非平衡状態にある量子系を扱う正準理論の体系(非平衡Thermo Field Dynamics [NETFD]と呼ばれている)を解説する。この体系は,非平衡系の統計物理学で重要な4つの視点(Boltzmann方程式,Fokker-Planck方程式,Langevin方程式,確率的Liouville方程式によりそれぞれ記述される視点)を,一貫したひとつの土俵で議論することを可能にした。NETFD建設の背景と動機,それと「量子コヒーレンスと散逸」に関わる問題を扱う際に有効となる新しい観点に重点をおいて紹介する。また,外場を導入する際に2つの方法があることを示す。NETFDの体系に内在するこの特性は,微視的な視点と巨視的な視点の橋渡しに従来にない観点を与えるであろう。