線形減衰振動子 を考えよ う。α , α I は交換関係 [ α , α † 一 -1 , [ α , α ] -0 , ( 1) ( 2 ) を満 たすボゾン演算子である。減衰理論 にお けるn o n -c o n v e n t i o n a l t j : 取 り扱 い [ 3 日7 ] では,注 目 す る系内の非線形性がその緩和 に与える影響が考慮 され る。その結果系のダイナ ミクスは,注 目 す る系の密度行列p s ( i ) が正 しい終状態であるカノニカル平衡状態の密度行列 e-βHsに収束す るこ とを保証す る。一方,減衰理論 における c o n v e n t i o n a l な取 り扱 いでは,系の非線形性 が緩和に及 ぼす影響は無視 され,p s ( i ) は調和振動子のカ ノニカル平衡状態 e -P ua † a に収束す る。 このことか ら,系の非線形性が緩和に及ぼす影響 は,系の長時間の振 る舞いに重要 な役割 を果た しているこ とが分かる.Ha a k e 等 【 7 】 は減衰理論 にお けるn o n -c o n v e n t i o n a l な取 り扱いによ り,非線形減衰振 動子 に対す る量子マスター方程式を導出 した。 非平衡 Th e r moF i e l dDy n a mi c s( NE TF D) [ 8 日1 2 ] の枠組みにおいて,量子 L a n g e v i n方程式 と 量子確率 L i o u v i l l e 方程式 を含む量子確率微分方程式の系統的な正準演算子形式の体系が構成 され た 【 1 0 日2 3 ] 。この体系において,前述の非線形減衰振動子に対す る量子確率微分方程式が構成 され た [ 2 0 ] 。 Ac c a r d i 等 [ 2 4 日2 8 ] は,量子確率過程 に対 して微視的な基礎付 けを与えた。彼 らは,ボゾン場の 熱浴 と相互作用す る量子系を考察 し,熱浴 のボゾン場 によ り構成 され る集団的ボゾン場 ( c o l l e c t i v e b o s o n丘 e l d )とよばれ る場が,弱結合極限 ( v a nHo v e 極限) 【 2 9 1 で量子 Wi e n e r 過程 に収束す ること 「 第 5回 『 非平衡系の統計物理』シンポジウム」 を示 した。また,相互作用表示における波動関数の時間発展方程式が,無限小時間発展演算子に 量子 Wi e n Q r 過程の増分を含む量子確率微分方程式に収束す ることを示 した。 この論文では,このA c c a r d i 等の手続きをN E T F Dの枠組みで非線形減衰振動子に適用 し,系 の非線形性が緩和に及ぼす影響を考慮 した非線形減衰振動子に対す る量子確率微分方程式を微視 的なモデルか ら導出する。
o b a t a @ m a t h・ n a g o y a -u・ a c ・ J p l は じめに 揺 らぎを含む物理現象の時間発展は確率微分方程式で記述 され る. 確率積分が厳密 に定式 化 され, 確率微分方程式の基礎付 けがな されたのは 1 9 4 0年代のことであ り, 伊藤理論 として 広 く知 られているが,半世紀 を経た今 日では,よ り無限次元解析 としての色彩が強ま りなが ら様 々に発展 している.それらは, 包括的に 「 確率解析」 と呼ばれているが, そ こでは,ラン ダム性 を無限 自由度に言い換 え, 確率的な対象 を無限次元的な対象 に変換 して議論がな され る.この観点に立つことで, 超関数論な どの関数解析的手法が導入 され易 くな り, 理論が大き く発展す るのである.無限次元解析は,理論構成上の 自由度 も大きく, 何 を礎 とす るかによっ て様 々な流儀がある.なかでも Ma l l i aS c h wa r t zの超関数論によっ て, それまでは意味が暖味であった Di r a cのデル タ関数が正 当化 され, 計算ルールが厳密に 与えられたよ うに, ホワイ トノイズに厳密な定式化が与えられ, 文献に散見 され る 「 形式的」 計算 ( 通常の微積分 と同様な計算) が, ホワイ トノイズ解析の枠組みで理解 され るようになる・ 多 くの場合, 形式的計算 を結果的に正 しい と認めることになっても, ホワイ トノイズ解析が理 論 として意味を失 うものではない.' s c h wa r t z超関数論が, 結局は, デル タ関数な どの形式的 計算 を追認す ることになって も, S c h wa r t z超関数論が不要にはな らないの と同 じである, ホワイ トノイズ解析は,当初, 伊藤解析の拡張 としてスター トした 【 1 5 ]ため, 対象は 「 古 典」確率論の範境 を出るものではなかった.一方,量子確率解析 は, その創始 t 2 1 ]の頃か ら, 量子物理の問題意識か らであろ うが,ヒルベル ト空間論か ら離れず に発展 してきた とい う経 緯がある.その両者のアイデアを融合して,さらなる展開を 目指す試みは,ホ ワイ トノイズ 作用素論 [ 3 3 ]の一応の完成 とともに, 1 9 9 2 年 ころか ら開始 したが,目下の状況は発展の好機 を思わせ る.本誌上において も,ホワイ トノイズ解析の基礎理論 とともに,ホワイ トノイズ による量子確率積分, 量子確率過程のホワイ トノイズによる表示, 量子確率微分方程式 とホ ワイ トノイズ方程式の関連な どについて報告 してきた [ 3 5 ] ,岡 ,【 3 9 ] ・本論文では,高次の ホワイ トノイズ ( ホワイ トノイズの非線形関数)をノイズ項 として含む量子確率微分方程式 を, 「 正規積 ホ ワイ トノイズ微分方程式」 として定式化 し, 解の一意存在 を論 じる.その際, Co c h r a n -Ku o -S e n g u p t a[ 1 4 】による一般的な枠組みが有用である.実際,これまでに,空間を 拡張 して解の存在 を保証す るとい う形の定理 ( 超関数的な解の存在) については十分論 じてき た [ 4 0 ] , [ 4 1 日 4 3 日 4 4 ]ので, 本論文では, 解がいつ F o c k空間の ( 非有界) 作用素になるか ( 超 -「 第 6回 『 非平衡系の統計物理』 シンポジウム」 の簡略形であ り,この積分は伊藤型量子確率積分を意味す る.さらに, 方程式 ( 2 .3 ) は, 指数ベ ク ト ル に関す る行列要素 ( これ を作用素 シンボル とい う) に対す る方程式に書 き直せ ば, 《 X擁 , 4 , 刀 ) ) -《 4 , i , 4 , り )+ / E t ( 《に等 しくなる・したがって, ( 2 .5 ) か ら作用素の部分だけを取 り出せ ば, X i -I + / -- とな り, さらに tで微分すれ ば, d Xl d t ( L l a : Xs a s +L 2 Xs a s +L 3 a s * Xs +L 4 Xs ) d s -L l a ; Xt at +L 2 Xt al +L3a ; Xl +L4Xl , X ( 2 .6 ) -I , ( 2 .7 ) となる・最後 に, 場 の理論で使 われ る正規積 ( Wi c k 積)を用いて書 き直す.Wi c k積 を ◇で表 せ ば, a s ◇at-a s a t , a s * ◇at-a s * a t , a s ◇a ;-a i * a s , a s * ◇a l * -a ; a i * ・ また, 一般 の作用素 X に対 しては, ( a ; 1 ・ ・ ・ a s * l a t l-・ a t m )◇ X-a ; 1 -・ a s * , Xa t l・ -ai m なる性質 を持つ.したがって, ( 2 .7 ) は Wi c k積 に関す る線形方程式 ( L l a l * at+ L 2 a t +L 3 a l * +L4)◇Xl , X-I, ( 2 .8 ) に帰着 され る・こ うして, 量子確率微分方程式 ( 2 . 1 ) は, 単純な線形方程式 ( 2 .8 )と同値 となる.